家庭の味
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「…ほら、こんな風にパイちゃんのために餃子づくりを覚えてくれるなんて、トランクスもまんざらじゃねえんだべ。未来の世界では悟空さもオラも悟飯ちゃんもいなくてひとりぼっちだなんて、心配だべ。頼りになる旦那がいたら安心できるんだけんど」
既にプロポーズしていますとは言えなかった。
ヤムチャはともかく……チチにそんなことを伝えたらこっちの世界の自分とパイにも何かよからぬ悪影響を及ぼしそうで怖い。この勢いもかなり怖い。それにしても怒ったり、悲しんだり、婿にスカウトしたりと感情が忙しい人だ……この感じ、やっぱりパイに似ている?
「いやあ…それよりまずは人造人間を倒さないと……」
タジタジになりながらもどうにかはぐらかしていると、
「母さん!パイもお手伝いがしたいって」
パイと手をつないだ悟飯がキッチンにやってきた。突然の乱入者に助かったと胸をなでおろすトランクスだった。
「そうか、なら一緒に包むだべ」
チチは小さな娘ににっこり微笑むと、お手伝いしやすいように椅子をもってくるとパイを座らせる。
「ほら、こうやって包めるか?」
粉まみれの小さな手で、不格好な餃子を真剣な表情で作っている。
それを見て、横で悟飯が優しく「上手だよ」と声をかけると、小さなパイが得意げな表情をする。
トランクスの胸に、その温かな光景が焼き付いた。
***
「……母さん、何か言ってた?」
パイが小さく聞くと、トランクスは少し笑って答えた。
「悟空さんのこと……いっぱい愚痴ってた」
「想像つく」
ふたりで顔を見合せてくすっと笑う。
「……あと、途中から質問攻めになって……最期は……パイと結婚してほしいって言われた……」
恥ずかしそうに、どこか気まずそうにトランクスは続けた。
それを聞くなりパイは大笑いした。
「言いそう!……子供のころしょっちゅう『甲斐性のある旦那を見つけるんだぞ』って言われてたの。トランクス、気に入られたんだねぇ」
ひとしきり笑うと、「母さん、変わらないなぁ。あ、変わらないというか元々なのか……」と寂しそうにつぶやいた。もうこの世界にはいない母の話に、どこかしんみりした空気が漂う。
「……ねえ」
「うん?」
「これからも、また餃子作ってくれる?」
胸が熱くなる。これはただの料理の約束じゃないとわかっている。これからも、ずっと隣にいてほしいという意味だと。
トランクスはそっと手を伸ばした。テーブルの上のパイの手に、自分の手を重ねた。
そしてまっすぐにパイを見つめて、力強く答える。
「何度でも」
突然真面目な表情で告げてきたトランクスの視線にドキリとしたようで、驚いたようにパイが息を止める。
頬を染めて恥ずかしそうにうつむいた後、意を決したのか、重ねられた手を動かすと、そっと握り返してきた。
「……約束ね」
パイが、指先を少しだけ強く絡める。
指先から伝わる彼女の手の感触に、トランクスの心臓がさらに跳ね上がる。
「うん、約束だ」
テーブルの向こうで、パイが微笑う。
こうして誰かと同じ食卓につくこと。同じ味を共有すること。それが「生きる」なんだと、今さらのように気づく。
食卓の灯りの下で。
ふたりの間に漂う温かな空気が、冬の夜にやわらかく溶けていった。春はもうそこまで来ていた。
既にプロポーズしていますとは言えなかった。
ヤムチャはともかく……チチにそんなことを伝えたらこっちの世界の自分とパイにも何かよからぬ悪影響を及ぼしそうで怖い。この勢いもかなり怖い。それにしても怒ったり、悲しんだり、婿にスカウトしたりと感情が忙しい人だ……この感じ、やっぱりパイに似ている?
「いやあ…それよりまずは人造人間を倒さないと……」
タジタジになりながらもどうにかはぐらかしていると、
「母さん!パイもお手伝いがしたいって」
パイと手をつないだ悟飯がキッチンにやってきた。突然の乱入者に助かったと胸をなでおろすトランクスだった。
「そうか、なら一緒に包むだべ」
チチは小さな娘ににっこり微笑むと、お手伝いしやすいように椅子をもってくるとパイを座らせる。
「ほら、こうやって包めるか?」
粉まみれの小さな手で、不格好な餃子を真剣な表情で作っている。
それを見て、横で悟飯が優しく「上手だよ」と声をかけると、小さなパイが得意げな表情をする。
トランクスの胸に、その温かな光景が焼き付いた。
***
「……母さん、何か言ってた?」
パイが小さく聞くと、トランクスは少し笑って答えた。
「悟空さんのこと……いっぱい愚痴ってた」
「想像つく」
ふたりで顔を見合せてくすっと笑う。
「……あと、途中から質問攻めになって……最期は……パイと結婚してほしいって言われた……」
恥ずかしそうに、どこか気まずそうにトランクスは続けた。
それを聞くなりパイは大笑いした。
「言いそう!……子供のころしょっちゅう『甲斐性のある旦那を見つけるんだぞ』って言われてたの。トランクス、気に入られたんだねぇ」
ひとしきり笑うと、「母さん、変わらないなぁ。あ、変わらないというか元々なのか……」と寂しそうにつぶやいた。もうこの世界にはいない母の話に、どこかしんみりした空気が漂う。
「……ねえ」
「うん?」
「これからも、また餃子作ってくれる?」
胸が熱くなる。これはただの料理の約束じゃないとわかっている。これからも、ずっと隣にいてほしいという意味だと。
トランクスはそっと手を伸ばした。テーブルの上のパイの手に、自分の手を重ねた。
そしてまっすぐにパイを見つめて、力強く答える。
「何度でも」
突然真面目な表情で告げてきたトランクスの視線にドキリとしたようで、驚いたようにパイが息を止める。
頬を染めて恥ずかしそうにうつむいた後、意を決したのか、重ねられた手を動かすと、そっと握り返してきた。
「……約束ね」
パイが、指先を少しだけ強く絡める。
指先から伝わる彼女の手の感触に、トランクスの心臓がさらに跳ね上がる。
「うん、約束だ」
テーブルの向こうで、パイが微笑う。
こうして誰かと同じ食卓につくこと。同じ味を共有すること。それが「生きる」なんだと、今さらのように気づく。
食卓の灯りの下で。
ふたりの間に漂う温かな空気が、冬の夜にやわらかく溶けていった。春はもうそこまで来ていた。
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