導入編(オリジナル)
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※このお話は原作の様々なお話を織り交ぜたり作者の都合に合わせて原作沿いになっていない部分もありますのでご了承ください。
※加筆修正中、途中から文体が変わります。
街中の光は消え始め、外を歩く人影もない。昼間の喧騒が嘘のように、本来ならば静まり返るような時間帯。
しかし今日はファンファンと赤い光を燈しながら複数の車両が真夜中の街を走り回っている。その赤い光の帯を眼下に見ながら、ゆるりと口元に弧を描く白い人物。
「ハハッ…名探偵には悪ぃが、今日はチョロかったな」
口元に緩やかな笑みを浮かべてポツリとそう呟きながら、満天の月をバックにその人物は夜の闇を飛び抜けて行った。
card.1
強い風が吹き抜けるとあるビルの屋上に一つの人影。風に乱される柔らかな長い髪を鬱陶しそうに掻き上げて小さくため息をつく。まだ肌寒い季節ではないが、すっかり暗くなったこの時間に長時間冷たい風にあたっていたら、さすがに身体も冷えてくる。
「こんな遅くまでかかるなんて。上着、持ってくるんだった…」
既に日付が変わろうという時刻だが、相変わらず赤い光が音を立てながら街中を駆け巡る姿が小さく見える。
「警察も遅くまで大変ね。それにしても、こんな時間にあんなに騒いでたらみんな眠れないじゃない」
そんな様子を屋上から見下ろして、街に住む人々に同情したように呟きながらチラリと腕時計に目を向ける。
「…………はぁ」
(もう!向こうはどうなってるのか知らないけど、何時間放っておくつもりかしら。新一ったら本当に事件となると見境ないんだから)
「あー、早く帰りたいな…」
あの気障な白い怪盗がこのまま逃げ切れば今日は解散となるのだろう。
自分の立場でそれを望むべきではないことは分かっているが、時間も時間である。解散を伝える連絡が早く来ないかと、先程から携帯を気にしてはいるが残念なことに一向に鳴る気配がない。
「ん?」
ため息混じりにふと空を見上げると、悠然と輝く月の光を浴びながら白い大きな塊が、自分のいるビルに向かって来るのが見える。
「…………あーあ」
その姿を見つけた女は、今日何度目か分からない大きなため息をついて肩を落とす。そして、しばらく考えを巡らせた後に携帯をポケットにしまった。
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