黒曜「………」

晶「………」

早希「お２人ともお疲れ様でした！」

『お疲れ様ー
え、なにこの雰囲気？』

黒曜「晶、てめぇ何考えてやがった？
立ち位置考えろ、前に出ようとしやがって」

晶「オレはオレのステージをやっただけ
自分が食われたからって吠えるなよ」

早希「あ、あれ？あの…」

羽瀬山「おうおう、イイネイイネ
ギラギラした若者とかいいねェ
な、嬢ちゃん、あんたどうだった
この２人のどっちのほうがよかったんだ、ん？」

早希「そんな急に言われても！
え、えっと…黒曜さんも晶さんも、どっちも凄かったです！」

羽瀬山「どっちも食いたいってか、欲張りだなー
椿はどうだ？

『私？今日はピアノの練習してて最初から見れなかったからなんとも言えないな』

羽瀬山「なーんだ、見てねぇのか
おい、運営。例のアレ出せや」

運営「はっ！こちらです社長！」

羽瀬山「やっぱデータだよな、データは裏切らねぇの
で、アンケートってのやってみたわけ
そういうわけで、この公演での２人の対決は………」


羽瀬山が運営を苦々しい顔で見ている


運営「社長？
いったぁぁぁ！！」

『うわっ羽瀬山の蹴り見事にお尻にクリーンヒット』

羽瀬山「バカ、ドラムロールだよ、気が利かねぇな」

運営「は、はいぃぃいい！
ドゥルドゥルドゥル……じゃ、じゃじゃん！」

羽瀬山「勝者、黒曜！」

『へぇー、黒曜おめでとう』

黒曜「当然の結果だ」

晶「………」

羽瀬山「ま、ちょっとは楽しめたぜ
対決ってのは面白いから、またやるか
おう、運営行くぞ
次はチームPだ、準備しとけよ」

運営「は、はいっ！
いまから準備します！」


羽瀬山と運営は去っていった
気まずい雰囲気の私たちを残して


早希「（き、気まずい……）」

晶「あーあ、負けちゃったかァ
いっつもそうだよな、オレは黒曜の控えでさ
歌ってんのはオレなのに
黒曜はそれが当然って顔しやがる」

黒曜「何が言いたい？」

晶「べーつーにー
ただ、必死だなって思ってさ
黒曜、お前はここを守りたいんじゃない
ここしか居場所がないだけだ
本当のところ、お前はチームWのトップでいる覚悟なんて、ないんだよ」

黒曜「晶、てめぇ…っ！」


ちらっと横を見たら早希が止めたそうな顔をしていた
仕方ない、早希に怪我して欲しくないしね


『ちょっと、２人とも！やめなよ！』

晶「口出さないで、椿」

黒曜「しゃしゃり出てくんな」

『はぁ？あんた達が子供みたいな言い争いしてるから止めたんでしょうが
いい大人でしょ？少しは冷静になりなよ』


私がそう言ってもまだお互い言い争いをし始めたのでお手上げだ
そんな２人を叱咤したのは意外にもモクレンだった


モクレン「いい加減にしろよ、お前ら
がたがたうるさい
ケンカしたきゃ好きなだけやれ
ただし外でだ。ステージを巻き込むな」

早希「モクレンさん…」

モクレン「くだらない。チームWとかなんとかって、ホントくだらない」

『早希、私たちも行こう』

早希「う、うん…」


先に歩いていったモクレンを追いかける


『モクレン！』

モクレン「なんだ？」

『止めてくれてありがとう
あのままじゃ殴り合いに発展してたと思う』

モクレン「見苦しいから止めたまでだ
礼を言われる覚えはないぞ」

『私も早希も止められなかったし、もし殴り合ってたら大変だったしね
そうだ、お礼にこれあげる』


私は手に持っていたお菓子をモクレンにあげた


『お客さんから貰ったんだけど、私このお菓子苦手でさ
よかったら貰って？』

モクレン「そういうことなら貰っておこう
椿もよく止めようとしたな
怖くないのか？」

『怖くない…って言ったら嘘だけど
早希が怖がっていたから止めなくちゃと思っただけだよ』

モクレン「前から思ってたんだが、椿はなんで姫に執着する？」

『私の、私の大切な人だから
……ただそれだけだよ』

モクレン「ふーん、今日はそういうことにしておいてやる」