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警備役を終えて帰っているとニックスに出会った。
「よっ!」
『わ、久しぶり』
警護隊の仕事をしていても、王の剣との接触は無いに等しい。
「おぉ、元気だったか?連絡くれねぇからもう居ないのかと思った」
『勝手に消さないでよっ!ニックスとも会わなかったねぇ』
任務内容は他言出来ない。それは王の剣も同じなのだろう。
「それよりゼロは何でここにいるんだ?」
『ああ、仕事帰り。最近この辺で一人暮らし始めたから』
「そうなのか?んじゃあ俺ん家にも近いってことだな」
『偶然だね』
「そうだ、上がってくか?」
『えっ?いいの?』
他人の家に招かれた事は一度も無い。
ただ友だちを家に呼んだりする事に密かに憧れていた。
「何もないけどな、久しぶりに会ったんだ。飯でも食いながら話そうぜ」
『うん、ありがとう!』
「あーでも仕事帰りか...辛かったら次回でも良いけど、どうする?」
『平気。ニックスは大丈夫?』
「ああ俺は休みで腹減って外出たところだったからな」
『そうか、じゃあ何か買う?』
「ゼロの手料理!」
『無理、絶望的に料理下手なんだ...』
「冗談冗談!間に受けんなよ、いくら刀交えた相手だからってそこまで図々しいこと言わねぇよ。まっ!ちょっと残念だったけどな」
『ふふっニックスって面白いね』
店に入り商品をカゴに入れていく。
「酒、飲めるか?」
『飲んだことないんで何とも』
「じゃあ試しに飲んでみるか?ぶっ潰れても介抱してやれるしな」
『そんな物騒な飲み物なの?お酒って一体...』
「美味いぞ?適度なアルコールは薬にもなるんだぜ!」
2人は適当に買い物を済ませニックスの家に向かった。
『お邪魔します』
「お帰りなさいませ、お嬢さん」
ニックスが恭しくお辞儀する。
『地味に似合うから怖い』
「なら笑うなよ!」
買ってきた食べ物を広げながら食事した。
初めて飲んだお酒は苦かった。
「おおぉ顔真っ赤っかだぞ!お前酒合わねぇんだな」
『うーん、そうみたい』
「無理して飲むことねぇよ。俺が飲む」
ニックスは冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し放り投げた。ナイスキャッチ!と口笛を吹く。
『誰かの家に入ったのって初めてだ』
「そうなのか?じゃあ今日は初めて続きだな。てかゼロってどういう成長してきたんだよ」
『保護されてたみたい』
「はぁーそれでか。世間知らずだもんな」
『世間知らず?』
「ああ、男の部屋に簡単に入るもんじゃないって知らないだろ?」
『そうなの?なんで?』
ニックスは悪戯を思いついたような顔をしながらゼロを組み敷いた。
「こうやって喰われちまうかも知れないんだぞ」
『...カニバリズム?』
「どうしてそうなる...」
ニックスはゼロから離れて顔を手で覆いながら溜め息をついた。
『疲れた?』
「いやぁ何ていうかゼロがどういう教育を受けてきたのか心配になってな...」
『教育って小学校とかの事?通ってないから分からないよ』
「本気でか?!」
『?!うん、本当。可笑しなこと?』
「いや王都育ちだったら有り得ないなって思ったからさ。ゼロも移民なのか?」
『移民...もどきかな。まだ乳児だったから』
嘘ではないが真実は話せない。
「そっか...お前も大変だったんだな。俺はガラード出身でな、戦火に巻き込まれた最中にレギス陛下に助けてもらったんだ。それから恩義を感じて王の剣になったって感じだな」
『ニックスにもそんな経緯があったんだね…』
「ああ、平和になったら故郷にいつか帰りたいと思ってるよ。まぁその時まで命があれば、の話だけどな」
王の剣は英雄を夢見て死んでいくのだ、名前さえ知られることもなく...。罪悪感にも似た感情が溢れ出る。
『インソムニアは平和だよね』
「ん?ああ、何事も無いみたいに明日が来るからな」
『王の剣、のお陰なんだよ』
「レギス陛下のおかげじゃなくて?」
『それはそうだけど...実際に戦ってるのは王の剣でしょう』
そう言うとニックスは少し驚いたような顔をした。
「ほんとゼロって不思議だよな。王の剣なんて言ってるが除け者扱いばっかだぞ⋯ゼロはそうじゃないんだな」
『当たり前じゃない!!!居た堪れないよ』
「...死にそうになった時、仲間が死んだ時とか...何の為に戦ってるのか分からなくなるんだ。いつ死んでも可笑しくないんだって現実感ない現実で戦うんだよ」
『...ひとつしか選べないのにね』
「選択肢なんてあってないようなもんだよな。でも1人でもそうやって思ってくれてる人間がいるって思ったら、光栄だ!」
『守ってくれて、ありがとう』
そう言うとニックスに強く抱き締められた。
─安堵、孤独、後悔──ニックスの感情が流れ込んでくる。
ふと視線をあげるとコルクボードに一人の少女の写真が貼られていた。大切な人、だったのかもしれない。
喪いながらも戦う彼に胸が痛む。
『理不尽だ...』
人の体温は心地がいい。
ニックスは酔いが回ったのか、そのまま寝入ってしまった。
「よっ!」
『わ、久しぶり』
警護隊の仕事をしていても、王の剣との接触は無いに等しい。
「おぉ、元気だったか?連絡くれねぇからもう居ないのかと思った」
『勝手に消さないでよっ!ニックスとも会わなかったねぇ』
任務内容は他言出来ない。それは王の剣も同じなのだろう。
「それよりゼロは何でここにいるんだ?」
『ああ、仕事帰り。最近この辺で一人暮らし始めたから』
「そうなのか?んじゃあ俺ん家にも近いってことだな」
『偶然だね』
「そうだ、上がってくか?」
『えっ?いいの?』
他人の家に招かれた事は一度も無い。
ただ友だちを家に呼んだりする事に密かに憧れていた。
「何もないけどな、久しぶりに会ったんだ。飯でも食いながら話そうぜ」
『うん、ありがとう!』
「あーでも仕事帰りか...辛かったら次回でも良いけど、どうする?」
『平気。ニックスは大丈夫?』
「ああ俺は休みで腹減って外出たところだったからな」
『そうか、じゃあ何か買う?』
「ゼロの手料理!」
『無理、絶望的に料理下手なんだ...』
「冗談冗談!間に受けんなよ、いくら刀交えた相手だからってそこまで図々しいこと言わねぇよ。まっ!ちょっと残念だったけどな」
『ふふっニックスって面白いね』
店に入り商品をカゴに入れていく。
「酒、飲めるか?」
『飲んだことないんで何とも』
「じゃあ試しに飲んでみるか?ぶっ潰れても介抱してやれるしな」
『そんな物騒な飲み物なの?お酒って一体...』
「美味いぞ?適度なアルコールは薬にもなるんだぜ!」
2人は適当に買い物を済ませニックスの家に向かった。
『お邪魔します』
「お帰りなさいませ、お嬢さん」
ニックスが恭しくお辞儀する。
『地味に似合うから怖い』
「なら笑うなよ!」
買ってきた食べ物を広げながら食事した。
初めて飲んだお酒は苦かった。
「おおぉ顔真っ赤っかだぞ!お前酒合わねぇんだな」
『うーん、そうみたい』
「無理して飲むことねぇよ。俺が飲む」
ニックスは冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し放り投げた。ナイスキャッチ!と口笛を吹く。
『誰かの家に入ったのって初めてだ』
「そうなのか?じゃあ今日は初めて続きだな。てかゼロってどういう成長してきたんだよ」
『保護されてたみたい』
「はぁーそれでか。世間知らずだもんな」
『世間知らず?』
「ああ、男の部屋に簡単に入るもんじゃないって知らないだろ?」
『そうなの?なんで?』
ニックスは悪戯を思いついたような顔をしながらゼロを組み敷いた。
「こうやって喰われちまうかも知れないんだぞ」
『...カニバリズム?』
「どうしてそうなる...」
ニックスはゼロから離れて顔を手で覆いながら溜め息をついた。
『疲れた?』
「いやぁ何ていうかゼロがどういう教育を受けてきたのか心配になってな...」
『教育って小学校とかの事?通ってないから分からないよ』
「本気でか?!」
『?!うん、本当。可笑しなこと?』
「いや王都育ちだったら有り得ないなって思ったからさ。ゼロも移民なのか?」
『移民...もどきかな。まだ乳児だったから』
嘘ではないが真実は話せない。
「そっか...お前も大変だったんだな。俺はガラード出身でな、戦火に巻き込まれた最中にレギス陛下に助けてもらったんだ。それから恩義を感じて王の剣になったって感じだな」
『ニックスにもそんな経緯があったんだね…』
「ああ、平和になったら故郷にいつか帰りたいと思ってるよ。まぁその時まで命があれば、の話だけどな」
王の剣は英雄を夢見て死んでいくのだ、名前さえ知られることもなく...。罪悪感にも似た感情が溢れ出る。
『インソムニアは平和だよね』
「ん?ああ、何事も無いみたいに明日が来るからな」
『王の剣、のお陰なんだよ』
「レギス陛下のおかげじゃなくて?」
『それはそうだけど...実際に戦ってるのは王の剣でしょう』
そう言うとニックスは少し驚いたような顔をした。
「ほんとゼロって不思議だよな。王の剣なんて言ってるが除け者扱いばっかだぞ⋯ゼロはそうじゃないんだな」
『当たり前じゃない!!!居た堪れないよ』
「...死にそうになった時、仲間が死んだ時とか...何の為に戦ってるのか分からなくなるんだ。いつ死んでも可笑しくないんだって現実感ない現実で戦うんだよ」
『...ひとつしか選べないのにね』
「選択肢なんてあってないようなもんだよな。でも1人でもそうやって思ってくれてる人間がいるって思ったら、光栄だ!」
『守ってくれて、ありがとう』
そう言うとニックスに強く抱き締められた。
─安堵、孤独、後悔──ニックスの感情が流れ込んでくる。
ふと視線をあげるとコルクボードに一人の少女の写真が貼られていた。大切な人、だったのかもしれない。
喪いながらも戦う彼に胸が痛む。
『理不尽だ...』
人の体温は心地がいい。
ニックスは酔いが回ったのか、そのまま寝入ってしまった。