第五章
主人公の名前設定
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小さな移動式トラックの前に立ち、「ここだよ」とトランクスはパイに優しく告げた。
トラックの中には透明のショーケースが設置され、中には三種類のアイス──チョコ、バニラ、イチゴが並んでいた。
パイは透明なガラス越しに覗き込み、ぱっと目を輝かせた。
「……これがアイスなんだ。こんな風に売ってるんだね」
声には小さな驚きと、心からの感嘆が混じっている。
「どれにする?3つ全部頼んでもいいけど……」
「え!そんなの贅沢すぎるよ。選ぶから待って!」
真剣そのものの表情で、パイはじっとケースの中を見つめる。3種類のアイスを代わる代わる見比べては、
「……うーん、迷うなぁ」
と呟く。
その横顔を、トランクスはまぶしいものを見るような気持ちでそっと見守った。
やがて、パイがぱっと顔を上げる。
「決めた! 私、イチゴにする」
「じゃあ、俺はチョコで」
屋台のおばさんが、手際よくカップにアイスを盛り、スプーンを添えて渡してくれる。淡々とした不愛想ともいえるような態度だったが、アイスを前にまるで子どものようにはしゃぐパイを見てなのか、盛られたアイスはかなり大盛にされているようだった。
その気遣いに二人は小さく会釈して受け取った。
***
市場の外れ、日陰を作る大きな木の下へ移動すると、木漏れ日が揺れる下に二人並んで腰を下ろした。
パイはスプーンでアイスをすくい、恐る恐る口に運ぶ。
「……おいしい! すごく冷たくて甘い!アイスってこんなにおいしかったんだね」
頬がほころび、目を細めるその表情に、トランクスの胸があたたかくなる。
──誘って、本当によかった。
「チョコも一口食べる?」
差し出されたトランクスのカップに、パイの目が喜びに輝く。
「いいの?」
遠慮がちにスプーンを差し入れ、口に入れる。
「チョコもおいしいね! じゃあ、いちごも食べてみて」
とパイは自分のカップを差し出し、笑い合いながらお互いのアイスを味見し合った。
(…こんな風に過ごせるなんて夢みたいだ)
トランクスはつかの間の幸せをかみしめていた。アイスを仲良く分け合う2人は、はたから見たらごく普通の仲の良いカップルのようだった。その若さにそぐわぬ重い使命感など、この時ばかりは少しも感じさせなかったことだろう。
(…もしこの世界が平和だったら、パイと俺はこんな毎日を過ごしていたんだろうか?)
トランクスは想像してみる。パイと学校に通い、友だちを作り、放課後は一緒にアイスを食べに出かける。そんなささやかな毎日を。もし人造人間がいなければ2人はそんな風に過ごしていたんだろうか。
それは考えてもわからないことだった。人造人間の襲撃が2人を引き合わせ、使命を共にする盟友として結び付けた。もし平和だったら会うことすらなかったのかもしれない。
(…過去の世界…これから未来が変わるはずの過去の世界の俺たちは…平和な世界で仲良く育ってくれたらいいな…)
思わずそんなことを考えてしまった。
物思いに沈むトランクスだったが、ふと横のパイに目をやると、彼女はまるで宝物を抱えるようにアイスを少しずつ大切に食べ進めていた。その姿は「楽しみをできるだけ長く味わいたい」と語っているようで。夢中で味わっているパイの姿を見てトランクスの心には愛おしさがこみあげてきた。
思わず、トランクスはパイに問いかけた。
「あのさ……もし、この世界が平和になったら。まず、どこへ行きたい?」
パイはスプーンを止め、少し遠くを見るように目を細めた。
「……うーん。どこだろう。世界中のいろんなところに行ってみたいけど……」
ひと呼吸置き、ゆっくりと続ける。
「──花火を、見てみたいかな」
「花火?」
「うん。夜空に大きく咲くんでしょう? すごくきれいだって聞いた。昔はパオズ山の村のお祭りでもあったらしいけど、私は一度も見たことがなくて……」
そう語るパイの声音には、憧れと寂しさが入り混じっていた。
トランクスは少し考えてから首を横に振る。
「俺も、生で見たことはないんだ。でも……きっと綺麗だろうな」
「ね。きっと、すごく綺麗なんだろうね」
パイは少しはにかんで笑った。その横顔を見つめながら、トランクスは「いつか絶対彼女に花火を見せてあげたい」と強く思った。
しかし、そんな風に話している間に、二人の持つアイスの縁がじわりと溶け始める。
「わ!溶けてきた。パイ、早く食べないとアイスは溶けちゃうんだ」とトランクスがパイに促す。
「……ほんとだ」
急いでスプーンを動かしながら、パイが驚いたようにつぶやく。
「アイスって、こんなにすぐ溶けちゃうんだね。パオズ山じゃ、そりゃ食べられないわけだ」
納得したように頷く横顔に、トランクスは思わず笑ってしまう。
やがてカップは空になると、パイは満足そうに
「おいしかった!連れてきてくれてありがとう」
「そんなに気に入ったならもう一回買いに行く?」
とトランクスが提案すると、パイは首を振った。
「ううん、いいの。今度の楽しみに取っておく。また一緒に来ようね」
その言葉に、トランクスの胸がちくりと疼いた。
この世界の「今度」は、なんと不確かなことか。けれど、それは未来を強く信じさせてくれる──まばゆい輝きを放つような言葉だった。
「うん、絶対また来よう」
とトランクスは力強く頷いた。
トラックの中には透明のショーケースが設置され、中には三種類のアイス──チョコ、バニラ、イチゴが並んでいた。
パイは透明なガラス越しに覗き込み、ぱっと目を輝かせた。
「……これがアイスなんだ。こんな風に売ってるんだね」
声には小さな驚きと、心からの感嘆が混じっている。
「どれにする?3つ全部頼んでもいいけど……」
「え!そんなの贅沢すぎるよ。選ぶから待って!」
真剣そのものの表情で、パイはじっとケースの中を見つめる。3種類のアイスを代わる代わる見比べては、
「……うーん、迷うなぁ」
と呟く。
その横顔を、トランクスはまぶしいものを見るような気持ちでそっと見守った。
やがて、パイがぱっと顔を上げる。
「決めた! 私、イチゴにする」
「じゃあ、俺はチョコで」
屋台のおばさんが、手際よくカップにアイスを盛り、スプーンを添えて渡してくれる。淡々とした不愛想ともいえるような態度だったが、アイスを前にまるで子どものようにはしゃぐパイを見てなのか、盛られたアイスはかなり大盛にされているようだった。
その気遣いに二人は小さく会釈して受け取った。
***
市場の外れ、日陰を作る大きな木の下へ移動すると、木漏れ日が揺れる下に二人並んで腰を下ろした。
パイはスプーンでアイスをすくい、恐る恐る口に運ぶ。
「……おいしい! すごく冷たくて甘い!アイスってこんなにおいしかったんだね」
頬がほころび、目を細めるその表情に、トランクスの胸があたたかくなる。
──誘って、本当によかった。
「チョコも一口食べる?」
差し出されたトランクスのカップに、パイの目が喜びに輝く。
「いいの?」
遠慮がちにスプーンを差し入れ、口に入れる。
「チョコもおいしいね! じゃあ、いちごも食べてみて」
とパイは自分のカップを差し出し、笑い合いながらお互いのアイスを味見し合った。
(…こんな風に過ごせるなんて夢みたいだ)
トランクスはつかの間の幸せをかみしめていた。アイスを仲良く分け合う2人は、はたから見たらごく普通の仲の良いカップルのようだった。その若さにそぐわぬ重い使命感など、この時ばかりは少しも感じさせなかったことだろう。
(…もしこの世界が平和だったら、パイと俺はこんな毎日を過ごしていたんだろうか?)
トランクスは想像してみる。パイと学校に通い、友だちを作り、放課後は一緒にアイスを食べに出かける。そんなささやかな毎日を。もし人造人間がいなければ2人はそんな風に過ごしていたんだろうか。
それは考えてもわからないことだった。人造人間の襲撃が2人を引き合わせ、使命を共にする盟友として結び付けた。もし平和だったら会うことすらなかったのかもしれない。
(…過去の世界…これから未来が変わるはずの過去の世界の俺たちは…平和な世界で仲良く育ってくれたらいいな…)
思わずそんなことを考えてしまった。
物思いに沈むトランクスだったが、ふと横のパイに目をやると、彼女はまるで宝物を抱えるようにアイスを少しずつ大切に食べ進めていた。その姿は「楽しみをできるだけ長く味わいたい」と語っているようで。夢中で味わっているパイの姿を見てトランクスの心には愛おしさがこみあげてきた。
思わず、トランクスはパイに問いかけた。
「あのさ……もし、この世界が平和になったら。まず、どこへ行きたい?」
パイはスプーンを止め、少し遠くを見るように目を細めた。
「……うーん。どこだろう。世界中のいろんなところに行ってみたいけど……」
ひと呼吸置き、ゆっくりと続ける。
「──花火を、見てみたいかな」
「花火?」
「うん。夜空に大きく咲くんでしょう? すごくきれいだって聞いた。昔はパオズ山の村のお祭りでもあったらしいけど、私は一度も見たことがなくて……」
そう語るパイの声音には、憧れと寂しさが入り混じっていた。
トランクスは少し考えてから首を横に振る。
「俺も、生で見たことはないんだ。でも……きっと綺麗だろうな」
「ね。きっと、すごく綺麗なんだろうね」
パイは少しはにかんで笑った。その横顔を見つめながら、トランクスは「いつか絶対彼女に花火を見せてあげたい」と強く思った。
しかし、そんな風に話している間に、二人の持つアイスの縁がじわりと溶け始める。
「わ!溶けてきた。パイ、早く食べないとアイスは溶けちゃうんだ」とトランクスがパイに促す。
「……ほんとだ」
急いでスプーンを動かしながら、パイが驚いたようにつぶやく。
「アイスって、こんなにすぐ溶けちゃうんだね。パオズ山じゃ、そりゃ食べられないわけだ」
納得したように頷く横顔に、トランクスは思わず笑ってしまう。
やがてカップは空になると、パイは満足そうに
「おいしかった!連れてきてくれてありがとう」
「そんなに気に入ったならもう一回買いに行く?」
とトランクスが提案すると、パイは首を振った。
「ううん、いいの。今度の楽しみに取っておく。また一緒に来ようね」
その言葉に、トランクスの胸がちくりと疼いた。
この世界の「今度」は、なんと不確かなことか。けれど、それは未来を強く信じさせてくれる──まばゆい輝きを放つような言葉だった。
「うん、絶対また来よう」
とトランクスは力強く頷いた。