brother.──プロローグ(1〜終)
名前変換
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brother.7
名前のなかで、徐々に恭弥への尊敬の念がつのり、それがあたたかく胸を満たしていくのを感じた。
「これでわかったでしょ……腕輪も返したし。もう話、いい?」
そう言って恭弥は踵を返して部屋を出ていこうとする。
「あ……──ッ待って!」
彼は「まだ何か?」と足をとめて振り返る。
「あの!──う、腕輪!
池に入って、探してくれたんですか?!」
ぱち、と目を見開いた恭弥は少し間を開けて、次の瞬間……
「僕がそんな、自分の服を汚すようなこと…すると思うの?」
恭弥は、名前がこの家に来てからこの日、初めての……吸い込まれるような、媚笑を見せた。
(あ……また、今日一番の)
名前は固まった。そして訳もわからず胸の奥がきゅっと苦しくなって、鼓動がドクドクと高まっていくのを感じた。
──なんて強い人だろう。
そして彼の一言で、名前は全部理解してしまった。
池に入って遅くまで腕輪探しをさせられる悪ガキたちのその後を想像すると、少しだけ胸がすく思いがした。
(私って結構悪い子、だったのかな?……でも、)
名前もなんだか可笑しくなってきて、彼女もこの日初めての、笑顔をこぼした。
「?……」
それを見て、今度は恭弥が固まる番だった。
「お兄さん、私……お兄さんみたいに、強くなりたいです」
指針を見つけたと言わんばかりの瞳が、真っ直ぐに恭弥を見つめる。恭弥は名前の顔つきが、さっきまでとまるで変わったのを感じた。今度は目を逸らさずに言った。
「そうだね……強くなってもらわなきゃ、困る」
「…‥!」
「君がもしこれから"雲雀 恭弥の妹"を名乗っていくつもりなら……
いつまでも小動物のままでいるなんて、僕が許さない」
「!はい……私、お兄さんみたいに、群れて強がる人に屈したりしない……
強い妹になりますから」
満足のいく返事が聞けたのか、恭弥の纏う空気が少しまろやかなものになる。
名前も緊張がとけたのか、心なしか出会った頃より恭弥に近づけたような気がした。
鋭い雰囲気をといた恭弥が、廊下へとつながる引き戸に手をかけて言う。
「それじゃあ……今から、何かして遊ぼうか」
「…………えっ!?」
「何かおかしい?君は僕の遊び相手になるよう、僕の両親に頼まれたんでしょ」
「さっき、私じゃ『遊び相手にならない』って……」
「今は、ね」
名前のなかで、徐々に恭弥への尊敬の念がつのり、それがあたたかく胸を満たしていくのを感じた。
「これでわかったでしょ……腕輪も返したし。もう話、いい?」
そう言って恭弥は踵を返して部屋を出ていこうとする。
「あ……──ッ待って!」
彼は「まだ何か?」と足をとめて振り返る。
「あの!──う、腕輪!
池に入って、探してくれたんですか?!」
ぱち、と目を見開いた恭弥は少し間を開けて、次の瞬間……
「僕がそんな、自分の服を汚すようなこと…すると思うの?」
恭弥は、名前がこの家に来てからこの日、初めての……吸い込まれるような、媚笑を見せた。
(あ……また、今日一番の)
名前は固まった。そして訳もわからず胸の奥がきゅっと苦しくなって、鼓動がドクドクと高まっていくのを感じた。
──なんて強い人だろう。
そして彼の一言で、名前は全部理解してしまった。
池に入って遅くまで腕輪探しをさせられる悪ガキたちのその後を想像すると、少しだけ胸がすく思いがした。
(私って結構悪い子、だったのかな?……でも、)
名前もなんだか可笑しくなってきて、彼女もこの日初めての、笑顔をこぼした。
「?……」
それを見て、今度は恭弥が固まる番だった。
「お兄さん、私……お兄さんみたいに、強くなりたいです」
指針を見つけたと言わんばかりの瞳が、真っ直ぐに恭弥を見つめる。恭弥は名前の顔つきが、さっきまでとまるで変わったのを感じた。今度は目を逸らさずに言った。
「そうだね……強くなってもらわなきゃ、困る」
「…‥!」
「君がもしこれから"雲雀 恭弥の妹"を名乗っていくつもりなら……
いつまでも小動物のままでいるなんて、僕が許さない」
「!はい……私、お兄さんみたいに、群れて強がる人に屈したりしない……
強い妹になりますから」
満足のいく返事が聞けたのか、恭弥の纏う空気が少しまろやかなものになる。
名前も緊張がとけたのか、心なしか出会った頃より恭弥に近づけたような気がした。
鋭い雰囲気をといた恭弥が、廊下へとつながる引き戸に手をかけて言う。
「それじゃあ……今から、何かして遊ぼうか」
「…………えっ!?」
「何かおかしい?君は僕の遊び相手になるよう、僕の両親に頼まれたんでしょ」
「さっき、私じゃ『遊び相手にならない』って……」
「今は、ね」