brother.──プロローグ(1〜終)
名前変換
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brother.9
足にはそこそこ自信があるので、余裕のある走りで鬼である恭弥から距離をとっていく。
(屋敷の敷地内、って言ってたけどあんまり遠くまで離れちゃうと、恭弥お兄さん私を見つけられなくなるんじゃないかな。お庭だけでも、こんなに広いよ……)
(奥にはおじ様の所有地である、立派な竹林もある……あ、このお花なんていうのかな?とってもきれい……)
名前は気付いていなかった。"雲雀 恭弥"という少年が『人を追いかける』ことに集中力をシフトするということが、どれ程恐ろしいことなのかを──
「余裕そうだね。殺すよ」
「──ッ!!?」
口から心臓が飛び出る、とはこういう状況をいう。
2分経って間もないころ、恭弥は既に名前の5メートル背後に立っていた。
恭弥がスッとこちらへ歩み出すのを見てイヤアアアと悲鳴をあげて、脚をもつれさせながら、無様な格好で茂みへ飛び込んだ。
「……視界から、消えたね
今ので君、一回捕まったよ」
「ひっ」
(やばいやばいやばい、嘘嘘お兄さん脚早すぎ)
庭園は広いのに、もう自分を見つけて此処まできたのか。
あまりに不意打ちな背後からの登場に、名前は心臓をバクバクとさせながら咄嗟に茂みに飛び込んで隠れてから、恭弥に姿を見られないよう全力で駆け出す。
しかしこんなのろまなスピードでは直ぐに追いつかれてしまうだろう。
しかし後ろを振り返って確認すると、恭弥は既に遠く離れた場所にいた。立ったまま、その場から動こうとしない。
「!?……あれ?追いかけてこない」
──君の姿を見失うたびに、10分間その場に静止してあげる。
「……10分、待ってくれるんだ…!」
10分の間で、出来るだけ遠へ離れて身を隠す場所を探す。足音が聞こえたらそっとその場を離れて、逃げる。見つかったらまたどうにかして一瞬でも恭弥の視界から消えれば、また10分稼げる。
その繰り返しで時間を稼いで、夕飯まで逃げ切る──!
15回くらい恭弥をフリーズさせられれば……リミットになるか?
やや甘い推算な気がするが、今は深く考えてる余裕がない!そう結論付けて名前は、兎に角離れた方へ、一番遠くへ、と走り出した。
……
もうすでに何度か同じ攻防を繰り返している。丁度さっき恭弥の猛襲を受け、死に物狂いで逃げて、岩間に飛び込み彼の視界から姿を消すことに成功した。
体力はだいぶ消耗している。暑さか焦りか、汗が額を濡らした。
足にはそこそこ自信があるので、余裕のある走りで鬼である恭弥から距離をとっていく。
(屋敷の敷地内、って言ってたけどあんまり遠くまで離れちゃうと、恭弥お兄さん私を見つけられなくなるんじゃないかな。お庭だけでも、こんなに広いよ……)
(奥にはおじ様の所有地である、立派な竹林もある……あ、このお花なんていうのかな?とってもきれい……)
名前は気付いていなかった。"雲雀 恭弥"という少年が『人を追いかける』ことに集中力をシフトするということが、どれ程恐ろしいことなのかを──
「余裕そうだね。殺すよ」
「──ッ!!?」
口から心臓が飛び出る、とはこういう状況をいう。
2分経って間もないころ、恭弥は既に名前の5メートル背後に立っていた。
恭弥がスッとこちらへ歩み出すのを見てイヤアアアと悲鳴をあげて、脚をもつれさせながら、無様な格好で茂みへ飛び込んだ。
「……視界から、消えたね
今ので君、一回捕まったよ」
「ひっ」
(やばいやばいやばい、嘘嘘お兄さん脚早すぎ)
庭園は広いのに、もう自分を見つけて此処まできたのか。
あまりに不意打ちな背後からの登場に、名前は心臓をバクバクとさせながら咄嗟に茂みに飛び込んで隠れてから、恭弥に姿を見られないよう全力で駆け出す。
しかしこんなのろまなスピードでは直ぐに追いつかれてしまうだろう。
しかし後ろを振り返って確認すると、恭弥は既に遠く離れた場所にいた。立ったまま、その場から動こうとしない。
「!?……あれ?追いかけてこない」
──君の姿を見失うたびに、10分間その場に静止してあげる。
「……10分、待ってくれるんだ…!」
10分の間で、出来るだけ遠へ離れて身を隠す場所を探す。足音が聞こえたらそっとその場を離れて、逃げる。見つかったらまたどうにかして一瞬でも恭弥の視界から消えれば、また10分稼げる。
その繰り返しで時間を稼いで、夕飯まで逃げ切る──!
15回くらい恭弥をフリーズさせられれば……リミットになるか?
やや甘い推算な気がするが、今は深く考えてる余裕がない!そう結論付けて名前は、兎に角離れた方へ、一番遠くへ、と走り出した。
……
もうすでに何度か同じ攻防を繰り返している。丁度さっき恭弥の猛襲を受け、死に物狂いで逃げて、岩間に飛び込み彼の視界から姿を消すことに成功した。
体力はだいぶ消耗している。暑さか焦りか、汗が額を濡らした。