クラウス夢
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【満月の日には】
「アユムさん、」
『えっ、あ、何?クラウス?』
クラウスは、ぼーっとしてたわたしを見て苦笑した。
「なにを考えていたんですか?」
『えっ、んー……なにってなにも』
ただ空が青いなとか、今日もエマは忙しそうだなとか、眠いなとか。
そんな、なんでもないことを考えてただけで。
『ふぁ~……』
「お昼寝しますか?」
一瞬何を言われたのかわからなかった。
ここはエリダラーダの自室で、今現在わたしのベッドで。
何故かクラウスが座ってて。
『え?』
「どうぞ?」
クラウスは自分のひざをポンッと叩いた。
まさか、いわゆる膝枕っていうやつ?
『で、でもクラウス忙しいんじゃ?!』
「今日はあまり忙しくなんです」
そういう問題じゃなくてね。
『何で膝枕?』
「私がしたいからです」
そんな即答されても困るんだけど。
「嫌ですか?」
『嫌じゃなくって、その……』
口ごもるとと、クラウスはわたしを引っ張った。
「さぁ、思う存分昼寝して下さい」
勿論わたしの頭はクラウスの足へ。
恥ずかしくて寝れない気がする。
『クラウス……』
こういうことは恋人にするもんでしょ?
「何ですか?」
クラウスはわたしの髪に指を通し、撫でる。
まぁいっか、すごく気持ち良いし。
暖かくて安心する。
「アユムさん?」
『スゥースゥー……』
「寝てしまいましたか?」
クラウスは微笑して目を閉じた。
「たまにはゆっくりするのも良いですね」
膝上にはちょうど良い重さの可愛らしい人。
手の届かないイヴの娘。
クラウスは目を開けると、窓から見える青空を見た。
青を見て思い出すのは、今眠る彼女のヘアピン。
そうとう重症かもしれませんね。
「アユムさん……」
あなたが好きです。
でも、あなたはいつか帰ってしまう。
アユムさん、もしあなたが私を選んでくれたその時は。
私達がいなくなることを望みます。
たくさんの人を殺し、悲劇を与えた私は本来、忌み嫌われる存在です。
だからいなくなるべきなんです。
それに。
アユムさんがいない世界なんて、今は考えられない。
『クラ……』
「はぃっ!?」
『ん……スゥー……』
「寝言でしたか」
本当の事を言えば、アユムさんと一緒に生きたい。
アユムさんを元の世界へ帰したくないんです。
――ポタッ。
涙がアユムさんの上に……まずい、起きてしまう。
『ん……クラウス?もしかして泣いてる?』
「泣いていませんよ」
涙をこらえて嘘を言う。
『でも変な顔してる』
アユムさんは起き上がり、じっと私の顔を見つめた。
そして不意に笑う。
『クラウス、膝枕ありがとう』
アユムさんはそう言った。
『ちょっと出かけて来るね』
あぁ、やっぱりこの人が愛しい。
「あの……アユムさん!」
『?』
私を置いて行かないでくださいとは言えずに。
「……行ってらっしゃい」
『うん、行って来ます』
大切な小さな背中を送り出す。
――満月の日まであと1日。
アユムさん……本当の私を知ったら、あなたは私を嫌いますか?
《END》私はとても怖い
2007.10.11(2024.6.27最終修正)
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