brother.──プロローグ(1〜終)
名前変換
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brother.14
水が服にこぼれるのも構わず、グラスで水を少しずつ流し入れる。
名前の喉がコク…とゆっくり動くのを確認した。
「!……ッごほっ……ぁ…にい、さん」
嚥下しきれなかった水が顎から喉へこぼれ、名前の胸元を豪快に濡らす。
赤かった頬が、平常の色を取り戻していく。
水を飲ませたのが恭弥だと分かると、名前はふわりと笑った。
「ちゃんと、水分補給してなくて…ごめんなさい」
「別に。次は、2Lの水を4つ持たせて走らせるからいいよ」
「はは…」
鬼畜な事をさらっと言いつつも、その根底には安堵の表情が読みとれた。
「はぁ…本当、お水おいしい。生き返ったぁ……」
恭弥は、さぞ美味そうにグラスの水を飲み干した名前を見て、自分もかなり喉が渇いていることに気付いた。同じようにもう片方のグラスへ水を注いで口をつけると、沁みるような冷たさが舌を潤した。
「……にいさん、もっとお水…頂戴……?」
まだ回復しきっていない名前が惚けた目で、グラスを持つ恭弥へ顔を近づける。
「いいよ」
持っていたグラスを名前の頭まで持ってくると、そのまま逆さにして水をぶっかけた。
「ッひ!?……わ、きもちぃ…ふふ」
「そう。もっとかけてあげる」
ピッチャーの水もばしゃばしゃと被せられた名前は満足げに笑った。それを見た恭弥も顔を綻ばせた。
傍から見ると、かなりクレイジーな兄妹が爆誕した瞬間である。
……
ー
体のあちこち泥だらけだったので先にシャワーを浴びた。
その後で、名前はお待ちかねの夕食にありついていた。
「ぅ……っ美味しい」
今晩の献立は、白身魚のきすと舞茸の天ぷらに、冷たい蕎麦だった。
名前は雲雀家に来てから初めて口にする食事の美味さに、震えていた。ふわふわした舞茸と上品な衣を食めば、じゅわっと旨みが広がって一口また一口と箸が進む。
ふと、向かいに座る恭弥を見る。黙々と蕎麦を啜っている。
(お兄さん、毎日こんな美味しいご飯食べてるんだなぁ…)
天ぷらは、名前の母もよく作っていた。「お父さんの好物だったのよ」と作るたび口にしていたのを覚えている。
(あ……折角美味しいご飯なのに。だめ、泣いちゃ)
俯いて、涙の上がってくる感覚と波が収まるのを待つ。
「名前」
「はっ……え!?はい何でしょう!!」
「夏休み明けから、並盛小に通ってもらうから」
「えっ」
水が服にこぼれるのも構わず、グラスで水を少しずつ流し入れる。
名前の喉がコク…とゆっくり動くのを確認した。
「!……ッごほっ……ぁ…にい、さん」
嚥下しきれなかった水が顎から喉へこぼれ、名前の胸元を豪快に濡らす。
赤かった頬が、平常の色を取り戻していく。
水を飲ませたのが恭弥だと分かると、名前はふわりと笑った。
「ちゃんと、水分補給してなくて…ごめんなさい」
「別に。次は、2Lの水を4つ持たせて走らせるからいいよ」
「はは…」
鬼畜な事をさらっと言いつつも、その根底には安堵の表情が読みとれた。
「はぁ…本当、お水おいしい。生き返ったぁ……」
恭弥は、さぞ美味そうにグラスの水を飲み干した名前を見て、自分もかなり喉が渇いていることに気付いた。同じようにもう片方のグラスへ水を注いで口をつけると、沁みるような冷たさが舌を潤した。
「……にいさん、もっとお水…頂戴……?」
まだ回復しきっていない名前が惚けた目で、グラスを持つ恭弥へ顔を近づける。
「いいよ」
持っていたグラスを名前の頭まで持ってくると、そのまま逆さにして水をぶっかけた。
「ッひ!?……わ、きもちぃ…ふふ」
「そう。もっとかけてあげる」
ピッチャーの水もばしゃばしゃと被せられた名前は満足げに笑った。それを見た恭弥も顔を綻ばせた。
傍から見ると、かなりクレイジーな兄妹が爆誕した瞬間である。
……
ー
体のあちこち泥だらけだったので先にシャワーを浴びた。
その後で、名前はお待ちかねの夕食にありついていた。
「ぅ……っ美味しい」
今晩の献立は、白身魚のきすと舞茸の天ぷらに、冷たい蕎麦だった。
名前は雲雀家に来てから初めて口にする食事の美味さに、震えていた。ふわふわした舞茸と上品な衣を食めば、じゅわっと旨みが広がって一口また一口と箸が進む。
ふと、向かいに座る恭弥を見る。黙々と蕎麦を啜っている。
(お兄さん、毎日こんな美味しいご飯食べてるんだなぁ…)
天ぷらは、名前の母もよく作っていた。「お父さんの好物だったのよ」と作るたび口にしていたのを覚えている。
(あ……折角美味しいご飯なのに。だめ、泣いちゃ)
俯いて、涙の上がってくる感覚と波が収まるのを待つ。
「名前」
「はっ……え!?はい何でしょう!!」
「夏休み明けから、並盛小に通ってもらうから」
「えっ」