TOS/Promise -約束- プチリメイク版
【Story 2】
朝が来た。
学校の下駄箱近くで3年生のしいなと話していると……。
「ローイド君♪ と、しいな♪」
調子の良い声と共に後ろから左腕を回される。
しいなの肩にも右腕が置かれている。
「ゼロス先生、おはよう」
「おはよう諸君! 今日も精一杯勉学に励むんだぞ〜」
「先生も朝から元気なもんだねぇ……」
「うひゃひゃひゃ!」
ゼロス先生はわざとらしい下品な笑い声をあげた。
俺が通うこの学園について話すと、俺とコレットが2年。
しいなが3年。ゼロス先生は数学担当で、リフィル先生が担任兼理科と歴史担当。
リーガル先生は体育と国語担当で、ユアン先生が音楽と保健だ。
◆ ◆ ◆
ようやく全ての授業が終わり――。
昨日と同じように曲がり角で二人と別れて桜の下へ行ってみる。
約束した相手はまだ居ないようだ。もう少し待ってみようと思ったその時――。
「……来たか、ロイド」
肩に手を置かれて、体がビクッとなった。
「うわわ! あんたどこから沸いたんだよっ」
「沸いたも何も、10分前からここに居たが……」
10分も前から、俺を待っててくれたのかな。
「そんな前から待っててくれて、ありがとな。で、あんたの名前……そろそろ教えてくれてもいいだろ?」
「……クラトスだ」
クラトス――。生き別れの父さんと、同じ名前。
やっぱり――いや、まだ決めつけるには早すぎるか。
「クラトスか。なぁ、クラトスには家族はいないのか……?」
「……妻と息子がいた。14年前のこの時期に交通事故で亡くしてしまったがな」
「……悪かったな。辛いことを思い出させるような質問しちゃって……」
「お前が謝る必要はない。あれは私の過失なのだ……」
「いや、クラトスは悪くない。起こった事は変えようがないと思うから……。俺も小さい頃に事故に遭って、母さんが息を引き取る前に親父に俺を託したってこの間教えられたんだ。まったく、誕生日にする話じゃねーよな!」
「そうか……。お前にも辛い過去があるのだな」
そう言ってくれたものの、クラトスの表情は会った時よりも暗い。
仕切り直して、明日話がしたい。
「また明日、ここで会えないか?」
「明日は仕事で忙しい」
「そっか。じゃ、俺もう帰るよ」
「もう19時を回っている。気を付けて帰るのだぞ」
「分かってるよ!」
門限を過ぎたことで親父に怒られないか考えながら、急ぎ足で家に帰る。
家に帰ってからも、ずっとクラトスについて考えてた。
クラトスが、俺の生き別れの父さんなのか?
直感と懐かしさではそんな気がするんだけど、血の繋がりを感じるものが今は全くない。
それに、俺よりも髪色は赤みがかってるし、肌も俺より白い。
周りから見ても、全然似てない。
だから俺の父さんではない――そう思う事にした。
違うんだ、と強く決心した時に残ったこの気持ちは……一体なんなのだろう。
【Story 2 Tomorrow -明日- 不思議な感情】
朝が来た。
学校の下駄箱近くで3年生のしいなと話していると……。
「ローイド君♪ と、しいな♪」
調子の良い声と共に後ろから左腕を回される。
しいなの肩にも右腕が置かれている。
「ゼロス先生、おはよう」
「おはよう諸君! 今日も精一杯勉学に励むんだぞ〜」
「先生も朝から元気なもんだねぇ……」
「うひゃひゃひゃ!」
ゼロス先生はわざとらしい下品な笑い声をあげた。
俺が通うこの学園について話すと、俺とコレットが2年。
しいなが3年。ゼロス先生は数学担当で、リフィル先生が担任兼理科と歴史担当。
リーガル先生は体育と国語担当で、ユアン先生が音楽と保健だ。
◆ ◆ ◆
ようやく全ての授業が終わり――。
昨日と同じように曲がり角で二人と別れて桜の下へ行ってみる。
約束した相手はまだ居ないようだ。もう少し待ってみようと思ったその時――。
「……来たか、ロイド」
肩に手を置かれて、体がビクッとなった。
「うわわ! あんたどこから沸いたんだよっ」
「沸いたも何も、10分前からここに居たが……」
10分も前から、俺を待っててくれたのかな。
「そんな前から待っててくれて、ありがとな。で、あんたの名前……そろそろ教えてくれてもいいだろ?」
「……クラトスだ」
クラトス――。生き別れの父さんと、同じ名前。
やっぱり――いや、まだ決めつけるには早すぎるか。
「クラトスか。なぁ、クラトスには家族はいないのか……?」
「……妻と息子がいた。14年前のこの時期に交通事故で亡くしてしまったがな」
「……悪かったな。辛いことを思い出させるような質問しちゃって……」
「お前が謝る必要はない。あれは私の過失なのだ……」
「いや、クラトスは悪くない。起こった事は変えようがないと思うから……。俺も小さい頃に事故に遭って、母さんが息を引き取る前に親父に俺を託したってこの間教えられたんだ。まったく、誕生日にする話じゃねーよな!」
「そうか……。お前にも辛い過去があるのだな」
そう言ってくれたものの、クラトスの表情は会った時よりも暗い。
仕切り直して、明日話がしたい。
「また明日、ここで会えないか?」
「明日は仕事で忙しい」
「そっか。じゃ、俺もう帰るよ」
「もう19時を回っている。気を付けて帰るのだぞ」
「分かってるよ!」
門限を過ぎたことで親父に怒られないか考えながら、急ぎ足で家に帰る。
家に帰ってからも、ずっとクラトスについて考えてた。
クラトスが、俺の生き別れの父さんなのか?
直感と懐かしさではそんな気がするんだけど、血の繋がりを感じるものが今は全くない。
それに、俺よりも髪色は赤みがかってるし、肌も俺より白い。
周りから見ても、全然似てない。
だから俺の父さんではない――そう思う事にした。
違うんだ、と強く決心した時に残ったこの気持ちは……一体なんなのだろう。
【Story 2 Tomorrow -明日- 不思議な感情】