第八章
主人公の名前設定
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(……一体、何がどうなっているんだ……!?)
今、トランクスは混乱を抱えたまま、ヤムチャが運転する飛行船の中にいた。真ん中に敷かれたベッドでは悟空が深く眠っている。その横にチチが腰掛け、悟飯は静かに父に寄り添っていた。
クリリン、ヤムチャ、悟飯──皆で今の状況について確認し合う。
だがその内容に、トランクスの胸はますます冷たく沈んでいった。
(…歴史がまったく変わってしまった……)
タイムマシンの到着がずれ、慌てて襲撃場所へ駆けつけてみたら皆見知らぬ人造人間と戦っていた……。しかも3体もいて、未来の世界のよりもずっと強い。悟空が心臓病になるタイミングも違ってしまっていた……。
(……俺のせいなのか……?)
まるで「この世界のすべて」が、トランクスの訪れによって歪んでしまったかのように。
苦い思いが心の中に広がる。
もし自分の介入が流れを変えてしまったのだとしたら……。
重い空気の中で、トランクスは黙ってうつむいた。
そのとき、明るい声が場の空気をぱっと変えた。
「気にすることなんかねぇだよ。おめえがこなかったら悟空さ病気で死んでたんだもんな!おら、すっげえ感謝してるだよ!」
チチだった。黒く大きな瞳が彼女に似ている……。
あっけらかんとしたその口調が、不思議と心に沁みた。張り詰めた気持ちが少しだけほどける。トランクスは小さく笑って「……ありがとうございます」と頭を下げた。
「そういうことだ!なんとかなるさ!!」とさらに励ますチチに、トランクスも勢いに押されて「ははは……なんとかなる……かな…」と返す。
視線をふとチチの隣へ向けると、そこに――小さな影があった。
母親の背中にしがみつくように隠れている、二歳ほどの少女……この世界のパイだ。
好奇心に輝く黒い大きな瞳が、先ほどからこちらをちらちらとのぞいている。
目が合うと恥ずかしそうにさっと母親の背中に隠れてしまう。けれど数秒も経たないうちに、またそっと覗いてくる。その繰り返しが、何度も続いた。
(……すごく……すごくかわいい)
愛らしいその姿に、トランクスの胸がほのかに温かくなる。
「はは、いつもはもっとおしゃべりなんだけど、最近はすっかり恥ずかしがり屋になっちまってな。お兄ちゃんが気になるけ?」
チチがにこにこと話しかける。
すると少女は意を決したように、小さな足でこちらへととことこ歩いてきた。
手の中には、包み紙に包まれた小さな飴玉。
「……これ、あげる」
トランクスが受け取ると、少女は恥ずかしそうにすぐ母親のところに戻ると後ろに隠れてしまった。
どうやら、落ち込んでいた彼を励ましたかったらしい。
無邪気な優しさが、まっすぐに胸に刺さる。
「ありがとう」
と声をかけると、少女はぱっと花が咲いたように明るい笑顔を見せると、嬉しそうに今度は兄の方へ駆けていった。
その笑顔の明るさにトランクスは息をのんだ。
(……癒されるな…)
この世界のパイ。
家族に愛され、守られ、まだ世界の残酷さを知らない……。母親に着せられたかわいい服を着て、髪の毛は二つのお団子に結ってあり、たっぷりの愛情に包まれて幸せそうだった。
恥ずかしがりだけど人懐っこくて、この世界の誰もから自分が愛されることに疑いを持たないような素直さがあった。
(……未来の世界の彼女と全然違う……いや、未来の世界のパイも昔はこんな感じだったんだ……)
手の中の飴を見つめながら、トランクスは静かに息を吐く。
2歳の彼女に会えることはもちろん予想していた。だが、もっとそっけなくされると思っていた。なぜなら自分が初めて彼女に会った時にそうだったから……。人見知りするタイプで、初対面の相手には容易に心を開かないと思っていた。でも違ったのだ。
あの時のそっけない態度も、容易に心を開かない慎重さも……大切な人を失い続けてきた心細さや寂しさの裏返しだったのだと――今ならはっきりわかる。
(……戻ったら、もっと優しくしよう。あの世界の彼女に。そして、この世界で見た笑顔みたいにまた笑ってくれたら……)
トランクスは、小さな手からもらった飴をそっとポケットにしまった。
今、トランクスは混乱を抱えたまま、ヤムチャが運転する飛行船の中にいた。真ん中に敷かれたベッドでは悟空が深く眠っている。その横にチチが腰掛け、悟飯は静かに父に寄り添っていた。
クリリン、ヤムチャ、悟飯──皆で今の状況について確認し合う。
だがその内容に、トランクスの胸はますます冷たく沈んでいった。
(…歴史がまったく変わってしまった……)
タイムマシンの到着がずれ、慌てて襲撃場所へ駆けつけてみたら皆見知らぬ人造人間と戦っていた……。しかも3体もいて、未来の世界のよりもずっと強い。悟空が心臓病になるタイミングも違ってしまっていた……。
(……俺のせいなのか……?)
まるで「この世界のすべて」が、トランクスの訪れによって歪んでしまったかのように。
苦い思いが心の中に広がる。
もし自分の介入が流れを変えてしまったのだとしたら……。
重い空気の中で、トランクスは黙ってうつむいた。
そのとき、明るい声が場の空気をぱっと変えた。
「気にすることなんかねぇだよ。おめえがこなかったら悟空さ病気で死んでたんだもんな!おら、すっげえ感謝してるだよ!」
チチだった。黒く大きな瞳が彼女に似ている……。
あっけらかんとしたその口調が、不思議と心に沁みた。張り詰めた気持ちが少しだけほどける。トランクスは小さく笑って「……ありがとうございます」と頭を下げた。
「そういうことだ!なんとかなるさ!!」とさらに励ますチチに、トランクスも勢いに押されて「ははは……なんとかなる……かな…」と返す。
視線をふとチチの隣へ向けると、そこに――小さな影があった。
母親の背中にしがみつくように隠れている、二歳ほどの少女……この世界のパイだ。
好奇心に輝く黒い大きな瞳が、先ほどからこちらをちらちらとのぞいている。
目が合うと恥ずかしそうにさっと母親の背中に隠れてしまう。けれど数秒も経たないうちに、またそっと覗いてくる。その繰り返しが、何度も続いた。
(……すごく……すごくかわいい)
愛らしいその姿に、トランクスの胸がほのかに温かくなる。
「はは、いつもはもっとおしゃべりなんだけど、最近はすっかり恥ずかしがり屋になっちまってな。お兄ちゃんが気になるけ?」
チチがにこにこと話しかける。
すると少女は意を決したように、小さな足でこちらへととことこ歩いてきた。
手の中には、包み紙に包まれた小さな飴玉。
「……これ、あげる」
トランクスが受け取ると、少女は恥ずかしそうにすぐ母親のところに戻ると後ろに隠れてしまった。
どうやら、落ち込んでいた彼を励ましたかったらしい。
無邪気な優しさが、まっすぐに胸に刺さる。
「ありがとう」
と声をかけると、少女はぱっと花が咲いたように明るい笑顔を見せると、嬉しそうに今度は兄の方へ駆けていった。
その笑顔の明るさにトランクスは息をのんだ。
(……癒されるな…)
この世界のパイ。
家族に愛され、守られ、まだ世界の残酷さを知らない……。母親に着せられたかわいい服を着て、髪の毛は二つのお団子に結ってあり、たっぷりの愛情に包まれて幸せそうだった。
恥ずかしがりだけど人懐っこくて、この世界の誰もから自分が愛されることに疑いを持たないような素直さがあった。
(……未来の世界の彼女と全然違う……いや、未来の世界のパイも昔はこんな感じだったんだ……)
手の中の飴を見つめながら、トランクスは静かに息を吐く。
2歳の彼女に会えることはもちろん予想していた。だが、もっとそっけなくされると思っていた。なぜなら自分が初めて彼女に会った時にそうだったから……。人見知りするタイプで、初対面の相手には容易に心を開かないと思っていた。でも違ったのだ。
あの時のそっけない態度も、容易に心を開かない慎重さも……大切な人を失い続けてきた心細さや寂しさの裏返しだったのだと――今ならはっきりわかる。
(……戻ったら、もっと優しくしよう。あの世界の彼女に。そして、この世界で見た笑顔みたいにまた笑ってくれたら……)
トランクスは、小さな手からもらった飴をそっとポケットにしまった。