日常編(1〜)
名前変換
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5.梅雨の終わり
時刻は17時。
帰り支度をすませて、窓から夕日の射し込む廊下を歩いていると、校舎の外のグラウンドの方からガガガ…と、大きな音が断続的に続いているのに気付いた。
一階の窓越しに外を見ると、グラウンドでは何故か工事現場で使われるような重機数台が、せわしなく動いている。
「工事……?」
兄から、グラウンド整備をする工事の予定があるとは聞いていない。
だとすると、何か不測の事態だろうか?
ここ最近校内では謎の爆発騒ぎがあったとか、下着一枚で暴れまわる露出狂がでたとか。よく分からない事象が続いているせいで、その処理に追われて兄はずっと忙しそうにしている。
(兄の手を煩わせている人物は、誰…?)
一体どんな人間が掻き回しているのか知らないが、並中で彼の機嫌を損ねるとどうなるか、わかってるんだろうか。
よっぽどの強者だろうか?
そこまで考えたところで名前は、足早に帰路につくことにした。
これから保健室に来る怪我人の数が、増えないことを祈るばかりだ。
-
屋敷に帰ると、玄関で家政婦の前園さんが迎えてくれた。
「前園さん……もう6時前でしょう?私を待っていなくても良かったのに…」
半年程前からこの家で働く前園さんは、雇用契約によると17時あがりの筈だ。結婚していて主婦なので、家では小さな息子さんや家族が待っている筈だ。
「ふふ…そんな、構いませんよ。お嬢さまのお夕飯を温めたら、お暇させていただきますわ」
「ありがとう…兄さんは?」
「お先に召し上がっていますよ」
「直ぐにいくわ」
自室で制服を脱ぎ、部屋着に着替えてから居間へ向かう。
「ただいま、兄さん」
「……」
先に卓について、黙々とサラダを頬張る恭弥。
今夜の献立は冷しゃぶサラダに、揚げたての春巻き。デザートにはカットされたグレープフルーツ…完璧すぎる。
向かいに座った名前は、いただきます。と手を合わせて早速カリカリの春巻きにかぶりつく。
(う、春巻き熱っ……肉汁がじゅわーってして、肉・タケノコ・春雨の相性が最高…)
夕飯の味を噛み締めていると、ふいに恭弥が口を開く。
「校外学習」
「えっ?何兄さん……ッ熱!」
校外学習という単語に明らかに動揺して、春巻きで舌をヤケドしな名前が聞き返す。
「何か僕に言いたいことは?」
「えっと…」
「親の同意書」
「……」
バツが悪くて目をそらす。
恭弥の両親は、名前が中学に上がるのを機に海外へ長期出張に出ているのだ。
時刻は17時。
帰り支度をすませて、窓から夕日の射し込む廊下を歩いていると、校舎の外のグラウンドの方からガガガ…と、大きな音が断続的に続いているのに気付いた。
一階の窓越しに外を見ると、グラウンドでは何故か工事現場で使われるような重機数台が、せわしなく動いている。
「工事……?」
兄から、グラウンド整備をする工事の予定があるとは聞いていない。
だとすると、何か不測の事態だろうか?
ここ最近校内では謎の爆発騒ぎがあったとか、下着一枚で暴れまわる露出狂がでたとか。よく分からない事象が続いているせいで、その処理に追われて兄はずっと忙しそうにしている。
(兄の手を煩わせている人物は、誰…?)
一体どんな人間が掻き回しているのか知らないが、並中で彼の機嫌を損ねるとどうなるか、わかってるんだろうか。
よっぽどの強者だろうか?
そこまで考えたところで名前は、足早に帰路につくことにした。
これから保健室に来る怪我人の数が、増えないことを祈るばかりだ。
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屋敷に帰ると、玄関で家政婦の前園さんが迎えてくれた。
「前園さん……もう6時前でしょう?私を待っていなくても良かったのに…」
半年程前からこの家で働く前園さんは、雇用契約によると17時あがりの筈だ。結婚していて主婦なので、家では小さな息子さんや家族が待っている筈だ。
「ふふ…そんな、構いませんよ。お嬢さまのお夕飯を温めたら、お暇させていただきますわ」
「ありがとう…兄さんは?」
「お先に召し上がっていますよ」
「直ぐにいくわ」
自室で制服を脱ぎ、部屋着に着替えてから居間へ向かう。
「ただいま、兄さん」
「……」
先に卓について、黙々とサラダを頬張る恭弥。
今夜の献立は冷しゃぶサラダに、揚げたての春巻き。デザートにはカットされたグレープフルーツ…完璧すぎる。
向かいに座った名前は、いただきます。と手を合わせて早速カリカリの春巻きにかぶりつく。
(う、春巻き熱っ……肉汁がじゅわーってして、肉・タケノコ・春雨の相性が最高…)
夕飯の味を噛み締めていると、ふいに恭弥が口を開く。
「校外学習」
「えっ?何兄さん……ッ熱!」
校外学習という単語に明らかに動揺して、春巻きで舌をヤケドしな名前が聞き返す。
「何か僕に言いたいことは?」
「えっと…」
「親の同意書」
「……」
バツが悪くて目をそらす。
恭弥の両親は、名前が中学に上がるのを機に海外へ長期出張に出ているのだ。