逆転の恋愛(長編)
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ピクニックから数週間後、御剣と瑠子は新たな殺人事件の捜査で現場にいた。犯行現場は複雑に入り組んだ廃工場で捜査は難航を極めていた。御剣は冷静に指揮を執っていたが突如、隠れていた犯人が御剣に襲いかかった。犯人は現場に落ちていた金属片を手に御剣の背後から迫る。
御剣は一瞬、反応が遅れる。その状況に近くにいた瑠子が咄嗟に御剣の前に飛び出した。
「御剣検事! 危ない!」
瑠子の細い腕が御剣の背中に回り犯人の攻撃から彼を庇う。金属片は御剣を寸前で避け、彼女の左腕を深く切り裂いた。
「っ……!」
瑠子の小さな呻き声が聞こえ、御剣の体が強張った。彼は振り返り、血が滲む彼女の腕を見て目の前が真っ白になるような衝撃を受けた。犯人はすぐに糸鋸と刑事たちに取り押さえられたが、御剣の意識はただ血を流す瑠子の腕に集中していた。
「夢見刑事!」
御剣の声はこれまで聞いたことのないほど焦燥に満ちていた。
救急車で病院に運ばれた瑠子は、幸いにも命に別状はなかったが左腕の傷は深く、数週間は絶対安静と診断された。御剣は事件解決の報告を終えると、すぐに彼女の病室へ向かった。
「御剣検事、お疲れ様です」
病室のベッドに横たわる瑠子は笑顔を見せるが、顔はまだ少し青ざめていた。
「お疲れ様です、ではない!なぜあのような無謀な真似をしたのだ!」
荒々しい声が響く。これは自身のせいで瑠子が危険な目にあったことへの苛立ちと彼女にもしものことがあったら、という不安からであった。
「……御剣検事を、守りたかったからです」
瑠子は弱々しく答えた。その真っ直ぐな言葉が、御剣の胸を深く締め付けた。これまで感じたことのない、強い感情が彼の心を支配する。それは、部下を傷つけたことへの責任感だけではない。彼女への深い心配と、命がけで自分を守ってくれたことへの純粋な感謝、そして「失うかもしれない」という予期せぬ恐怖だった。
「……声を荒らげて申し訳ない。守ろうとしてくれたこと、カンシャする」
そう言うと、御剣は病室を後にした。彼の脳裏には、血を流す瑠子の腕と自分を庇った彼女の細い背中が焼き付いて離れなかった。
その日の夜、執務室で報告書を作成していると美雲が訪れた。
「御剣さん、瑠子さんのこと、すごく心配してましたね」
美雲の言葉に御剣はピクリと反応した。
「当然だろう。私の部下が傷ついたのだ。責任は私にある」
「でも、なんか、それだけじゃないっていうか……。御剣さん、瑠子さんのこと、もしかして好きなんじゃないですか?」
「なっ!そんな訳ないだろう!……ミクモくん、変なことを言うのではない」
反射的に否定をする発言をしたが、美雲の直球な質問に対して御剣は動揺していた。美雲は彼の否定の言葉が本心でないと察したが、「ふーん、それならわたしの勘違いってことで!」とからかうように流していた。そして、満足そうに微笑むと、御剣の執務室を後にした。
(私が夢見刑事を?)
残された御剣は、美雲の言葉が頭から離れず、報告書を打つ手がしばしば止まるのだった。
御剣は一瞬、反応が遅れる。その状況に近くにいた瑠子が咄嗟に御剣の前に飛び出した。
「御剣検事! 危ない!」
瑠子の細い腕が御剣の背中に回り犯人の攻撃から彼を庇う。金属片は御剣を寸前で避け、彼女の左腕を深く切り裂いた。
「っ……!」
瑠子の小さな呻き声が聞こえ、御剣の体が強張った。彼は振り返り、血が滲む彼女の腕を見て目の前が真っ白になるような衝撃を受けた。犯人はすぐに糸鋸と刑事たちに取り押さえられたが、御剣の意識はただ血を流す瑠子の腕に集中していた。
「夢見刑事!」
御剣の声はこれまで聞いたことのないほど焦燥に満ちていた。
救急車で病院に運ばれた瑠子は、幸いにも命に別状はなかったが左腕の傷は深く、数週間は絶対安静と診断された。御剣は事件解決の報告を終えると、すぐに彼女の病室へ向かった。
「御剣検事、お疲れ様です」
病室のベッドに横たわる瑠子は笑顔を見せるが、顔はまだ少し青ざめていた。
「お疲れ様です、ではない!なぜあのような無謀な真似をしたのだ!」
荒々しい声が響く。これは自身のせいで瑠子が危険な目にあったことへの苛立ちと彼女にもしものことがあったら、という不安からであった。
「……御剣検事を、守りたかったからです」
瑠子は弱々しく答えた。その真っ直ぐな言葉が、御剣の胸を深く締め付けた。これまで感じたことのない、強い感情が彼の心を支配する。それは、部下を傷つけたことへの責任感だけではない。彼女への深い心配と、命がけで自分を守ってくれたことへの純粋な感謝、そして「失うかもしれない」という予期せぬ恐怖だった。
「……声を荒らげて申し訳ない。守ろうとしてくれたこと、カンシャする」
そう言うと、御剣は病室を後にした。彼の脳裏には、血を流す瑠子の腕と自分を庇った彼女の細い背中が焼き付いて離れなかった。
その日の夜、執務室で報告書を作成していると美雲が訪れた。
「御剣さん、瑠子さんのこと、すごく心配してましたね」
美雲の言葉に御剣はピクリと反応した。
「当然だろう。私の部下が傷ついたのだ。責任は私にある」
「でも、なんか、それだけじゃないっていうか……。御剣さん、瑠子さんのこと、もしかして好きなんじゃないですか?」
「なっ!そんな訳ないだろう!……ミクモくん、変なことを言うのではない」
反射的に否定をする発言をしたが、美雲の直球な質問に対して御剣は動揺していた。美雲は彼の否定の言葉が本心でないと察したが、「ふーん、それならわたしの勘違いってことで!」とからかうように流していた。そして、満足そうに微笑むと、御剣の執務室を後にした。
(私が夢見刑事を?)
残された御剣は、美雲の言葉が頭から離れず、報告書を打つ手がしばしば止まるのだった。