日常編(1〜)
名前変換
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1.梅雨の終わり
-
「はい、今日はここまで。配った校外学習の同意書は、来週提出するように…」
終業を告げるチャイムと共に、HRを終えた教師が帰りの挨拶を告げた。
ノートや筆記用具を鞄にしまい込んで、席を立つ。
「あ、ねーひばりちゃーん!今日校外学習の服見にいかなぁーい?」
教室を出ようとすると、クラスメイトの柏木ミユが声をかけてくる。猫っ毛のロングヘアに、ツリ目が特徴の友人だ。
「あー…でも。名前は委員会だよね?」
彼女の隣にいる、戸津ハルカも会話に加わる。黒髪のショートヘアで、細身の少女だ。
『…ん、そうなのよ』
二人に呼ばれた少女の名は、雲雀 名前。
言わずもがな、校内の“ある”有名人の妹として一部に名が知られている。
そんな名前に声をかけた二人は、彼女が並盛小に転校して以来の友人であり、よく行動を共にしている。出会った当初こそ二人は、名前に声をかけるのもおっかなびっくりであったが。
蓋を開けてみれば、名前は普通に気立ての良い少女であり、中学に上がった今ではすっかりくだけた仲だ。
「私らまだ一年なのに、名前も頑張るよねー」
『まぁ、ね』
「えぇー…じゃ、ミユたち終わるまで待ってるからぁ」
『あ、はは……ごめんさい、その後も用事があるの』
「…ほーら、困らせない。名前、委員会頑張って」
「ありがと、ハルカ」
むくれる柏木に、また今度ね。と頭をなで、友人二人に詫びをいれてから教室を後にする。
その後、指定の教室で行われた定例報告会は、例になくあっさりと終わった。
前回やそのまた前回と比べると、終始穏やかなムードで、くだけた空気感を感じたのは気のせいではないだろう。普段の定例会はもっと…ピンと張り詰めた空気だ。
理由には心当たりしか無いが。
(兄さんが定例会に来ないなんて…でも最近、忙しそうだし)
様子を見に行こうか迷ったが、諦めて保健室へ向かう。
ノックもせずに中へ入ると、壁のハンガーに掛けてある白衣に腕を通す。
本来保健医が常駐しているはずのデスクには誰も居らず、名前は置いてある椅子に慣れた様子腰掛けて、抱えていた書類をさばき始めた。
「校外学習事前健康調査、ねぇ」
先程の委員会で渡されたものだ。来月に控える校外学習に関する内容だ。
(もう6月も、終わりか)
幼い少女が雲雀家に迎えられたあの日から既に数年の月日が経っていた。
少女は無事並盛小を卒業し、4月から晴れて中学生になっていた。
じきに夏がやってくる。
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「はい、今日はここまで。配った校外学習の同意書は、来週提出するように…」
終業を告げるチャイムと共に、HRを終えた教師が帰りの挨拶を告げた。
ノートや筆記用具を鞄にしまい込んで、席を立つ。
「あ、ねーひばりちゃーん!今日校外学習の服見にいかなぁーい?」
教室を出ようとすると、クラスメイトの柏木ミユが声をかけてくる。猫っ毛のロングヘアに、ツリ目が特徴の友人だ。
「あー…でも。名前は委員会だよね?」
彼女の隣にいる、戸津ハルカも会話に加わる。黒髪のショートヘアで、細身の少女だ。
『…ん、そうなのよ』
二人に呼ばれた少女の名は、雲雀 名前。
言わずもがな、校内の“ある”有名人の妹として一部に名が知られている。
そんな名前に声をかけた二人は、彼女が並盛小に転校して以来の友人であり、よく行動を共にしている。出会った当初こそ二人は、名前に声をかけるのもおっかなびっくりであったが。
蓋を開けてみれば、名前は普通に気立ての良い少女であり、中学に上がった今ではすっかりくだけた仲だ。
「私らまだ一年なのに、名前も頑張るよねー」
『まぁ、ね』
「えぇー…じゃ、ミユたち終わるまで待ってるからぁ」
『あ、はは……ごめんさい、その後も用事があるの』
「…ほーら、困らせない。名前、委員会頑張って」
「ありがと、ハルカ」
むくれる柏木に、また今度ね。と頭をなで、友人二人に詫びをいれてから教室を後にする。
その後、指定の教室で行われた定例報告会は、例になくあっさりと終わった。
前回やそのまた前回と比べると、終始穏やかなムードで、くだけた空気感を感じたのは気のせいではないだろう。普段の定例会はもっと…ピンと張り詰めた空気だ。
理由には心当たりしか無いが。
(兄さんが定例会に来ないなんて…でも最近、忙しそうだし)
様子を見に行こうか迷ったが、諦めて保健室へ向かう。
ノックもせずに中へ入ると、壁のハンガーに掛けてある白衣に腕を通す。
本来保健医が常駐しているはずのデスクには誰も居らず、名前は置いてある椅子に慣れた様子腰掛けて、抱えていた書類をさばき始めた。
「校外学習事前健康調査、ねぇ」
先程の委員会で渡されたものだ。来月に控える校外学習に関する内容だ。
(もう6月も、終わりか)
幼い少女が雲雀家に迎えられたあの日から既に数年の月日が経っていた。
少女は無事並盛小を卒業し、4月から晴れて中学生になっていた。
じきに夏がやってくる。