第四章
主人公の名前設定
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──カプセルコーポレーション、整備室の午後。
パイはブルマから任された機械の修理に取り組んでいた。
なんだかいろんな感情が吹っ切れて、気持ちが軽くなった気がする。今はただ、自分にできることを一つでも多く覚えたい。誰かの役に立ちたい。自然とそう思えるようになっていた。
手元の工具を置いて立ち上がると、指先に薄くついた黒い油が目に入った。無意識に、それをじっと見つめる。
油の感触に煩わしさはなく、不思議と誇らしささえあった。夢中で作業しているうちに時間が過ぎていくのも悪くない。ブルマやトランクスの暮らしの気配をそこかしこに感じるこの場所も、昔よりずっと、あたたかくて居心地がいい。
軽く背筋を伸ばすように伸びをすると、窓の外に目をやった。青空にいくつかの雲が流れている。気持ちいい夏の青空だ。
(……ちょっと外の風に当たろうかな)
***
倉庫まで歩いてきたパイは、不意に足を止めた。薄暗い隅に、一台の古びたバイクが置かれている。
シートにはほこりが積もり、タイヤの空気も抜けかけ、長い間、誰にも触れられていないことを物語っていた。けれど──その丸みを帯びたレトロなフォルムに、なぜだか心が惹かれた。気づけば自然と近づき、そっと手を伸ばしていた。
(これ……誰も使ってないのかな)
そっと車体に手を添えると、チャンのバイクに乗せてもらった日のことを思い出していた。風を切るように走り抜けたあの感覚。見たことのない景色。
子どものころから胸の奥にずっと仕舞い込んでいた「冒険したい」という気持ちが、小さく、でも確かによみがえってきた。
(あの頃の約束──トランクスと「一緒に世界を見に行こう」って話したっけ)
あれはまだ、自分が何も知らなかった頃。兄のいない未来も、自分の小ささや弱ささえも……。
でも今、思う。「いつか平和になったら……」じゃなくて、今世界を見に行っても、きっといいんじゃないか。もちろん人造人間の動きには予断を許さないが、近くで行けるところはたくさんありそうだ。
研究室に戻ると、パイはすぐさまブルマに話しかけた。
「ブルマさん、あの……倉庫の隅にあったバイク、もし誰も使ってないなら私に整備させてくれませんか?……修理して乗ってみたくて」
ブルマは振り返ると、目をぱちくりとさせたあと、ふっと微笑んだ。
「あら、あれまだあったのね。懐かしいわねえ! 孫君と一緒に旅してたときのバイクよ」
「えっ、お父さんとですか?」
ブルマはうんうんと楽しそうにうなずいた。
「そうそう。孫君ったら、バイク見るの初めてだったみたいで、すっごい警戒していたの。面白かったわ~。崖道でエンストしたり、川に落ちたり……まあ、いろいろあったわ。でもね、不思議と楽しかったのよ。だいぶ古いけど案外しっかりしてるから、整備すればまだまだ現役よ」
ブルマは思い出話に頬を緩めながら、パイを見てにっこり笑う。
「パイちゃん、バイク乗れるの?」
「……少しだけ。チャンに教えてもらったんです」
「あらあら、なるほどねぇ~。じゃあ、せっかくだからちゃんと整備して、カスタムもしてみたらいいんじゃない。どうせなら、もっと旅に出たくなるようなバイクにしなきゃ!手伝ってあげる」
自分以上に張り切りだして工具の棚を漁るブルマの姿を見て、パイは思わず笑ってしまった。
未来はまだ何ひとつ確かじゃないけれど──それでも、楽しみが増えていく。そんな毎日が愛おしいと思えるようになっていた。
パイはブルマから任された機械の修理に取り組んでいた。
なんだかいろんな感情が吹っ切れて、気持ちが軽くなった気がする。今はただ、自分にできることを一つでも多く覚えたい。誰かの役に立ちたい。自然とそう思えるようになっていた。
手元の工具を置いて立ち上がると、指先に薄くついた黒い油が目に入った。無意識に、それをじっと見つめる。
油の感触に煩わしさはなく、不思議と誇らしささえあった。夢中で作業しているうちに時間が過ぎていくのも悪くない。ブルマやトランクスの暮らしの気配をそこかしこに感じるこの場所も、昔よりずっと、あたたかくて居心地がいい。
軽く背筋を伸ばすように伸びをすると、窓の外に目をやった。青空にいくつかの雲が流れている。気持ちいい夏の青空だ。
(……ちょっと外の風に当たろうかな)
***
倉庫まで歩いてきたパイは、不意に足を止めた。薄暗い隅に、一台の古びたバイクが置かれている。
シートにはほこりが積もり、タイヤの空気も抜けかけ、長い間、誰にも触れられていないことを物語っていた。けれど──その丸みを帯びたレトロなフォルムに、なぜだか心が惹かれた。気づけば自然と近づき、そっと手を伸ばしていた。
(これ……誰も使ってないのかな)
そっと車体に手を添えると、チャンのバイクに乗せてもらった日のことを思い出していた。風を切るように走り抜けたあの感覚。見たことのない景色。
子どものころから胸の奥にずっと仕舞い込んでいた「冒険したい」という気持ちが、小さく、でも確かによみがえってきた。
(あの頃の約束──トランクスと「一緒に世界を見に行こう」って話したっけ)
あれはまだ、自分が何も知らなかった頃。兄のいない未来も、自分の小ささや弱ささえも……。
でも今、思う。「いつか平和になったら……」じゃなくて、今世界を見に行っても、きっといいんじゃないか。もちろん人造人間の動きには予断を許さないが、近くで行けるところはたくさんありそうだ。
研究室に戻ると、パイはすぐさまブルマに話しかけた。
「ブルマさん、あの……倉庫の隅にあったバイク、もし誰も使ってないなら私に整備させてくれませんか?……修理して乗ってみたくて」
ブルマは振り返ると、目をぱちくりとさせたあと、ふっと微笑んだ。
「あら、あれまだあったのね。懐かしいわねえ! 孫君と一緒に旅してたときのバイクよ」
「えっ、お父さんとですか?」
ブルマはうんうんと楽しそうにうなずいた。
「そうそう。孫君ったら、バイク見るの初めてだったみたいで、すっごい警戒していたの。面白かったわ~。崖道でエンストしたり、川に落ちたり……まあ、いろいろあったわ。でもね、不思議と楽しかったのよ。だいぶ古いけど案外しっかりしてるから、整備すればまだまだ現役よ」
ブルマは思い出話に頬を緩めながら、パイを見てにっこり笑う。
「パイちゃん、バイク乗れるの?」
「……少しだけ。チャンに教えてもらったんです」
「あらあら、なるほどねぇ~。じゃあ、せっかくだからちゃんと整備して、カスタムもしてみたらいいんじゃない。どうせなら、もっと旅に出たくなるようなバイクにしなきゃ!手伝ってあげる」
自分以上に張り切りだして工具の棚を漁るブルマの姿を見て、パイは思わず笑ってしまった。
未来はまだ何ひとつ確かじゃないけれど──それでも、楽しみが増えていく。そんな毎日が愛おしいと思えるようになっていた。