TOS/夏、あの空の下で

 【Story 3】


「……で、クラトスさんとはうまくいったの?」
「まぁ一応、な」
「わぁ♪ 良かったね!」

 ロイドは友人達に昨日の成果を報告した。

 それから数日が経って。
 外で友人達とはしゃぎ回って帰宅したロイド。

「ただいま! 父さん」
「おかえり。今日の夕飯はお前の好きなハンバーグだぞ」
「おお!」
「今、支度をするから手を洗ってきなさい」
「はーい」

 あの日からロイドとクラトスは会話を交わす様になった。
 知らずとクラトスの態度も、随分と柔らかくなっている。

「美味いか?」
「うん、美味いよ」
「……実は私の手作りなのだが……」
「父さんの手作りか! だからいつもより美味いのか~」
「喜んでもらえたのなら私は嬉しいぞ」

 ほんの少し前なら……

『冷たい……』
『無駄口を叩くな。ならば自らの貯金で精霊王弁当でも買ってくるのだな』
『……わ、分かったよ。食えばいいんだろ……』
『そんなに嫌なのなら、もうお前の分は買ってこないぞ』
『…………も、文句言って悪かったな……』
『…………』
『…………』

 ……という様なやりとりが日常茶飯事だったのに。
 ちなみに電子レンジは故障していて加熱が出来ない。けれど、今は関係無い。

「……明日辺りコレット達とちょっと遠出してもいい?」
「ああ、行ってきなさい」

 翌日、友人達と隣町にあるプール場へ出掛ける事にしたロイドは、只今バス待ち。

「……あちぃなぁ、今日……」
「……暑いからプールに行くんでしょ」
「楽しみだね~」
「……コレットは暑くないの?」
「んと、少し暑いかな。あ、バス来たみたいだよ」

 ロイド達は、バスに乗る。そして車の運転手の正体に驚いた。

「父さんじゃないか!」
「……ロイドか、発車するぞ。適当な席に着きなさい」
「うん、分かった」

「まさか父さんだったなんてな……」
「……すまないが、私語は家に帰ったらにしてくれ」
「うん」
『……えーー。間もなく終点、響合町ー響合町ー』
「押さなきゃ!」

 * * * *

「では、気を付けてな」
「帰りも父さんだったらいいな~」
「フ……どうだろうな」

 そうして、バスを降りたロイド達はプール場へと姿を消した。

「やっほうっ!」
「……ロイドはしゃぎすぎ」
「わぁ、流れるプールがあるよ? 行こうよ♪」
「賛成~!」
「……もう」

 満足にプールを満喫し、帰る途中。

「楽しかったねぇ♪」
「今日は疲れたなー」
「ちょうど良くバスが来たよ」

 バスが来て、運転席を見たが運転していたのはクラトスではなかった。

「ロイド、残念だったね」
「帰ったら話せばいいし」

 そうして帰宅したロイド。

「ただいまー」
「おかえり。遅かったな」
「腹減ったよ~」
「今日は肉鍋だ。今準備するから辛抱してくれ」
「肉鍋かぁ」

 * * * *

「今日は楽しかったか?」
「うん、楽しかった。いっぱい泳いできたよ」
「そうか、良かったな」
「うーん! やっぱり肉鍋美味いよ!」
「そう言ってもらえると作った甲斐が有る」
「……(無我夢中で食)」
「……ロイド」
「ん?」
「明後日、遊園地にでも行くか?」
「遊園地か! 行く行く!」
「決まりだな」

 今度はクラトスの方から、ロイドを誘った。

 楽しい会話を交わし食事を終え、寝る前。

「お休み」
「ああ。お休みロイド」

 明後日を楽しみにして、眠りに着いた。


 【Story 3 変わり始めた二人】
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