手のひらの温もり
主人公の名前設定
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「え?」
トランクスがびっくりして思わずパイを見つめる。
パイは当然のように続けた。
「それなら私が生きてるって、すぐわかるでしょ」
まるで当たり前のことでしょみたいな軽さだった。その声は拍子抜けするほど軽かった。
だが言われた本人は固まっていた。
「いや、待て」
「待たない」
「待てって」
「却下」
そう言うとパイひょいとベッドの上のかけ布団をめくると、トランクスの横に入り込む。
「ちょっ……!」
トランクスが制止するより早く、パイはするりとベッドへ滑り込んでしまった。
ひとり用のベッドなので、そう広い訳でもない。肌が触れあいそうな近さに、トランクスの心臓が跳ねた。
「な、何やってるんだよ」
「見てわからない?」
パイは枕に頭を乗せて横になると、座ったままのトランクスを見上げた。
「寝る準備」
「それは見ればわかる!」
思わず声が大きくなる。
するとパイが不思議そうな顔をした。
「そんなに慌てなくてもいいじゃない」
慌てるに決まっている。なぜ慌てないんだ。
トランクスは頭を抱えたくなった。
だが同時に、心のどこかで少しだけ救われている自分もいた。
パイはそんな彼の葛藤など気付いていないのか、あるいは気付いていて知らないふりをしているのか。穏やかな声で言った。
「ほら、おいで」
犬でも呼ぶような言い方に、トランクスは思わず額を押さえる。
「いや……でも」
言いかけて、ふと表情が曇った。
「俺、悪夢にうなされてこないだみたいに暴れるかもしれない……そうしたらパイを傷つけるかもしれない」
それが一番怖かった……だから結婚の約束も引き伸ばしていた。