ヴェンツェル夢
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【すれ違い】
朝っぱらからまたヴェンツェルとケンカして、わたしは湖で泣いてた。
『ヴェンツェルのバカ』
「アユムっ!」
名前を呼ばれて振り返ると、リスルゥがいた。
「見つけた!帰ったらアユムいなかった……」
抱き付くリスルゥ。
『ごめんね』
「アユム、何で泣いてるの?マスタいなかったから?」
『え?』
リスルゥが言うには家に帰ったら、わたしもヴェンツェルもいなかったらしい。
一体どこ行っちゃったんだろう?
「チッ」
ヴェンツェルはクラウスの元へ来ていた。
「何の用ですか、ヴェンツェル!」
「アユムに用があるだけだ」
クラウスは唖然とする。
「アユムさん?今日はいらしてませんが……まさかヴェンツェル、あなたまたアユムさんに何か」
「煩い。オマエには関係のない事だ」
その場を去るヴェンツェル。
「いつまで経っても進歩しない人ですね」
クラウスは苦笑した。
いつまでもここにいるわけにはいかない。
『わたしがヴェンツェル連れて帰るから、リスルゥは遊んでおいで』
わたしがそう言うとリスルゥは聞き返した。
「ぜったい?」
『うん、絶対』
「わかった!!やくそくっ!」
さぁ、向かうのはやっぱり、クラウスの所だよね。
ヴェンツェルは結構慌てていた。
「くそっ」
クラウスの所にアユムはいなかった。
広場や屋敷へも行ったが見当たらない。
城も、ましてや路地裏もいなかった。
「どこにいる、アユムっ!」
『おはよークラウスー』
「おはようございます、アユムさん」
ニコニコ笑顔が眩しい。
それはおいといて。
『ヴェンツェル見なかった?』
「見ましたよ」
『本当?!どこ行ったか知ってる?』
「いえ、すぐに行ってしまったので」
『そっか』
残念、やっぱりそんな簡単に見付かる訳無いよね。
「アユムさんを探しているみたいでしたよ」
わたしを?
「アユムさんに用がある、って言ってました」
『ありがとう、クラウス。わたし探しに行ってくるね!
クラウスは苦笑し、アユムに手を振った。
「まったく……世話がやけますね」
ヴェンツェルは湖へ来ていた。
足下で何やら光っている。
「あれは」
それは紛れもなくアユムのヘアピンだった。
「ここへ来ていたのか?」
――ガサガサッ。
「誰だ」
『ヴェンツェル!やっと見付けた』
ヴェンツェルが歩み寄り、わたしの髪に触れる。
『あ、わたしのヘアピン?』
「じっとしていろ」
スッとわたしの髪に付けてくれた。
『ヴェンツェル……朝はごめん、でもヴェンツェルも』
言い方が悪かったと思うよ。
「フン、わかっている」
それだけ言うとヴェンツェルは歩いて行く。
『それから、わたしを探してくれてありがとう』
すれ違っちゃったけど、今はちゃんとわかってくれてるから。
「……帰るぞアユム」
わたしもわかるから。
『うん!あ、そうだ、ちょっと買い物してくるね』
寂しがってたリスルゥに今日はお魚料理作ってあげよう。
「早く帰ってこい」
『わかってる!』
リスルゥがいて、ヴェンツェルがいる。
何があっても、ここがわたしの帰る場所だから。
《END》お魚おいいし〜!
2007.11.24(2024.6.27最終修正)