短編とか
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「愛だよ、愛!小生には愛しかないんだ」
そんな言葉を吐いて、官兵衛さんはザビー教なるとんでもなく怪しい宗教へ入信した。
まあ、なにかと不自由な彼の付き人である私も、ついでの形で入信したわけだが。
「おお!ジョシー黒田!今日も、お前のザビー様への愛はみなぎっていますね」
お 前 は 何 を 言 っ て る ん だ。なんて、真顔で思ってしまうくらいにはこの場所は全く理解ができない。私の理解が及ばないこの場所で、特に意味のわからない幼き当主の言葉は、私の耳からするりするりと流れ落ちた。
「おう名前。おはようさん」
宗麟殿との話が終わると、にっかりと太陽の笑みで官兵衛さんは私に向き合う。
私は、なんだか少しばかり腹が立ったので、あからさまにかしこまった。
「おはようございます。今日のご予定は先程宗麟殿のおっしゃった通りですので、私めから貴方様へお伝えすることはなにもございません。然らば、失礼致します」
「って……おいおい名前、どうしたんじゃ!?お前さん、ここへ来てから様子がおかしいぞ?」
一息で言い終わったあと、手ぬぐいを取りに踵を返したが、官兵衛さんから手を取られてしまった。そしてこの言葉である。
というか、ここに来てから私の様子がおかしいってちゃんと気づいてるのか。私も私なりに隠していたのだが、愛に盲目然れども軍師は軍師……こういう侮れないところ、官兵衛さんのかっこいいところだなあなんてこんな時にまで思ってしまうのは、惚れた弱味というものか。
「……別に、おかしいところなんてないですよ」
「いーや、おかしいね。お前さんが小生にあんなかしこまった言葉を使ったことなんてないだろう。それに、ここに来てからお前さんの悪い癖が出てきたな」
「……悪い癖?」
「名前はなにか隠してることがあると、小生のことをじっと見たあと、鼻の頭を掻く癖があるんだよ。しばらくはその癖も治まってたが、ここへ来てからまた始まったからな。なにかあるんだろう?」
……本当にこの人はずるい。この人はこれをきっと素でしている。
私の、私自身ですら知らない癖を知ってるなんて、ちょっと都合のいい解釈をしてしまいたいけど。大方、軍師だから、主だから部下には気を常に配ってる、とかそういう理由だろう。
「なんでもありませんよ、ちょっとここの空気が合わないなーって感じてるだけで」
「まあお前さんも年頃の娘だしな。小生に隠したいことの一つや二つ、あってもおかしくはないからな!」
ただ、小生相手に隠せるか隠せないかは別として、だがな。
なんて、悪い顔を私に近づけてニヤリと笑う。
突然のことに思考が追いつかない私を置いて、官兵衛さんは陽気に鼻歌を歌いながらどこかへ行ってしまった。
だが私は見てしまった、官兵衛さんの後ろ姿、耳がほんのりと赤く色づいているのを。
それを見た私の顔も、桜のように色づいているだろうか、先程よりも顔が熱い。
前言をもう一度繰り返そう。官兵衛さんはやっぱりずるい人だ。
一人、火照った頬に手を当ててつぶやいた。
そんな言葉を吐いて、官兵衛さんはザビー教なるとんでもなく怪しい宗教へ入信した。
まあ、なにかと不自由な彼の付き人である私も、ついでの形で入信したわけだが。
「おお!ジョシー黒田!今日も、お前のザビー様への愛はみなぎっていますね」
お 前 は 何 を 言 っ て る ん だ。なんて、真顔で思ってしまうくらいにはこの場所は全く理解ができない。私の理解が及ばないこの場所で、特に意味のわからない幼き当主の言葉は、私の耳からするりするりと流れ落ちた。
「おう名前。おはようさん」
宗麟殿との話が終わると、にっかりと太陽の笑みで官兵衛さんは私に向き合う。
私は、なんだか少しばかり腹が立ったので、あからさまにかしこまった。
「おはようございます。今日のご予定は先程宗麟殿のおっしゃった通りですので、私めから貴方様へお伝えすることはなにもございません。然らば、失礼致します」
「って……おいおい名前、どうしたんじゃ!?お前さん、ここへ来てから様子がおかしいぞ?」
一息で言い終わったあと、手ぬぐいを取りに踵を返したが、官兵衛さんから手を取られてしまった。そしてこの言葉である。
というか、ここに来てから私の様子がおかしいってちゃんと気づいてるのか。私も私なりに隠していたのだが、愛に盲目然れども軍師は軍師……こういう侮れないところ、官兵衛さんのかっこいいところだなあなんてこんな時にまで思ってしまうのは、惚れた弱味というものか。
「……別に、おかしいところなんてないですよ」
「いーや、おかしいね。お前さんが小生にあんなかしこまった言葉を使ったことなんてないだろう。それに、ここに来てからお前さんの悪い癖が出てきたな」
「……悪い癖?」
「名前はなにか隠してることがあると、小生のことをじっと見たあと、鼻の頭を掻く癖があるんだよ。しばらくはその癖も治まってたが、ここへ来てからまた始まったからな。なにかあるんだろう?」
……本当にこの人はずるい。この人はこれをきっと素でしている。
私の、私自身ですら知らない癖を知ってるなんて、ちょっと都合のいい解釈をしてしまいたいけど。大方、軍師だから、主だから部下には気を常に配ってる、とかそういう理由だろう。
「なんでもありませんよ、ちょっとここの空気が合わないなーって感じてるだけで」
「まあお前さんも年頃の娘だしな。小生に隠したいことの一つや二つ、あってもおかしくはないからな!」
ただ、小生相手に隠せるか隠せないかは別として、だがな。
なんて、悪い顔を私に近づけてニヤリと笑う。
突然のことに思考が追いつかない私を置いて、官兵衛さんは陽気に鼻歌を歌いながらどこかへ行ってしまった。
だが私は見てしまった、官兵衛さんの後ろ姿、耳がほんのりと赤く色づいているのを。
それを見た私の顔も、桜のように色づいているだろうか、先程よりも顔が熱い。
前言をもう一度繰り返そう。官兵衛さんはやっぱりずるい人だ。
一人、火照った頬に手を当ててつぶやいた。
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