ヴェンツェル夢
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【歳末の贈り物】
寒いエリダラーダにも、もっと寒い季節がやってきた。
『ヴェンツェル、寒い』
もうちょっとこう、どうにかならないのかな?この寒さ。
『ねぇ、ストーブくらい買おうよ』
同じ布団にくるまり、わたしに背を向けているヴェンツェルに言う。
「いらん」
ヴェンツェルと暮らし始めたものの、裕福とは言えない暮らしをしてる。
「だから金などその辺でふんだ
『そんなことしないって』
ずっとこんな調子。
『せめて、こたつさえあればなぁ』
もぞもぞ動いてヴェンツェルは向き直る。
「なんだそれは」
そっか"こたつ″知らないんだ?
「コタツ?」
いつの間にかリスルゥが話に入ってきて、こたつの説明をすることになった。
「アユム!!なになに?あったかい??」
――バンっ!!
どこからか大きな音が響く。
「なんだ、騒がしい」
すると突然、部屋のドアが開いた。
「そんなアナタに、女神の微笑み、スッチーはいかがですか~?」
出た、変態。
『神以前に、女じゃないよね?と言うか鍵閉めてたはずなのに』
ヴェンツェルは布団から飛び起きて構える。
「何故貴様がここを知っている!?」
ここは森の奥にひっそりと建つ一軒家。
「ハッピーラッキーなスッチーですから♪ね、アユムさん?」
なぜかわたしにウインクをするスティラルカの背後には大きな白い袋。
「それなにっ?!」
リスルゥは目をキラキラ輝かせてその袋に近付いた。
「チッ、リスルゥ!」
ヴェンツェルの呼びかけを無視して、スティラルカから袋を受け取るリスルゥ。
「スッチーの懐の様にあったかぁいプレゼントですよ~」
まさか、サンタのつもりとか言う?
サンタの袋みたいな物を、素早く開けたリスルゥは頭に?マークを浮かべている。
「足、よんほん」
一瞬目を疑った。
『え、こたつ?』
「心配ご無用です、こたつ布団とテーブルもありますよ」
言いながらスティラルカはササッとセッティングを終えてしまった。
「なんのつもりだ」
不機嫌丸出しの顔でスティラルカを睨みながら、こたつにもそもそと入るヴェンツェル。
「可愛い可愛いベンちゃん一家に、プレゼントですよ。お礼はアユムさ
「やらん」
あれ?なにコレ。
『ねえスティラルカ、コレって何で動いてるの?』
コンセントがないのにあったかい。
「コレはですねぇ、入った人の熱を吸収して……」
えっ!?そんなの元も子もなくない!?
「嘘ですよ?」
脱力。呆れた。
「ちょこちょこーっとイジったら、出来ちゃいましてねぇ」
スティラルカは得意気だ。
『どこをどういじったら、こんな奇怪なこたつが出来るの』
機動力がわからないこたつって、ある種のホラーかもしれない。
「ヒミツです」
謎を残して、スティラルカは風のように去って行った。
「なんなんだあの変態」
「コタツコタツ!あったか~」
まぁいっか。
『これで年越しはあったかいね』
そうヴェンツェルに言うと、また不機嫌そうな顔をされた。
「フンッ、こんな物がなくともアユムと布団にくるまっていれば、じゅうぶんあたたかいだろう?」
何を言うかと思えば、恥かしいことを。
『そんなわけないでしょ』
リスルゥはムゥッと顔を歪める。
「なんでリスルゥもいっしょじゃないのっ?!」
頬を膨らませて怒るリスルゥ。
「さぁな、考えろ」
ヴェンツェルの言葉にリスルゥは不満らしく、うなだれた。
「みゃあぅ~」
なにはともあれ。
『大掃除しないと』
「勝手にし
『ヴェンツェルにももちろん、手伝ってもらうからね!!』
ここは、あったかいわたしたちの家。
「リスルゥも手伝うー」
3人家族……の、はず。
「愛されてるアユムさんのために、私も手伝いますよ~」
『スティラルカ!?』
結局、スティラルカのおかげでヴェンツェルも嫌々手伝ってくれて。
無事に大掃除が終わった。
「呼ばれなくても、また来ますねー」
スティラルカ最強伝説が、ここに生まれた。
「二度と来るな!」
《END》よいお年を~よい人生を~~!
2008.12.18(2024.6.29加筆修正)
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