まだ恋ではない夜
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パイは伝えようとした。銀行強盗がいて…子どもを助けていたの。けれど、それを口にするためには、なぜそんなことをできたのか話さなくてはならない。結局、言葉は何ひとつ出てこなかった。
彼は少しだけ目を伏せ、それから別れを切り出した。
パイは引き止めることもできなかった。
彼は寡黙な人だった。けれど、自分が思ったことや感じたことは、言葉を選びながらも率直に伝えてくれた。パイが彼を好きになったのも、そこだった。
自分は、いつも取り繕ってばかりだった。
一緒に食事へ行けば、本当はまだまだ食べたいのに、彼と同じくらいの量までしか頼まなかったし、重い荷物を持ってくれれば、簡単に片手で持ち上げられるものでも、か弱いふりをして礼を言った。
空を飛べることも、人間とは比べものにならないほど強いことも、自分がサイヤ人の血を引いていることも、すべて隠した。彼の前では、普通の「かわいい女の子」でいたかったからだ。
彼が好きだった。
彼は、パイが本当の自分を見せていないことにとっくに気づいていたのだろう。その中身を知ることはなかったとしても……ずっと一緒にいて違和感を覚えたのなら、それはパイをちゃんと見ていてくれたからだ。こうなったのは自分のせいに他ならない。
胸の奥へ押し込めていた痛みが、酒のせいでゆるんだ隙間から、じわじわと滲み出してくる。
その時だった。
「飲んでるの? オレもつきあうよ」
頭上から声が降ってきた。
彼は少しだけ目を伏せ、それから別れを切り出した。
パイは引き止めることもできなかった。
彼は寡黙な人だった。けれど、自分が思ったことや感じたことは、言葉を選びながらも率直に伝えてくれた。パイが彼を好きになったのも、そこだった。
自分は、いつも取り繕ってばかりだった。
一緒に食事へ行けば、本当はまだまだ食べたいのに、彼と同じくらいの量までしか頼まなかったし、重い荷物を持ってくれれば、簡単に片手で持ち上げられるものでも、か弱いふりをして礼を言った。
空を飛べることも、人間とは比べものにならないほど強いことも、自分がサイヤ人の血を引いていることも、すべて隠した。彼の前では、普通の「かわいい女の子」でいたかったからだ。
彼が好きだった。
彼は、パイが本当の自分を見せていないことにとっくに気づいていたのだろう。その中身を知ることはなかったとしても……ずっと一緒にいて違和感を覚えたのなら、それはパイをちゃんと見ていてくれたからだ。こうなったのは自分のせいに他ならない。
胸の奥へ押し込めていた痛みが、酒のせいでゆるんだ隙間から、じわじわと滲み出してくる。
その時だった。
「飲んでるの? オレもつきあうよ」
頭上から声が降ってきた。