日常編(1〜)
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9.出逢い
−
「湿潤療法にしてみたのだけど……これで傷跡が残りにくくなると思うわ」
「湿…?うん、よく分かんないけど……
あ、ありがとう!」
男の自分はキズ跡なんて残っても、全然へっちゃらなのだが。
この気遣いが、なんか女の子らしいな……などと思ったところで沢田は、はっとする。
「あっ!…いっけない。山本待たせてたんだった!」
「え?」
「ごめん俺、行かなきゃ!制服とか絆創膏とか、色々ありがとうー!」
慣れない女子とのコミュニケーションですっかり大事な友人の存在を隅に追いやっていたことを思い出す。
彼女へのお礼もそこそこに保健室を出て友人の元へ走った。
その場に立ち尽くす名前。
「……行っちゃった」
あわただしい少年だった。
自分の同い年のはずの彼は、やや頼りない体躯や純粋そうな面差しから、なんとなくほっとけない空気を感じた。
記入された入室名簿をなぞり、傷だらけの少年に大事が起こらないことを祈る。
名簿に書かれた名前は──<1-A:沢田 綱吉>
-
(あっ!治療してくれた女の子に……名前、聞いてないや)
廊下を走りながら、白衣にカチューシャをしたヘアスタイルの少女を思い返す。
(……また会ったら、お礼がしたいけど)
「おーいツナー!」
「…はぁ、……ッ山本、お待たせ!」
「遅かったのな」
「……ん、"ちょっと"ね」
汗ばむ首筋を拭いながら、右腕をギプスで固定した親友と肩を並べて、談笑しながらいつも通りの帰路についた。
-
少年少女の何気ない出逢い。
それが、過去から未来をも巻き込む因縁の物語の始まりだということを──誰も知らない。
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「湿潤療法にしてみたのだけど……これで傷跡が残りにくくなると思うわ」
「湿…?うん、よく分かんないけど……
あ、ありがとう!」
男の自分はキズ跡なんて残っても、全然へっちゃらなのだが。
この気遣いが、なんか女の子らしいな……などと思ったところで沢田は、はっとする。
「あっ!…いっけない。山本待たせてたんだった!」
「え?」
「ごめん俺、行かなきゃ!制服とか絆創膏とか、色々ありがとうー!」
慣れない女子とのコミュニケーションですっかり大事な友人の存在を隅に追いやっていたことを思い出す。
彼女へのお礼もそこそこに保健室を出て友人の元へ走った。
その場に立ち尽くす名前。
「……行っちゃった」
あわただしい少年だった。
自分の同い年のはずの彼は、やや頼りない体躯や純粋そうな面差しから、なんとなくほっとけない空気を感じた。
記入された入室名簿をなぞり、傷だらけの少年に大事が起こらないことを祈る。
名簿に書かれた名前は──<1-A:沢田 綱吉>
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(あっ!治療してくれた女の子に……名前、聞いてないや)
廊下を走りながら、白衣にカチューシャをしたヘアスタイルの少女を思い返す。
(……また会ったら、お礼がしたいけど)
「おーいツナー!」
「…はぁ、……ッ山本、お待たせ!」
「遅かったのな」
「……ん、"ちょっと"ね」
汗ばむ首筋を拭いながら、右腕をギプスで固定した親友と肩を並べて、談笑しながらいつも通りの帰路についた。
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少年少女の何気ない出逢い。
それが、過去から未来をも巻き込む因縁の物語の始まりだということを──誰も知らない。