第四章
主人公の名前設定
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──カプセルコーポ―レーション。
修行を終えて帰ってきたトランクスが研究室のドアをそっと開けると、目に入ってきたのは回路図に目を凝らすパイの姿だった。
「これ……この順番で組んでいいのかな?」
パイが小さく呟き、眉を寄せて真剣な眼差しで機械と回路図を見比べている。
「うん、それで合ってるわ。やっぱり飲み込み早いわ。パイちゃん、前よりずっと頼れるもの」
隣にいたブルマが回路図をのぞき込んで補足すると、パイに微笑みかけている。
「……ありがとう。ブルマさんのおかげだと思う」
パイは照れくさそうに微笑む。その顔がふと、トランクスの方を向く。ぱっと花が咲くように、輝くような笑顔が広がった。
「あれ、トランクス帰ってたの? おかえり!」
「ただいま」
トランクスの胸に、やわらかな風が吹き抜けたような気がした。
(この笑顔……)
彼女は変わった。
力の差が広がったこともあり、最近はふたりでの修行の時間はずいぶん減った。でも──昔以上に、彼女と過ごす時間は増えていた。一緒にレジスタンスの拠点に行ったり、ブルマの仕事を手伝って帰るのが遅くなれば、そのまま泊まっていくことも、今では自然になった。
ブルマの仕事の手伝いも、以前は頼まれたことを淡々とする感じだった。けれど最近は、工具の扱い方を覚えたり、専門書を借りて勉強したり──自分から積極的に学ぼうとしている。彼女なりに、力だけではない、今の自分にできることを探しているようだった。
「もうすぐ制御盤の組み方、覚えられそう」と言って笑ったパイの顔を見たとき、胸がきゅっとした。
彼女の変化が、なんだかとても愛おしかった。
(……それに、最近はまぶしいくらいに、きれいだ)
潤んだ黒い瞳は、以前よりも強い意思を宿して内側から輝いているようだった。無意識のうちに髪をかき上げる仕草や、何かに集中しているときの思案気な顔。ふとした拍子に浮かぶ笑顔に──トランクスの心はどうしようもなくかき乱された。
昔からきれいだったけれど、今の彼女には生き生きとした光が宿っている。
時折、何かに怒っているのか、そっけない態度を取られることもあった。でも、それも悪くないと思った。完全に心を閉ざされていた頃に比べたら、ずっと……ずっといい。
パイは道具を片づけると、「ちょっと、飲み物取ってくるね」と言い残して研究室を出ていった。
入れ替わるように、ブルマがトランクスのそばに歩み寄ってきた。
「ねえ、トランクス」
ふいにかけられた声に、ぼんやりパイの後ろ姿を見ていたトランクスは少し遅れて顔を向けた。
「最近のパイちゃん、すごい変わったわよね。前は張りつめたように一生懸命だったけど、今は……楽しんでるっていうか」
「はい……そうですね」
少しだけ間を置いて答えた自分の声が、どこか遠くに感じた。
(でも……)
心の奥に、冷たいものが沈んでいくように感じた。
(その“変化”に……俺は、関われてない)
知っている。
パイが少しずつ変わっていったのは、あの夜──自分が傷ついた夜からだと思っていた。でも、そうじゃない。チャンが現れたからだ。
彼とパイがふたりでどこかへ出かけたらしい、という話を耳にした。詳しいことは知らない。でも、パイの目にふと宿る穏やかな光の先に、彼──チャンの姿があるように感じる。彼女が変わっていったのは、きっと、あの人のおかげだ。
……自分が、3年間何もできなかったのに。
悟飯の死に傷つき、絶望し、心を閉ざした彼女を前に、自分はずっと同じ場所で立ち尽くしていたような気がする。
(俺は──ただ、見てるだけだった……)
いつだってそうだ。3年前のあの日も、泣いている彼女の姿をただ見ていることしかできなかった。
「トランクス?」
物思いにふけっていた自分に、ブルマが声をかける。顔を上げると、ブルマが気づかわし気にこっちをのぞき込んでいた。
「そんな難しい顔して。なに考えてたの? パイのこと?」
「……いや、ちがっ……うん、ちょっとだけ」
図星を突かれて慌てるトランクスを見てブルマはふふっと小さく笑った。
「大丈夫よ。あの子、きっとちゃんと進んでいる」
それがどういうことなのか、進んだ先に誰がいるのか……深くは聞けなかった。ただその言葉が、ひどく胸にしみた。
修行を終えて帰ってきたトランクスが研究室のドアをそっと開けると、目に入ってきたのは回路図に目を凝らすパイの姿だった。
「これ……この順番で組んでいいのかな?」
パイが小さく呟き、眉を寄せて真剣な眼差しで機械と回路図を見比べている。
「うん、それで合ってるわ。やっぱり飲み込み早いわ。パイちゃん、前よりずっと頼れるもの」
隣にいたブルマが回路図をのぞき込んで補足すると、パイに微笑みかけている。
「……ありがとう。ブルマさんのおかげだと思う」
パイは照れくさそうに微笑む。その顔がふと、トランクスの方を向く。ぱっと花が咲くように、輝くような笑顔が広がった。
「あれ、トランクス帰ってたの? おかえり!」
「ただいま」
トランクスの胸に、やわらかな風が吹き抜けたような気がした。
(この笑顔……)
彼女は変わった。
力の差が広がったこともあり、最近はふたりでの修行の時間はずいぶん減った。でも──昔以上に、彼女と過ごす時間は増えていた。一緒にレジスタンスの拠点に行ったり、ブルマの仕事を手伝って帰るのが遅くなれば、そのまま泊まっていくことも、今では自然になった。
ブルマの仕事の手伝いも、以前は頼まれたことを淡々とする感じだった。けれど最近は、工具の扱い方を覚えたり、専門書を借りて勉強したり──自分から積極的に学ぼうとしている。彼女なりに、力だけではない、今の自分にできることを探しているようだった。
「もうすぐ制御盤の組み方、覚えられそう」と言って笑ったパイの顔を見たとき、胸がきゅっとした。
彼女の変化が、なんだかとても愛おしかった。
(……それに、最近はまぶしいくらいに、きれいだ)
潤んだ黒い瞳は、以前よりも強い意思を宿して内側から輝いているようだった。無意識のうちに髪をかき上げる仕草や、何かに集中しているときの思案気な顔。ふとした拍子に浮かぶ笑顔に──トランクスの心はどうしようもなくかき乱された。
昔からきれいだったけれど、今の彼女には生き生きとした光が宿っている。
時折、何かに怒っているのか、そっけない態度を取られることもあった。でも、それも悪くないと思った。完全に心を閉ざされていた頃に比べたら、ずっと……ずっといい。
パイは道具を片づけると、「ちょっと、飲み物取ってくるね」と言い残して研究室を出ていった。
入れ替わるように、ブルマがトランクスのそばに歩み寄ってきた。
「ねえ、トランクス」
ふいにかけられた声に、ぼんやりパイの後ろ姿を見ていたトランクスは少し遅れて顔を向けた。
「最近のパイちゃん、すごい変わったわよね。前は張りつめたように一生懸命だったけど、今は……楽しんでるっていうか」
「はい……そうですね」
少しだけ間を置いて答えた自分の声が、どこか遠くに感じた。
(でも……)
心の奥に、冷たいものが沈んでいくように感じた。
(その“変化”に……俺は、関われてない)
知っている。
パイが少しずつ変わっていったのは、あの夜──自分が傷ついた夜からだと思っていた。でも、そうじゃない。チャンが現れたからだ。
彼とパイがふたりでどこかへ出かけたらしい、という話を耳にした。詳しいことは知らない。でも、パイの目にふと宿る穏やかな光の先に、彼──チャンの姿があるように感じる。彼女が変わっていったのは、きっと、あの人のおかげだ。
……自分が、3年間何もできなかったのに。
悟飯の死に傷つき、絶望し、心を閉ざした彼女を前に、自分はずっと同じ場所で立ち尽くしていたような気がする。
(俺は──ただ、見てるだけだった……)
いつだってそうだ。3年前のあの日も、泣いている彼女の姿をただ見ていることしかできなかった。
「トランクス?」
物思いにふけっていた自分に、ブルマが声をかける。顔を上げると、ブルマが気づかわし気にこっちをのぞき込んでいた。
「そんな難しい顔して。なに考えてたの? パイのこと?」
「……いや、ちがっ……うん、ちょっとだけ」
図星を突かれて慌てるトランクスを見てブルマはふふっと小さく笑った。
「大丈夫よ。あの子、きっとちゃんと進んでいる」
それがどういうことなのか、進んだ先に誰がいるのか……深くは聞けなかった。ただその言葉が、ひどく胸にしみた。