第二章
主人公の名前設定
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ときどき兄の夢を見る。
兄は私の横に立っている。にっこり優しく微笑んで。真面目で優しく、誰よりも強い兄──大好きな兄の気配を隣に感じて、パイは安心してそっと寄りかかる。心を寄せられる家族の存在に、安らぐ幸せを感じた。
だけど、幸せは続かない。何度夢で会えても、その夢はいつも恐ろしい結末を迎えてしまう……。
「兄ちゃん、だめ…まって、そっちへ行っちゃだめ」
気が付くと兄は前に歩いて行ってしまう。どれだけ追いかけても決して追いつけない。焦燥感とやるせなさが募る。
そして、進んだ先で兄が突然倒れる。体が血に染まり、地面に横たわる兄の姿の向こうには、人造人間たちが冷たく笑っている……。
慌てて兄に駆け寄り抱え起こすと、兄の顔からは血の気が引き、体は力なくぐったりとしている。
「やだ……兄ちゃん、私を置いていかないで。嫌だよ。兄ちゃん、兄ちゃん!」
はっと気が付くと、布団の中で汗びっしょりになって泣いていた。心臓がバクバクと波打っている。あたりを見回すと、暗い部屋にただ一人だった。窓の外を見ると、パオズ山の夜は深く、ほのかな月明かりに照らされた山や森がしんと広がっていた。静かないつもの夜の世界だ。
パイは夢の中でいつもあの日の苦しみを追体験し続けていた。再び兄に会えた幸せな気持ちと、あっという間にそれを奪われた痛みの間で、心が引き裂かれる思いだった。
(……私はこれから何度こんな思いをすればいいんだろう)
昨日のトランクスとのやり取りを思い出していた。彼の瞳に浮かんだ悲しさ──自分は今一緒にいる大切な仲間にどうしてあんなことしか言えないんだろう。
パイはベッドから起き上がると、そっと窓に近寄り開けてみる。外の空気は冷たく、彼女の体の熱を静かに冷ましていくようだった。
(……私、なんでいつもああなんだろう)
思い出すのは、トランクスの目。まっすぐな眼差しはパイのことを何も責めていなかった。ただ、悲しそうに揺れていた。
彼が傷ついた理由は分かっていた。彼が兄の死に罪悪感を抱えていることも……。過去に囚われ続ける私の頑なな感情が、優しい彼を苦しめているかはわかっていた。わかっていながら、言わずにはいられなかった自分が悔しかった。
(ほんとは私だって……未来を見たい。希望とか、仲間とか。でも……私が怖いのは失ったあとに、また立ち上がらなきゃいけないこと……もうこれ以上頑張れない気がして、怖いんだ)
誰かに寄りかかることは、もうできないと思っていた。でも、心のどこかで誰かの手を求めている自分がいる。そして、そっといつだって優しくそばにいてくれているトランクスの存在にも気づいていた。
その時、窓の外でふと風がやみ、森の梢がさわさわと揺れた。月明かりが差し込み、パイの足元に淡い光の影を落とす。
窓の外を見つめた。深い夜の先に……明日があるのなら。
(……すぐに答えなんて出せない。でも……)
窓から風がまた吹き始めた。パイはそれに目を細めながら、ただ静かに、闇の向こうを見つめていた。
兄は私の横に立っている。にっこり優しく微笑んで。真面目で優しく、誰よりも強い兄──大好きな兄の気配を隣に感じて、パイは安心してそっと寄りかかる。心を寄せられる家族の存在に、安らぐ幸せを感じた。
だけど、幸せは続かない。何度夢で会えても、その夢はいつも恐ろしい結末を迎えてしまう……。
「兄ちゃん、だめ…まって、そっちへ行っちゃだめ」
気が付くと兄は前に歩いて行ってしまう。どれだけ追いかけても決して追いつけない。焦燥感とやるせなさが募る。
そして、進んだ先で兄が突然倒れる。体が血に染まり、地面に横たわる兄の姿の向こうには、人造人間たちが冷たく笑っている……。
慌てて兄に駆け寄り抱え起こすと、兄の顔からは血の気が引き、体は力なくぐったりとしている。
「やだ……兄ちゃん、私を置いていかないで。嫌だよ。兄ちゃん、兄ちゃん!」
はっと気が付くと、布団の中で汗びっしょりになって泣いていた。心臓がバクバクと波打っている。あたりを見回すと、暗い部屋にただ一人だった。窓の外を見ると、パオズ山の夜は深く、ほのかな月明かりに照らされた山や森がしんと広がっていた。静かないつもの夜の世界だ。
パイは夢の中でいつもあの日の苦しみを追体験し続けていた。再び兄に会えた幸せな気持ちと、あっという間にそれを奪われた痛みの間で、心が引き裂かれる思いだった。
(……私はこれから何度こんな思いをすればいいんだろう)
昨日のトランクスとのやり取りを思い出していた。彼の瞳に浮かんだ悲しさ──自分は今一緒にいる大切な仲間にどうしてあんなことしか言えないんだろう。
パイはベッドから起き上がると、そっと窓に近寄り開けてみる。外の空気は冷たく、彼女の体の熱を静かに冷ましていくようだった。
(……私、なんでいつもああなんだろう)
思い出すのは、トランクスの目。まっすぐな眼差しはパイのことを何も責めていなかった。ただ、悲しそうに揺れていた。
彼が傷ついた理由は分かっていた。彼が兄の死に罪悪感を抱えていることも……。過去に囚われ続ける私の頑なな感情が、優しい彼を苦しめているかはわかっていた。わかっていながら、言わずにはいられなかった自分が悔しかった。
(ほんとは私だって……未来を見たい。希望とか、仲間とか。でも……私が怖いのは失ったあとに、また立ち上がらなきゃいけないこと……もうこれ以上頑張れない気がして、怖いんだ)
誰かに寄りかかることは、もうできないと思っていた。でも、心のどこかで誰かの手を求めている自分がいる。そして、そっといつだって優しくそばにいてくれているトランクスの存在にも気づいていた。
その時、窓の外でふと風がやみ、森の梢がさわさわと揺れた。月明かりが差し込み、パイの足元に淡い光の影を落とす。
窓の外を見つめた。深い夜の先に……明日があるのなら。
(……すぐに答えなんて出せない。でも……)
窓から風がまた吹き始めた。パイはそれに目を細めながら、ただ静かに、闇の向こうを見つめていた。