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brother.──プロローグ(1〜終)

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brother.8


「でも…『あの時』の、君なら」


そう言い、横目で流すように"名前"を視線で捉えた。
あの時?と首をかしげる椎南に、恭弥が応える。


「怒り狂って、悪ガキを殴った君。あの時の君は、一瞬だけ小動物から……本物の"獣"になってるのが、見えたから」

「けもの……?」


表情の変化はけして大きなものではないのに、名前は恭弥の微細な表情の動きから、徐々に感情の変化に気付けるようになってきていた。そして分かった──今の彼は、とても楽しそうな顔をしている、と。


「あの時見せた『獣』を──もう一度、僕にみせてよ。

そしたら、正式に遊び相手になるのを認めてあげる」


……

-


「、ッゼェ……はぁ……はっ、……」

今、名前はというと、屋敷を取り囲む広い庭園のある一角で、大きな岩を背に垣根の間に身を潜めて、息を荒げていた。

「撒いたよね……?猶予は、10分……!」


名前は、恭弥と『遊んで』いた。



恭弥特別ルールの、鬼ごっこで。



──じゃあ、鬼ごっこをしようか。ルールわかるよね
──勿論、わかりますよ


(?……想像してたより、普通の遊びだ。お兄さんのことだから『じゃー、殺し合いしようか』くらい言うのではないかと思って……構えていたけど)


普通の子どもの遊びとなんら変わらず、名前は拍子抜けした。


──ルールは簡単だよ。僕が鬼。僕が君を見つけて、君の体にふれたらアウト。咬み殺すから
──以上。わかったね?


(前言撤回。無茶苦茶で、全然わかりません……お兄さん)


──その顔、不満があるの?……仕方ないね、ハンデあげる。僕が君を見つけて追いかけているあいだに、僕が君の姿を見失うたびに、10分間その場に静止してあげる
──え。10分もですか!?
──これで、逃げ切れないなんて言わないよね。範囲は屋敷の敷地内。それじゃあ、2分後に始めるから。期限はそうだね……今は15時?じゃあ、夕飯まで
──晩御飯までですね……わかりました。ハンデも頂きましたし、頑張って咬み殺されないようにします!


──うん。せいぜい楽しませてよ。


……




例の鬼ごっこが始まってからというもの、恭弥から慈悲で与えられたハンデが「まるでハンデとして意味をなさない」事に気付くのに、時間はかからないかった。


(やばいやばいやばい、恭弥お兄さん、やばい)



始めに恭弥は『最初は2分数える』と言った。

(普通20秒とかじゃないのかな。随分優しい?)

そう思ったのが馬鹿だった。

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