ヴェンツェル夢
夢小説設定をしておけ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【綺麗な湖】
『ね、ヴェンツェル。明日一緒にでかけない?』
昨日の夜、わたしはヴェンツェルにそう聞いた。
「くだらん」
そう言われて話は終わったはずだった。
今朝方。
「おい、アユム」
『ん……?』
「起きろ」
『……もぅ、ちょっと……寝かせて……』
ヴェンツェルがわたしをゆする。
「……もういい」
ヴェンツェルはあきらめて1人で家を出て行ってしまった。
……もういい?
『……へ?』
やっとわたしの頭がまわりはじめる。
『っ!追いかけなきゃ!!』
わたしは服を急いで着替えて、ヴェンツェルを追いかけた。
きっといつもの場所にいるはず。
家から少し離れた所にある、森でいちばん大きな木に。
家を出ると辺りはすっかり明るかった。
7時ぐらいかな?
『ヴェンツェルー?』
予想通りヴェンツェルは木の上にいた。
『ヴェンツェール!』
木の上に寝転がっているヴェンツェルは、片目だけをわたしに向けた。
『さっきはその、ごめん』
ストンと木から降りて、ヴェンツェルはスタスタと歩いて行く。
『ちょっ、ヴェンツェル!?』
「ついて来い」
振り返ってそれだけ言うと、また歩き出した。
どこに行くんだろう?
しばらく歩き続けると、何か見えてきた。
「オマエはどうしてこういう所が好きなのか、理解できん」
『こんな所に湖なんかあったんだ……』
青く澄んでいる水。
キラキラと光が反射して綺麗なのに。
『乙女心がわかってないだけでしょ』
ヴェンツェルは鼻で笑う。
「フン、わかりたくもないな」
そう言うけど、ここに連れて来てくれたのはヴェンツェルだから。
『わたしすごく嬉しい』
素直に感想を言った。
「ただ俺が来たいからきた、それだけだ」
ヴェンツェルはさっと木にのぼり、寝転ぶ。
そんなこと言っても、わたしに「ついてこい」って言ったのはヴェンツェルなのに。
素直じゃないな。
とかいろいろ考えてるうちに、眠くなってきた。
ヴェンツェルのいる木にもたれかかる。
そうしているうちに、わたしはいつの間にか寝てしまった。
ヴェンツェルはアユムが寝たのを確認すると、木から降りた。
「すきだらけだな、まったく」
そう言って木にもたれて眠るアユムの頬を、軽くつまむ。
「だが、悪くはない」
ヴェンツェルは誰にも見せない、優しい笑顔をもらすとアユムの隣に座り、横になった。
勿論頭をアユムの足に乗せて。
『ん……?ヴェンツェル?』
足が妙に重い。
あれ?ヴェンツェルの頭がわたしの足にのってる。
『寝てるの?』
ヴェンツェルは仰向けで目を閉じたままだけど。
多分起きてるんだろうなぁ。
ヴェンツェルの綺麗な銀色の髪に手を通して撫でてみた。
「…………」
反応なし。
『ふぁ~……』
また眠くなってきちゃった。
「アユム」
赤い瞳がわたしを見上げる。
『なに?』
ほら、やっぱり起きてたんだ。
「俺からあまり、離れるな」
『え、えっと……うん』
わたしが返事をするとヴェンツェルは、また目を閉じた。
んー、なんかいいな。
ヴェンツェルとゆっくりした時間を過ごすのも。
『ヴェンツェル、ありがとう』
ここに連れて来てくれて、一緒に来てくれてありがとう。
それから、また来ようね……絶対。
《END》痺れが取れるまでここで
リクエストありがとうございました!
2007.10.28(2024.6.28最終修正)