第三章
主人公の名前設定
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パイを見送った後、ブルマは窓辺に腰掛けてぼんやり外を眺めていた。若いころの、熱に浮かされたようなあの季節の空気が、胸の中に鮮やかに蘇った。
居候で住まわせることになったのは「サイヤ人の王子」を名乗る男だった。
ただひたすらに強さを追い求め、日々修行に打ち込むその背中は、まるで己の誇りに縛られているかのようだった。自らを苛むように限界まで追い込み、誰にも心を許さず、いつも張りつめた気配を漂わせていた。
始めは冷酷な人間だと思った。だけど、ともすると寂しそうにも見える横顔に不意に目が引き寄せられ、気が付けば不思議と彼を目で追っている自分がいた。
関係を持ったのは、ただの気まぐれだった。気まぐれだと思っていた。
一線を越えた後も、彼は決して心の奥までブルマを受け入れてくれることはなかった。……それでも、時折ふとした瞬間に、優しさのようなものが見えた気がした。
この男に、もしかして愛されているのかもしれない──そう思ったことが何度かあった。
けれど、そんな気配を見せたあとには、決まって冷ややかな態度で突き放された。
彼はそんな甘い顔を見せてしまった自分を強く恥じているようだった。誇り高いサイヤ人の王子が、ただの人間の女に情をかけるのは愚かだと思ったのかもしれない……。
(なぜ、女は不器用な男に恋をしてしまうのかしらね……)
ヤムチャとはケンカも多かったけれど、明るくて楽しい恋愛をしていた。
でも気づけば、そんな穏やかな日々はあっという間に遠ざかり、吹き荒れる嵐の中に身一つで飛び込んでいくような自分がいた。若かったし、熱に浮かされていたし、──そして愚かでもあったような気がする。
(ほんと……恋愛なんて、なるようにしかならないわね……)
ブルマは苦々しく微笑んだ。恋は決して第三者はおろか、自分が思うようにはならない。そんな苦い真実は、身に染みて知っていた。
しかし、あれから時間が流れた今、不思議とブルマの心に残るのは彼の冷酷さではなかった。思い出すのは、あの誇り高い、百獣の王のような凛とした佇まいだけだった。そして、残してくれた宝物──息子の存在にただ感謝がある。
時々、トランクスの表情や仕草にふと彼の影を見つけて、はっとすることがある。礼儀正しく思いやりのある息子はあの人とはまるで違う人間なのに、それでも流れる血の中には確かに彼がいる──その事実に、ブルマはどこか胸の奥で静かな誇らしさすら覚えていた。
(残念なのは、息子も私と同じで“放っておけない人”に弱いところね……)
くすっと笑う。パイとトランクス──あの子たち2人の間に何かが生まれればうれしいと思っていた。でもそうでなくても構わない。この壊れた世界でときめき、戸惑い、誰かを愛しく思って悩む──そのすべてが生きている証なのだから。
(どうかあなたたちが、生きて、生きて。誰かを好きになることを、恐れないでいてくれますように)
ブルマは心の中でそっと願っていた。願わずにはいられなかった。
居候で住まわせることになったのは「サイヤ人の王子」を名乗る男だった。
ただひたすらに強さを追い求め、日々修行に打ち込むその背中は、まるで己の誇りに縛られているかのようだった。自らを苛むように限界まで追い込み、誰にも心を許さず、いつも張りつめた気配を漂わせていた。
始めは冷酷な人間だと思った。だけど、ともすると寂しそうにも見える横顔に不意に目が引き寄せられ、気が付けば不思議と彼を目で追っている自分がいた。
関係を持ったのは、ただの気まぐれだった。気まぐれだと思っていた。
一線を越えた後も、彼は決して心の奥までブルマを受け入れてくれることはなかった。……それでも、時折ふとした瞬間に、優しさのようなものが見えた気がした。
この男に、もしかして愛されているのかもしれない──そう思ったことが何度かあった。
けれど、そんな気配を見せたあとには、決まって冷ややかな態度で突き放された。
彼はそんな甘い顔を見せてしまった自分を強く恥じているようだった。誇り高いサイヤ人の王子が、ただの人間の女に情をかけるのは愚かだと思ったのかもしれない……。
(なぜ、女は不器用な男に恋をしてしまうのかしらね……)
ヤムチャとはケンカも多かったけれど、明るくて楽しい恋愛をしていた。
でも気づけば、そんな穏やかな日々はあっという間に遠ざかり、吹き荒れる嵐の中に身一つで飛び込んでいくような自分がいた。若かったし、熱に浮かされていたし、──そして愚かでもあったような気がする。
(ほんと……恋愛なんて、なるようにしかならないわね……)
ブルマは苦々しく微笑んだ。恋は決して第三者はおろか、自分が思うようにはならない。そんな苦い真実は、身に染みて知っていた。
しかし、あれから時間が流れた今、不思議とブルマの心に残るのは彼の冷酷さではなかった。思い出すのは、あの誇り高い、百獣の王のような凛とした佇まいだけだった。そして、残してくれた宝物──息子の存在にただ感謝がある。
時々、トランクスの表情や仕草にふと彼の影を見つけて、はっとすることがある。礼儀正しく思いやりのある息子はあの人とはまるで違う人間なのに、それでも流れる血の中には確かに彼がいる──その事実に、ブルマはどこか胸の奥で静かな誇らしさすら覚えていた。
(残念なのは、息子も私と同じで“放っておけない人”に弱いところね……)
くすっと笑う。パイとトランクス──あの子たち2人の間に何かが生まれればうれしいと思っていた。でもそうでなくても構わない。この壊れた世界でときめき、戸惑い、誰かを愛しく思って悩む──そのすべてが生きている証なのだから。
(どうかあなたたちが、生きて、生きて。誰かを好きになることを、恐れないでいてくれますように)
ブルマは心の中でそっと願っていた。願わずにはいられなかった。