稲妻無印
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昼は老若男女で賑わうカフェが夜は大人たちの集うBARへと姿を変える。ここでの売上は全てお日さま園へ寄付される、そんな仕組み。
働いている者は皆、お日さま園で過ごしてきた仲間だった。各々の空き時間でシフトに入ったり、就業訓練に使われていたりと様々である。
要の座るベンチの周りに元プロミネンスのメンバー。その中から晴也だけが歩いてきてベンチに腰かける。
愛おしそうな、でもどこか哀愁漂うそんな顔で要の手を取る。
「はるや…ふうすけは?」
「…店だよ」
「いきたい」
要の強い意志がこもっていた。
正直、風介には会わせたくないと思っていた晴也の顔が曇る。
「行っても会えるかわかんねえぞ?」
「それでもいく」
押し切られた晴也が重い腰を上げて動き出す。2人の後ろを、見守るように眺める者たち。月明かりが照らす夜道を歩き、繁華街を抜け、配管の入り乱れる細い裏路地へ。店の裏口へやってきた。
「呼んでくるから待ってて」
バタンと閉じた戸を眺めて暫くすると、規則正しい足音が聞こえてくる。
「…風介!…じゃない…晴也、風介は?」
「風介じゃなくて悪かったな。表で待ってろって」
店のエントランスは神話をイメージした荘厳な造りになっていた。
ゆっくりとドアが開き、まだウェイトレス姿の風介が出てくる。
「ふーすけ!」
嬉々とした声を上げる要を一瞥した後、周りを見渡して「騒々しい」とこぼした。
「ふうすけ、会いたかったよ」
返答は無い。要は風介に近寄り指を絡ませるように手を取っている。
「…もう遅い。送っていく」
「中で待っていろ」と口調は強いが声色が酷く優しかった。
ぐ、と下唇を噛み締める晴也の腕を引き、帰ろうと促す夏彦。
店の中へと消える要の背中を見送り、肩を落とす晴也にかける言葉が見つからない。
溜息は夜に蕩けていった。
働いている者は皆、お日さま園で過ごしてきた仲間だった。各々の空き時間でシフトに入ったり、就業訓練に使われていたりと様々である。
要の座るベンチの周りに元プロミネンスのメンバー。その中から晴也だけが歩いてきてベンチに腰かける。
愛おしそうな、でもどこか哀愁漂うそんな顔で要の手を取る。
「はるや…ふうすけは?」
「…店だよ」
「いきたい」
要の強い意志がこもっていた。
正直、風介には会わせたくないと思っていた晴也の顔が曇る。
「行っても会えるかわかんねえぞ?」
「それでもいく」
押し切られた晴也が重い腰を上げて動き出す。2人の後ろを、見守るように眺める者たち。月明かりが照らす夜道を歩き、繁華街を抜け、配管の入り乱れる細い裏路地へ。店の裏口へやってきた。
「呼んでくるから待ってて」
バタンと閉じた戸を眺めて暫くすると、規則正しい足音が聞こえてくる。
「…風介!…じゃない…晴也、風介は?」
「風介じゃなくて悪かったな。表で待ってろって」
店のエントランスは神話をイメージした荘厳な造りになっていた。
ゆっくりとドアが開き、まだウェイトレス姿の風介が出てくる。
「ふーすけ!」
嬉々とした声を上げる要を一瞥した後、周りを見渡して「騒々しい」とこぼした。
「ふうすけ、会いたかったよ」
返答は無い。要は風介に近寄り指を絡ませるように手を取っている。
「…もう遅い。送っていく」
「中で待っていろ」と口調は強いが声色が酷く優しかった。
ぐ、と下唇を噛み締める晴也の腕を引き、帰ろうと促す夏彦。
店の中へと消える要の背中を見送り、肩を落とす晴也にかける言葉が見つからない。
溜息は夜に蕩けていった。
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