TOS/Promise -約束- プチリメイク版
【Story 4】
運命って、一体何だろう。
分からないまま、俺達は進み続けるんだ。
知らない内に寝てた。
今回も夢を見た。これまでで一番長い夢だ。
今回はテセアラという世界に小さな飛行機みたいので来た。
コレットを元に戻したり、拐われて取り戻したり。
プレセアとリーガルと出逢ったり、しいなが精霊と契約したり。
イセリアの牧場でクラトスとゼロス先生とリフィル先生と敵に挑んだ所で、醒めた。
クラトスは――味方なのか、敵なのか分からない。
◆ ◆ ◆
「……うーん」
「どうしたの? 考え込むなんてロイドらしく無いよ」
「……分からない……」
「僕はロイドの頭が分からないよ……」
いつもの帰り道で、ジーニアスに呆れられる。
こんな事を言われても、今の俺には反論出来ないよなぁ。
この夢を見ているのは自分だけなのかを確かめたくて、二人に訊いてみた。
「なぁ、二人とも。最近変な夢見ないか? 登場人物が俺達の……」
「えっ、ロイドもなの? 僕も姉さんもファンタジー染みた奇妙な夢を毎日見るんだ」
「私も見るよ〜。世界を再生するために『天使』になって……ロイドにいっぱい助けてもらったんだよ」
やっぱり俺だけじゃないのか!
ということは、あれが俺達の前世――。
それからは、それぞれの視点で展開していく夢を話し合った。
まだ物語は途中で謎は多いけど……大体二人も俺と見ている夢の内容は同じだった。
この分だと、先生達も皆同じ夢を見ているはずだ。
そして、クラトスも――。
二人と別れた俺は、来た道を疾走した。
早くクラトスに会いたい。
話したいことがたくさんあるんだ。
意識してからもっと好きになったんだけど、よく考えたら――男が男を好きになるなんて、おかしいのかな。
俺って変わってるかも……。
クルシスに飛び込むと、カウンターにユアン先生が立っていた。
「ユアン先生、クラトスは?」
「クラトスなら、奥で新作の試作中だ。お前も味見していくか?」
「んじゃ、失礼しまーす」
キッチンに入ると、クラトスが真剣な面持ちでケーキを作っていた。
白いパティシエ衣装をまとったその姿は、とても威厳があってシンプルにカッコいい。
あまりじっと見ないようにしないと、見惚れてしまいそうだ。
クラトスの横に移動して、恐る恐る話しかけてみる。
「何作ってんの?」
「新作の『桜とよもぎのモンブラン』だ」
「食べてみてもいい?」
「ああ」
クラトス特製の、桜とよもぎのモンブランを食べてみる。
上にたっぷり乗せられた桜あんと、甘さ控えめの生クリーム、そしてよもぎの味がするスポンジケーキの相性が抜群で、凄く美味しい。
本当にクラトスの作るケーキは全部美味いな!
ふと、彼がどうしてパティシエになったのか気になって、俺は訊ねた。
「なんであんたは、パティシエになろうとしたんだ?」
「……息子が、私の作ったケーキを『美味しい』と言ってくれたのが始まりだ」
「へぇ……」
「私は――息子はまだこの世界のどこかで生きていると信じていた。そして、いつの日か、私のケーキを食す機会があればいいと願っていた……」
「なんで過去形なんだよ! 諦めるなよ! そんな素敵な目標があるってのに――」
「いや、もう――見つけたのだ」
「そうなのか」
「……早く、気付いてくれ……」
「ん? 何か言った?」
「いや、何でもない」
「……なぁ、俺にもケーキ作らせてくれよ!」
「それなら、そこにある材料を使うと良い。その前に手洗いを念入りにするのを忘れずにな」
「おう! とびっきり良いの作るぜっ!」
手を洗ってから、網の上に積み重ねられたスポンジ生地を2枚取って、その間に生クリームをたっぷりと塗った。
その上にダイスカットの苺を散りばめていく。
スポンジ生地を重ねて、さらに生クリームをこれでもかと塗りたくって……最後に苺を乗せたら、俺流『苺のケーキ』の完成だ!
「んー、見栄えはイマイチだけど、初めてにしては良く出来てないか?」
「ああ。初めてにしては上出来だ」
「へへっ、じゃ……食べよっか」
ケーキをカットして、皿に盛り付けた。
ふわふわのケーキをフォークに刺して口いっぱいに頬張ると、口の中に幸せが広がる。
うん、間違いなく美味しい。
「クリームが付いているぞ」
不意打ち気味にクラトスの綺麗な指に頬を撫でられ――照れくさくなる。こんなの……ずるいだろ……!
「あ、ありがとなっ……」
「幸せそうに食べているお前の顔が見られて何よりだ」
「あんたは食べないのか?」
「では頂こうか」
やっぱり、好きな人に食べてもらいたかったから。
クラトスはケーキを口に運び……いつもの鋭い鷹の目を緩ませながら――。
「甘い……」
一言そう呟いた。
「……クラトスって、大の甘党なのか?」
「まぁ……そうだ」
否定しないんだぁ。あはは、クラトスの意外な一面が見れた気がしたな。
気が抜けたタイミングでふと時計を見ると、20時を過ぎていた。
流石にマズい時間だ!
「うわ、もうこんな時間! 帰らないと。親父に怒られる~っ!」
「近くまで送ろう。その方が安心だ」
「そうしてもらえると助かるよ」
クラトスに公園まで送ってもらって、普段より遅く帰宅した俺は、案の定……親父に雷 を落とされた。
大急ぎで風呂に入って、宿題に全く触れずに眠りについた。
【Story 4 Oblivion -忘却- 消えた願いを今】
運命って、一体何だろう。
分からないまま、俺達は進み続けるんだ。
知らない内に寝てた。
今回も夢を見た。これまでで一番長い夢だ。
今回はテセアラという世界に小さな飛行機みたいので来た。
コレットを元に戻したり、拐われて取り戻したり。
プレセアとリーガルと出逢ったり、しいなが精霊と契約したり。
イセリアの牧場でクラトスとゼロス先生とリフィル先生と敵に挑んだ所で、醒めた。
クラトスは――味方なのか、敵なのか分からない。
◆ ◆ ◆
「……うーん」
「どうしたの? 考え込むなんてロイドらしく無いよ」
「……分からない……」
「僕はロイドの頭が分からないよ……」
いつもの帰り道で、ジーニアスに呆れられる。
こんな事を言われても、今の俺には反論出来ないよなぁ。
この夢を見ているのは自分だけなのかを確かめたくて、二人に訊いてみた。
「なぁ、二人とも。最近変な夢見ないか? 登場人物が俺達の……」
「えっ、ロイドもなの? 僕も姉さんもファンタジー染みた奇妙な夢を毎日見るんだ」
「私も見るよ〜。世界を再生するために『天使』になって……ロイドにいっぱい助けてもらったんだよ」
やっぱり俺だけじゃないのか!
ということは、あれが俺達の前世――。
それからは、それぞれの視点で展開していく夢を話し合った。
まだ物語は途中で謎は多いけど……大体二人も俺と見ている夢の内容は同じだった。
この分だと、先生達も皆同じ夢を見ているはずだ。
そして、クラトスも――。
二人と別れた俺は、来た道を疾走した。
早くクラトスに会いたい。
話したいことがたくさんあるんだ。
意識してからもっと好きになったんだけど、よく考えたら――男が男を好きになるなんて、おかしいのかな。
俺って変わってるかも……。
クルシスに飛び込むと、カウンターにユアン先生が立っていた。
「ユアン先生、クラトスは?」
「クラトスなら、奥で新作の試作中だ。お前も味見していくか?」
「んじゃ、失礼しまーす」
キッチンに入ると、クラトスが真剣な面持ちでケーキを作っていた。
白いパティシエ衣装をまとったその姿は、とても威厳があってシンプルにカッコいい。
あまりじっと見ないようにしないと、見惚れてしまいそうだ。
クラトスの横に移動して、恐る恐る話しかけてみる。
「何作ってんの?」
「新作の『桜とよもぎのモンブラン』だ」
「食べてみてもいい?」
「ああ」
クラトス特製の、桜とよもぎのモンブランを食べてみる。
上にたっぷり乗せられた桜あんと、甘さ控えめの生クリーム、そしてよもぎの味がするスポンジケーキの相性が抜群で、凄く美味しい。
本当にクラトスの作るケーキは全部美味いな!
ふと、彼がどうしてパティシエになったのか気になって、俺は訊ねた。
「なんであんたは、パティシエになろうとしたんだ?」
「……息子が、私の作ったケーキを『美味しい』と言ってくれたのが始まりだ」
「へぇ……」
「私は――息子はまだこの世界のどこかで生きていると信じていた。そして、いつの日か、私のケーキを食す機会があればいいと願っていた……」
「なんで過去形なんだよ! 諦めるなよ! そんな素敵な目標があるってのに――」
「いや、もう――見つけたのだ」
「そうなのか」
「……早く、気付いてくれ……」
「ん? 何か言った?」
「いや、何でもない」
「……なぁ、俺にもケーキ作らせてくれよ!」
「それなら、そこにある材料を使うと良い。その前に手洗いを念入りにするのを忘れずにな」
「おう! とびっきり良いの作るぜっ!」
手を洗ってから、網の上に積み重ねられたスポンジ生地を2枚取って、その間に生クリームをたっぷりと塗った。
その上にダイスカットの苺を散りばめていく。
スポンジ生地を重ねて、さらに生クリームをこれでもかと塗りたくって……最後に苺を乗せたら、俺流『苺のケーキ』の完成だ!
「んー、見栄えはイマイチだけど、初めてにしては良く出来てないか?」
「ああ。初めてにしては上出来だ」
「へへっ、じゃ……食べよっか」
ケーキをカットして、皿に盛り付けた。
ふわふわのケーキをフォークに刺して口いっぱいに頬張ると、口の中に幸せが広がる。
うん、間違いなく美味しい。
「クリームが付いているぞ」
不意打ち気味にクラトスの綺麗な指に頬を撫でられ――照れくさくなる。こんなの……ずるいだろ……!
「あ、ありがとなっ……」
「幸せそうに食べているお前の顔が見られて何よりだ」
「あんたは食べないのか?」
「では頂こうか」
やっぱり、好きな人に食べてもらいたかったから。
クラトスはケーキを口に運び……いつもの鋭い鷹の目を緩ませながら――。
「甘い……」
一言そう呟いた。
「……クラトスって、大の甘党なのか?」
「まぁ……そうだ」
否定しないんだぁ。あはは、クラトスの意外な一面が見れた気がしたな。
気が抜けたタイミングでふと時計を見ると、20時を過ぎていた。
流石にマズい時間だ!
「うわ、もうこんな時間! 帰らないと。親父に怒られる~っ!」
「近くまで送ろう。その方が安心だ」
「そうしてもらえると助かるよ」
クラトスに公園まで送ってもらって、普段より遅く帰宅した俺は、案の定……親父に
大急ぎで風呂に入って、宿題に全く触れずに眠りについた。
【Story 4 Oblivion -忘却- 消えた願いを今】