第四章
主人公の名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ある日の午後。修行を終えたトランクスは一人、レジスタンス拠点へと向かっていた。ブルマから預かった備品や救急キットが入ったポイポイカプセルを届けるためだ。
──その日の朝、研究室の片隅。
ブルマがパイにカプセルを手渡していた。
「パイちゃん、これ今日チャンさんに渡しに行ってくれない? 頼まれていた備品と救急キットが入っているから」
その声が耳に入った瞬間、トランクスは反射的に動いていた。
「それ、僕が届けておきますよ。修行帰りに寄れるので」
少し強引なくらいの勢いでパイの手からカプセルを奪い取った。
「えっ、でも……」とパイが言いかけたが、
「任せて」と微笑んでその場を切り上げた。
(……なんで、あんなことしたんだろう)
風を切って空を飛びながら、トランクスは自問していた。
(これを渡すのを防いだからって、どうなるもんでもないのに……)
でも2人が一緒にいる姿を想像したら、居ても立ってもいられなくなり動いていた。
(……パイと、あの人は、どこへ行って何を話したんだろう)。
***
拠点で出迎えたのは他でもない、チャン本人だった。軽装で、道具袋を腰に下げ、手には油の付いたレンチを持っている。どうやら整備作業の途中らしい。
「おう、トランクス。おつかれさん」
「これ、母さんから預かってきました。備品と救急キットです」
トランクスが差し出したポイポイカプセルを、チャンは受け取り、軽く振ってみせた。
「サンキュー。ほんっと、これ便利よなあ。技術の塊って感じ」
いくつか技術に対する雑談を交わす。ほんの数分の立ち話。
けれどトランクスの表情には、少しだけ迷いが浮かびはじめる。眉がわずかに揺れ、何かを言おうと、声が喉の奥まで出かかっているような落ち着かない様子だ。
「……あの」
意を決したように、ようやく絞り出すように切り出す。
「……パイと、どこに行ったんですか……?」
視線を逸らしたまま切り出した問い──その声は、聞かずにはいられなかったというように切実な響きを伴っていた。
チャンは一瞬目を丸くし──その後ふっと優しく微笑んだ。
「……やっと聞いたなあ、おい。めちゃくちゃ顔に出てたぞ。ここに来た時からずっとそれを聞くの我慢してたんだろ?」
「そ、そんなわけじゃ……!」
「ウソつけ!目がめちゃくちゃ泳いでた」
チャンは笑いながら、トランクスの首に腕を回して軽くヘッドロックをかけて耳元でささやく。
「で、教えてほしいって?」
「……っ」
「──でもな……」
ヘッドロックのまま、チャンは少しだけトーンを落とす。
「好きな子が、誰と、いつ、どこで、何を話したかなんてのは、詮索するだけ野暮だ。そんなに気になるなら──自分から誘ってみたらどうだ?」
トランクスの動きが、ぴたりと止まった。
「お前が気になってんのは、“何を話したか”じゃなくて、“自分がパイと一緒にいたかった”って気持ちだろ? だったら、その気持ちで動けばいいんじゃないか」
「……っ」
──図星だった。
トランクスは口をつぐみ、頬に赤みを帯びた顔をそっとそらす。
情けないくらい素直に照れた顔を見て、チャンはふっと表情を和らげてトランクスから腕を外した。
「安心しな。別に口説いたりしたわけじゃねぇよ」
「……」
ほんの少しだけ、トランクスの肩から力が抜ける。
「……まっすぐで不器用で……かわいい子だなとは思うけどな」
その一言に、トランクスは息を飲んだ。けれど、それ以上は何も言えなかった。
チャンはポイポイカプセルを棚に置き、再び工具を取りながら、背中越しにぽつりと言った。
「気になるなら、誘ってみろよ。もたもたしてたら、世界の終わりが先に来ちまうぜ?」
その言葉は、冗談めかしていたが、気づかわし気な優しい響きがあった。
トランクスは言葉を失って立ち尽くした。チャンは肩をすくめ、また工具を手に作業に戻っていく。
──帰り道。あとに残ったのは、自分の未熟さへの気づきだった。
大人びていて、器が大きくて、飄々としているけれど本当は誰よりも周囲をよく見ている男。チャン。
(……俺、なにやってるんだろうな)
敗北感にも似た思いが、胸の奥で静かに息をした。
──その日の朝、研究室の片隅。
ブルマがパイにカプセルを手渡していた。
「パイちゃん、これ今日チャンさんに渡しに行ってくれない? 頼まれていた備品と救急キットが入っているから」
その声が耳に入った瞬間、トランクスは反射的に動いていた。
「それ、僕が届けておきますよ。修行帰りに寄れるので」
少し強引なくらいの勢いでパイの手からカプセルを奪い取った。
「えっ、でも……」とパイが言いかけたが、
「任せて」と微笑んでその場を切り上げた。
(……なんで、あんなことしたんだろう)
風を切って空を飛びながら、トランクスは自問していた。
(これを渡すのを防いだからって、どうなるもんでもないのに……)
でも2人が一緒にいる姿を想像したら、居ても立ってもいられなくなり動いていた。
(……パイと、あの人は、どこへ行って何を話したんだろう)。
***
拠点で出迎えたのは他でもない、チャン本人だった。軽装で、道具袋を腰に下げ、手には油の付いたレンチを持っている。どうやら整備作業の途中らしい。
「おう、トランクス。おつかれさん」
「これ、母さんから預かってきました。備品と救急キットです」
トランクスが差し出したポイポイカプセルを、チャンは受け取り、軽く振ってみせた。
「サンキュー。ほんっと、これ便利よなあ。技術の塊って感じ」
いくつか技術に対する雑談を交わす。ほんの数分の立ち話。
けれどトランクスの表情には、少しだけ迷いが浮かびはじめる。眉がわずかに揺れ、何かを言おうと、声が喉の奥まで出かかっているような落ち着かない様子だ。
「……あの」
意を決したように、ようやく絞り出すように切り出す。
「……パイと、どこに行ったんですか……?」
視線を逸らしたまま切り出した問い──その声は、聞かずにはいられなかったというように切実な響きを伴っていた。
チャンは一瞬目を丸くし──その後ふっと優しく微笑んだ。
「……やっと聞いたなあ、おい。めちゃくちゃ顔に出てたぞ。ここに来た時からずっとそれを聞くの我慢してたんだろ?」
「そ、そんなわけじゃ……!」
「ウソつけ!目がめちゃくちゃ泳いでた」
チャンは笑いながら、トランクスの首に腕を回して軽くヘッドロックをかけて耳元でささやく。
「で、教えてほしいって?」
「……っ」
「──でもな……」
ヘッドロックのまま、チャンは少しだけトーンを落とす。
「好きな子が、誰と、いつ、どこで、何を話したかなんてのは、詮索するだけ野暮だ。そんなに気になるなら──自分から誘ってみたらどうだ?」
トランクスの動きが、ぴたりと止まった。
「お前が気になってんのは、“何を話したか”じゃなくて、“自分がパイと一緒にいたかった”って気持ちだろ? だったら、その気持ちで動けばいいんじゃないか」
「……っ」
──図星だった。
トランクスは口をつぐみ、頬に赤みを帯びた顔をそっとそらす。
情けないくらい素直に照れた顔を見て、チャンはふっと表情を和らげてトランクスから腕を外した。
「安心しな。別に口説いたりしたわけじゃねぇよ」
「……」
ほんの少しだけ、トランクスの肩から力が抜ける。
「……まっすぐで不器用で……かわいい子だなとは思うけどな」
その一言に、トランクスは息を飲んだ。けれど、それ以上は何も言えなかった。
チャンはポイポイカプセルを棚に置き、再び工具を取りながら、背中越しにぽつりと言った。
「気になるなら、誘ってみろよ。もたもたしてたら、世界の終わりが先に来ちまうぜ?」
その言葉は、冗談めかしていたが、気づかわし気な優しい響きがあった。
トランクスは言葉を失って立ち尽くした。チャンは肩をすくめ、また工具を手に作業に戻っていく。
──帰り道。あとに残ったのは、自分の未熟さへの気づきだった。
大人びていて、器が大きくて、飄々としているけれど本当は誰よりも周囲をよく見ている男。チャン。
(……俺、なにやってるんだろうな)
敗北感にも似た思いが、胸の奥で静かに息をした。