日常編(1〜)
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2.梅雨の終わり
−
名前は現在、並中の保健委員長を務めている。本来は保健医が受け持つはずの業務のほとんどを、彼女が捌いている。
なぜならこの学校には現在、常勤の保健医がいないのだ。担当していた女性は3月から産休に入っている。
代わりが見つかるまでは、他の教員の間で書類や生徒の手当等、簡単な業務は交代で行ってきたのだが、各々が忙しく、やはり手に余るようであった。
たまたま保健委員会へ入り、現状を知った名前が助太刀を買ってでたという経緯だ。
新入生でいきなり委員長に就任してしまった理由は……少しだけ、察してほしいが。
──業務が円滑に運ぶように、僕が取り計らってあげてもいいよ。
あの時の兄の笑顔を思い出すと、今も冷や汗がでる。
数ヶ月前に小学校を卒業した時は、自分が中学生になる頃には兄は並中を卒業した後だ……と、ずいぶん落胆したものだ。しかし入学してみるとどうだろう、兄は並中にいたではないか。
しかも、並中の絶対強者として。
カーストの最上、彼が並中のルール。
自分より屈強な男達を従える、最凶風紀委員長。
まさか自分が妄想で描いていた兄の学校での姿が現実のものだとは思わなかったが……
ともあれ、憧れの兄との夢の中学校生活。彼の折角の心配りも無駄にはできない。たまたま転がり込んできた委員会の仕事だって、完璧にこなしてみせる。
そう意気込んだ4月。そして今は6月も終わりという頃。
来月の校外学習の服を買いに行こうという友人の誘いを断ってしまったが、予定があるので仕方なかった……というのも今日は
(16時…そろそろね)
「名前ちゅわ~ん!お・待・た・せ♡」
「遅い」
保健室の扉が開き、現れたのは一人の中年男。軟派な口調とだらしない外見とは結びもつかぬ名医……Dr.シャマルだ。
「いつもの定期検診にきたぜ♡……ささ、脱いで脱いで~」
椅子に座る名前の背後に周り込んだシャマルは、肩に手をかけて白衣を脱がそうとするが、その手を退ける。
「必要ないです」
「とかなんと言っちゃって~俺のこと待ってたんだろ」
「…待ってたのは、否定はしないけど。ッ触診は、必要ない!…早く、いつもの薬をお願いします」
苛立ちで、思わず敬語が外れる。
「まーまーそうオジサンを急かすなよ。最近どう?……“呪い”は」
「変わりありません」
「現状維持、か。何かあったらすぐ教えてくれよ」
「現状、貴方しか頼れませんから」
「何その台詞…燃えちゃう」
「…黙って」
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名前は現在、並中の保健委員長を務めている。本来は保健医が受け持つはずの業務のほとんどを、彼女が捌いている。
なぜならこの学校には現在、常勤の保健医がいないのだ。担当していた女性は3月から産休に入っている。
代わりが見つかるまでは、他の教員の間で書類や生徒の手当等、簡単な業務は交代で行ってきたのだが、各々が忙しく、やはり手に余るようであった。
たまたま保健委員会へ入り、現状を知った名前が助太刀を買ってでたという経緯だ。
新入生でいきなり委員長に就任してしまった理由は……少しだけ、察してほしいが。
──業務が円滑に運ぶように、僕が取り計らってあげてもいいよ。
あの時の兄の笑顔を思い出すと、今も冷や汗がでる。
数ヶ月前に小学校を卒業した時は、自分が中学生になる頃には兄は並中を卒業した後だ……と、ずいぶん落胆したものだ。しかし入学してみるとどうだろう、兄は並中にいたではないか。
しかも、並中の絶対強者として。
カーストの最上、彼が並中のルール。
自分より屈強な男達を従える、最凶風紀委員長。
まさか自分が妄想で描いていた兄の学校での姿が現実のものだとは思わなかったが……
ともあれ、憧れの兄との夢の中学校生活。彼の折角の心配りも無駄にはできない。たまたま転がり込んできた委員会の仕事だって、完璧にこなしてみせる。
そう意気込んだ4月。そして今は6月も終わりという頃。
来月の校外学習の服を買いに行こうという友人の誘いを断ってしまったが、予定があるので仕方なかった……というのも今日は
(16時…そろそろね)
「名前ちゅわ~ん!お・待・た・せ♡」
「遅い」
保健室の扉が開き、現れたのは一人の中年男。軟派な口調とだらしない外見とは結びもつかぬ名医……Dr.シャマルだ。
「いつもの定期検診にきたぜ♡……ささ、脱いで脱いで~」
椅子に座る名前の背後に周り込んだシャマルは、肩に手をかけて白衣を脱がそうとするが、その手を退ける。
「必要ないです」
「とかなんと言っちゃって~俺のこと待ってたんだろ」
「…待ってたのは、否定はしないけど。ッ触診は、必要ない!…早く、いつもの薬をお願いします」
苛立ちで、思わず敬語が外れる。
「まーまーそうオジサンを急かすなよ。最近どう?……“呪い”は」
「変わりありません」
「現状維持、か。何かあったらすぐ教えてくれよ」
「現状、貴方しか頼れませんから」
「何その台詞…燃えちゃう」
「…黙って」