ヴェンツェル夢
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【どっちがスキ?】
それはヴェンツェルがめずらしく家にいた、そんな朝の出来事。
「アユムアユム!」
リスルゥが駆け寄って来る。
『何?』
「アユムはマスタの事スキ?」
いきなりそれ?
しかも、わたしの目の前にヴェンツェルがいるのに言えって?
『好き、だよ?』
わたしは仕方なく答えた。
するとリスルゥはニッコリ笑って。
「リスルゥもね、マスタスキ!!でもでも、アユムのほうがダイスキ!!」
アハハ、嬉しいな。
『ありがとう』
「アユムは?」
『え?』
「アユムはマスタとリスルゥどっちがスキ?」
今まで興味なさそうに朝食を食べていたヴェンツェルが、じっとわたしを見つめる。
「ほぅ。それは面白い質問だな」
笑い方が怖い。
『えっと、その……』
そもそも好きの種類が違うんじゃない?
『2人共ってダメ?』
「どっち?」
「どちらだ?」
あぁ、どうしよう!
ヴェンツェルは好きだけど、言ったらリスルゥが……
リスルゥも好きだけど、後でヴェンツェルに何されるか……
あーっ、もう!
『えっと、リスルゥかな?』
「ヤッター!!マスタに、かった!」
満面の笑みを浮かべたリスルゥは「でかけてくるー」と言うと、どこかへ行ってしまった。
家にはヴェンツェルとわたしの2人きり。
「おい」
『な、ななななっ何?』
「どもり過ぎだ」
ヴェンツェルは何事もなかったかの様に再び朝食を食べ始めた。
『怒ってないの?』
「猫に嫉妬してどうする」
まぁ確かにそれは大人気ないよね。
「それに、オマエは俺が好きではない、違うか?」
『好きじゃないって、そんなこと』
絶対ない。
わたしはヴェンツェルが好きで、大好きで……あ。
そっか、ヴェンツェルは分かってたんだ。
「そんなことなどないか?」
ヴェンツェルにしては優しい笑みを浮かべる。
『あ、ある』
そうしてニヤリと笑う。
「俺が嫌いか?」
分かってるくせにヴェンツェルは聞く。
本当にイジワルなんだから。
『だ、大好き』
あぁ、絶対今のわたしの顔真っ赤なんだろうな。
恥ずかしくてどうにかなりそう。
「たりんな」
『へ?』
一体何がたりないって言うの?!
「もっと他に言葉があるだろう?」
それって、もしかして……アレ?
あの最大級の愛情表現に用いるあの言葉?
『なんでわたしばっかり言わなきゃいけないの!』
「それもそうだな」
めずらしく納得してくれた?
「アユム、愛している……」
ま、真顔?嬉しいけど。
「……と、言え」
『はぁっ?!』
命令!?この期に及んで命令って!?
一瞬ときめいたわたしの心をどうしてくれるの!!
「間はおいた。言った事にはなるだろう?」
意地悪く笑うヴェンツェル。
『ぁあもうっ!ヴェンツェルなんか大っ嫌い!!』
「俺には愛してると聞こえるがな」
『うぅ』
でもこのイジワルな人が――わたしの愛する人。
《END》意地悪で結構だ
2007.11.3文化の日(2024.6.28最終修正)