第五章
主人公の名前設定
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アイスを食べ終えた二人はカップをゴミ箱に捨てると、市場の喧騒を眺めていた。急ごしらえの屋台には魚や干し肉、色とりどりの野菜が山積みにされ、売り買いの声が飛び交っている。
数カ月前、トランクスが大怪我を負ったあの夜以来、人造人間の襲撃はぴたりと途絶えていた。市場の活気は、そんな安堵の空気を映していた。
しかし、実際には、それは人造人間の気まぐれに過ぎない。
「すべてを一度に壊してしまえば退屈になる。だから希望を持たせ、また壊す」
そんな人造人間たちの残酷な思惑など、人々は知る由もなかったが……パイとトランクスは知っていた。この平和が薄氷の上に立つものであることを。
人造人間の残酷な遊戯のルールを理解しているからこそ、2人の胸には不安が重く沈んでいた。それでもつかの間の平和の間に湖に行ったり、アイスを食べに行く時間を持てたのは幸福なことだった。
「なんだか、前より食糧の種類が増えてるね」
パイがぽつりと口にする。
「せっかくだし、少し見てしていこうか」
このまま分かれるのが名残惜しいトランクスは、一緒に過ごす時間をどうにか引き伸ばしたくて提案する。パイはにっこり微笑んで頷くと、二人は通りを歩き出した。
「ブルマさん、また研究室にこもりっきりでしょ。食べ物くらい買い込んであげた方がいいんじゃない?」
「大丈夫だよ。冷凍のコンビニ弁当をたくさんストックしてあるから」
「またそれ?あれじゃ力出ないでしょ。こんど猪肉を持っていってあげるから」
パイが胸を張って言うと、トランクスは苦笑をこぼした。思い出すのは、まだ子どもの頃のこと。
悟飯の元でパイと修行をするようになってから数か月後、パオズ山に泊まり込みで修行をした日々のことだ。
都会育ちのトランクスにとって、それは驚きの連続だった。
夕飯の支度といって、悟飯とパイが大きな猪を捕まえてきて、その場で解体するのを見たときは腰を抜かした。
血に濡れた手で「今日は力がつくものを食べさせてあげるから」と微笑んだ悟飯の顔は、その優しい笑顔がかえって恐ろしいように感じた。
「サイヤ人のくせに、なにびっくりしてるのよ。あんたも肉食べるでしょ」
パイにそう突っ込まれて、顔を真っ赤にしたことも覚えている。
やがて彼も山の暮らしに慣れ、釣りや狩りを手伝い、星空や澄んだ湖の美しさを心から好きになっていった。
思い出に浸りながら歩いていると、横を歩くパイが立ち止まった。
そこは食器を売る小さな屋台。並んだマグカップには、愛らしい猫の絵が描かれている。
「……かわいい」
目を輝かせて見入る彼女に、トランクスは思わず笑みを漏らす。
(猪は捕まえて解体するくせに、猫はかわいいんだな)
と思ったが、怒られそうなので口には出さなかった。代わりに
「気に入ったなら、買って帰ろうよ」
そう声をかけると、パイは首を傾げた。
「うーん、でも家には食器が十分にあるし…これ以上増やしてもなぁ」
「じゃあ、うちで使う用に買おうよ。今ある食器って、シンプルなのばかりだから」
「……そうする?」
パイが嬉しそうに頬を緩める。
「じゃあさ、三つ欲しいな。私とトランクスとブルマさんの分」
二人は真剣に悩み、あれこれ相談しながら色違いの猫のカップを三つ選んだ。代金を支払い、市場の喧騒を背に歩き出す。
手にした紙袋が、トランクスにはやけに嬉しく感じられた。
(家で一緒に使う食器を選ぶなんて……なんだか、家族みたいだ)
夕日が傾き、赤い光が市場の喧騒を照らす。
その光の中で、トランクスの胸は温かい気持ちで満たされていた。
数カ月前、トランクスが大怪我を負ったあの夜以来、人造人間の襲撃はぴたりと途絶えていた。市場の活気は、そんな安堵の空気を映していた。
しかし、実際には、それは人造人間の気まぐれに過ぎない。
「すべてを一度に壊してしまえば退屈になる。だから希望を持たせ、また壊す」
そんな人造人間たちの残酷な思惑など、人々は知る由もなかったが……パイとトランクスは知っていた。この平和が薄氷の上に立つものであることを。
人造人間の残酷な遊戯のルールを理解しているからこそ、2人の胸には不安が重く沈んでいた。それでもつかの間の平和の間に湖に行ったり、アイスを食べに行く時間を持てたのは幸福なことだった。
「なんだか、前より食糧の種類が増えてるね」
パイがぽつりと口にする。
「せっかくだし、少し見てしていこうか」
このまま分かれるのが名残惜しいトランクスは、一緒に過ごす時間をどうにか引き伸ばしたくて提案する。パイはにっこり微笑んで頷くと、二人は通りを歩き出した。
「ブルマさん、また研究室にこもりっきりでしょ。食べ物くらい買い込んであげた方がいいんじゃない?」
「大丈夫だよ。冷凍のコンビニ弁当をたくさんストックしてあるから」
「またそれ?あれじゃ力出ないでしょ。こんど猪肉を持っていってあげるから」
パイが胸を張って言うと、トランクスは苦笑をこぼした。思い出すのは、まだ子どもの頃のこと。
悟飯の元でパイと修行をするようになってから数か月後、パオズ山に泊まり込みで修行をした日々のことだ。
都会育ちのトランクスにとって、それは驚きの連続だった。
夕飯の支度といって、悟飯とパイが大きな猪を捕まえてきて、その場で解体するのを見たときは腰を抜かした。
血に濡れた手で「今日は力がつくものを食べさせてあげるから」と微笑んだ悟飯の顔は、その優しい笑顔がかえって恐ろしいように感じた。
「サイヤ人のくせに、なにびっくりしてるのよ。あんたも肉食べるでしょ」
パイにそう突っ込まれて、顔を真っ赤にしたことも覚えている。
やがて彼も山の暮らしに慣れ、釣りや狩りを手伝い、星空や澄んだ湖の美しさを心から好きになっていった。
思い出に浸りながら歩いていると、横を歩くパイが立ち止まった。
そこは食器を売る小さな屋台。並んだマグカップには、愛らしい猫の絵が描かれている。
「……かわいい」
目を輝かせて見入る彼女に、トランクスは思わず笑みを漏らす。
(猪は捕まえて解体するくせに、猫はかわいいんだな)
と思ったが、怒られそうなので口には出さなかった。代わりに
「気に入ったなら、買って帰ろうよ」
そう声をかけると、パイは首を傾げた。
「うーん、でも家には食器が十分にあるし…これ以上増やしてもなぁ」
「じゃあ、うちで使う用に買おうよ。今ある食器って、シンプルなのばかりだから」
「……そうする?」
パイが嬉しそうに頬を緩める。
「じゃあさ、三つ欲しいな。私とトランクスとブルマさんの分」
二人は真剣に悩み、あれこれ相談しながら色違いの猫のカップを三つ選んだ。代金を支払い、市場の喧騒を背に歩き出す。
手にした紙袋が、トランクスにはやけに嬉しく感じられた。
(家で一緒に使う食器を選ぶなんて……なんだか、家族みたいだ)
夕日が傾き、赤い光が市場の喧騒を照らす。
その光の中で、トランクスの胸は温かい気持ちで満たされていた。