TOS/夏、あの空の下で

 【Story 2】


 翌日になって、ロイドはコレット達に相談を持ち掛けた。

「なぁ……どうやったら父さんと仲良くなれると思うかな?」
「……どこか遊びに誘えばいいんじゃないの? 水族館とか」
「ん? お前、水族館行きたいのか?」
「……例えば、だよ……」

 ロイドの天然発言にジーニアスはとても呆れた顔をした。

「私も水族館行きたいな~。お魚さんが泳いでるのって可愛いよねぇ」
「……んもう、コレットまで言い出したよ……」

 この二人の天然さはまさに無敵である。話を戻して。

「水族館か……意外といいかもな」
「断られるの気にしないで誘ってみなよ」
「うん、そうして見るよ」
「頑張ってね♪」

 友人達に励まされたロイドは帰宅し、早速勇気を出して誘ってみた。

「な、なぁ……父さん……」
「……何だ」
「明日か明後日、一緒に水族館に行かないか……?」

 断られる、と思った矢先。

 「良いだろう」

 思いもしなかった、了解の言葉がとても嬉しかった。

「明日でいいかな?」
「ああ、ちょうど時間も空いているから気晴らしにでも」
「俺、楽しみにしてるよ」
「……フ」

 今日のクラトスは表情も穏やかで、どこか懐かしさを感じさせた。
 ウキウキする気持ちを抑え、ロイドは眠りについた。

 ――翌日になって。
 ロイドはクラトスと車に乗って水族館へ行く途中。

 『次はC.B.さんのリクエストで、DATのStarry Heavens!』
「……お前は、こういう曲が好きなのか……?」
「好き……だけど……」
「……奇遇だな。私も気に入ったぞ」
「……へ、へえ」

 『C.B.』とはコレットの事だとは知らずに、向かう二人。

 一方コレット宅では。

『……夜空を翔る 流れ星を今~』
「あ、私のリクエスト読んでもらえたみたい」
「これでロイド達、会話が弾んでくれるといいんだけど……」

 この二人の策略でした。

 * * * *

 そして水族館に着いたロイドとクラトスは、地下に降りて魚を鑑賞する事に。

「凄いな! うわこいつでけー!」
「……そうだな」

 少しはしゃぎ過ぎているとクラトスは思ったが、水をさす事を言うのは止まった。

「何だこいつ、生きてんのか?」
「浮き上がっていないという事は生きている」
「なんか不思議だなぁ……」

 はしゃぐロイドを見ていると、まだ幼い頃に家族で水族館に行った事を思い出すな……と思い出に浸っていると。

「……見失ったか」

 好奇心旺盛なロイドは遠くへ行ってしまっていた。
 確か、昔は迷子アナウンスで妻と冷や汗をかいた事があったな……とまたもや思い出に浸ってしまう前に。

「ロイド」
「あ、ごめんな。俺……迷惑かけたみたいだ」
「謝らんでも良い。だが、はぐれたら心配するだろう」
「う……ごめん。じゃあさ、手、繋ごうよ///」
「……」

 クラトスは急かす様に、ロイドの手をしっかりと握って歩き出した。

「ちょ、父さん早いよ」
「……すまんな」
「……」

 目を煌めかせて一つのものを見つめるロイド。

「なぁ、あれ見に行こうぜ!」
「イルカショーか……良かろう」

 ロイドはクラトスの手を離して駆けていった。

「父さんも早くー!」
「ああ」

 続いて、クラトスもロイドの元へ駆けていく。
 もう、その掛け合いは仲の良い親子の様だった。

 5匹のイルカが一斉に跳ぶと……。

「おお!」

 ロイドは思わず感動の声をあげた。
 クラトスはその顔を見て、来て良かった、と内で思った。

 ショーも終了し、夕方になって帰る途中で。

「なぁ、記念か何かにお土産とか買っていかない?」
「そうだな」

 ロイドの提案で売店へ立ち寄る事に。

「このキーホルダー欲しいな」

 それはイルカと星がついた可愛らしい緑色のキーホルダー。

「買ってやるぞ」
「父さんもお揃い買えば?」
「では、色違いを……」

 クラトスはロイドとは色違いの青いキーホルダーを買った。
 他にも色々買い、車に乗り帰宅する途中。
 何だかやけに静かだな、と後ろを振り向くと。

「……眠ってしまったか」

 今日は沢山はしゃいで疲れて、眠ってしまったロイドの表情は、とても穏やかだ。
 その寝顔にクラトスも思わず微笑んだ。

 家に着き、ロイドを起こした。

「ん……もう着いたのか……」
「ベッドまで歩け」
「俺、疲れて動けない……」

 その発言に溜め息をつきながら、渋々ロイドを部屋まで運んだ。

「今日楽しかったよ」
「私もだ」
「また、どっか二人で出掛けような……」
「ああ」

 余程疲れていたのか、すぐに眠ってしまった。
 正直、また二人で何処かへ外出したいと思った父、クラトスであった。


 【Story 2 俺達は駆ける】
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