眠れない夜を抱えて
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やがてトランクスはゆっくりと呼吸を整えると切り出した。
「……眠るのが怖いんだ。目を閉じると、昔のやるせなさばかりが出てくる……」
それだけ言うと、再び沈黙が落ちる。だが、パイは決して急かさない。ただ静かに隣に座っている。トランクスは視線を落とすと、一気に吐き出すように話し始めた。
「街で助けを求めてた人たちも、避難が間に合わなかった人たちも……名前も知らない人たちばかりだけど……。俺がもっと強ければ助けられたんじゃないかって、今でも思う」
あの過酷な日々は終わったはずなのに。
心の奥底では決して終わっていなかった。
何度も何度も同じ光景が繰り返される。
助けを求める声。伸ばした手。届かない距離。
「それに……悟飯さんも……。あの時のことを思い出すんだ」
その名前を口にした瞬間、部屋の空気が少しだけピンと張りつめた気がした。
トランクスの指先がぎゅっとシーツを掴む。
──激しい雨の中に横たわる……動かなくなった身体。
「俺は何もできなかった。悟飯さんは最後まで俺を守ろうとしてくれたのに……なのに俺は守られるだけだった」
絞り出すような声だった。
時間が経てば傷はいえていくはずが…むしろ時間が経つほど、自分の無力さばかりが鮮明になることがある。
パイは慰めの言葉も挟まない。ただ黙って聞いていた。だからトランクスも続けることができた。
「過去の世界に行ったときに、精神と時の部屋にいた話を前にしただろ? 一日が一年になる……。あそこは……苦しかった。最初の一年は父さんがいた。でもその後の一年は、ずっと一人だった」
どこまでも白いだけの世界。
時間の感覚が曖昧になるあの空間。
「誰とも話さないし、誰の気配も感じない……。たまに自分が本当に存在してるのかさえわからなくなった。あの息苦しさが今でも忘れられないんだ」
パイがわずかに目を見開く。
トランクスは苦笑した。
「変な話だろ」
「ううん。全然変じゃない」
即座に返ってきた。
その一言に、背中を押されてトランクスはさらに続けた。
「でも、一番後悔してるのは別のことだ。俺が過去へ行ったせいで……パイが三カ月も一人で戦うことになった」
先ほどまでよりもさらに低く、絞り出すような声だった。
パイの瞳が揺れる。部屋が静まり返る。
「今でも考えるんだ。タイムマシンで戻ってきた時のことを。こっちでは3カ月もたっていることを知って……慌ててパイの気を探したんだ。見つけたと思ったら……すごく弱くなってた」
忘れられない。
忘れられるはずがない。
あの瞬間、体中から血の気が引いた。
「思い出すたびに怖くてたまらなく苦しくなるんだ……敵と戦う恐怖とは全然違う。あの時はどうにか間に合った……。でも夢の中では違うんだ」
慌ててカプセルコーポレーションを飛び出した時のことを思い出す。
心臓が壊れそうなくらい鳴り響いていた。吐き気がこみ上げ、世界がぐらりと傾いて、あのまま足元から崩れ落ちてしまいそうだった。
トランクスは拳を握り締めた。
「……眠るのが怖いんだ。目を閉じると、昔のやるせなさばかりが出てくる……」
それだけ言うと、再び沈黙が落ちる。だが、パイは決して急かさない。ただ静かに隣に座っている。トランクスは視線を落とすと、一気に吐き出すように話し始めた。
「街で助けを求めてた人たちも、避難が間に合わなかった人たちも……名前も知らない人たちばかりだけど……。俺がもっと強ければ助けられたんじゃないかって、今でも思う」
あの過酷な日々は終わったはずなのに。
心の奥底では決して終わっていなかった。
何度も何度も同じ光景が繰り返される。
助けを求める声。伸ばした手。届かない距離。
「それに……悟飯さんも……。あの時のことを思い出すんだ」
その名前を口にした瞬間、部屋の空気が少しだけピンと張りつめた気がした。
トランクスの指先がぎゅっとシーツを掴む。
──激しい雨の中に横たわる……動かなくなった身体。
「俺は何もできなかった。悟飯さんは最後まで俺を守ろうとしてくれたのに……なのに俺は守られるだけだった」
絞り出すような声だった。
時間が経てば傷はいえていくはずが…むしろ時間が経つほど、自分の無力さばかりが鮮明になることがある。
パイは慰めの言葉も挟まない。ただ黙って聞いていた。だからトランクスも続けることができた。
「過去の世界に行ったときに、精神と時の部屋にいた話を前にしただろ? 一日が一年になる……。あそこは……苦しかった。最初の一年は父さんがいた。でもその後の一年は、ずっと一人だった」
どこまでも白いだけの世界。
時間の感覚が曖昧になるあの空間。
「誰とも話さないし、誰の気配も感じない……。たまに自分が本当に存在してるのかさえわからなくなった。あの息苦しさが今でも忘れられないんだ」
パイがわずかに目を見開く。
トランクスは苦笑した。
「変な話だろ」
「ううん。全然変じゃない」
即座に返ってきた。
その一言に、背中を押されてトランクスはさらに続けた。
「でも、一番後悔してるのは別のことだ。俺が過去へ行ったせいで……パイが三カ月も一人で戦うことになった」
先ほどまでよりもさらに低く、絞り出すような声だった。
パイの瞳が揺れる。部屋が静まり返る。
「今でも考えるんだ。タイムマシンで戻ってきた時のことを。こっちでは3カ月もたっていることを知って……慌ててパイの気を探したんだ。見つけたと思ったら……すごく弱くなってた」
忘れられない。
忘れられるはずがない。
あの瞬間、体中から血の気が引いた。
「思い出すたびに怖くてたまらなく苦しくなるんだ……敵と戦う恐怖とは全然違う。あの時はどうにか間に合った……。でも夢の中では違うんだ」
慌ててカプセルコーポレーションを飛び出した時のことを思い出す。
心臓が壊れそうなくらい鳴り響いていた。吐き気がこみ上げ、世界がぐらりと傾いて、あのまま足元から崩れ落ちてしまいそうだった。
トランクスは拳を握り締めた。