狙撃手泣かせのサイドエフェクト
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「やっぱり迅さんの…」
「おれの言った通りだったろ?」
「迅さん!」
「なんだ、今さら来たの?」
「どもども、相変わらず柴田ちゃんは冷たいなぁ」
迅さんが後ろに二人の男とレプリカを連れてやってきた
この二人は三輪隊の狙撃手だろう
「ビルの屋上でレプリカ先生とばったり会っちゃってさ
せっかくだから来てみた
おっなんかかわいい子がいるな、はじめまして」
「えっ、は、はじめまして」
キメ顔をする迅さんに寒気がし、急いで千佳を隠す
「おーなんだ遊真
けっこうやられてるじゃんか」
「おっ迅さん」
「油断したのか?」
「いや、ふつうに手強かったよ」
「派手にやられましたね先輩…」
「やーばいこれ超はずかしい」
寝転がって顔を隠す米屋に椿が近づき無言でカメラを構え連写した
「ちょ、やめろよ柴犬!」
「誰が犬だ、やめない」
「そういえばおまえなんで狙撃手がいるって分かったの?」
「ひみつ」
別に教えてもいいがもう少し米屋をからかっていたいからね
あ、あっちでは迅さんが茶化しに行ってる
「な?秀次
だからやめとけって言ったろ?」
「わざわざオレたちを馬鹿にしに来たのか!」
「ちがうよ、おまえらがやられるのも無理はない
なにしろ遊真のトリガーは…
三輪隊が驚いているが私や修は黒トリガーのことを知らなかった
のでいつもの如くレプリカ先生にご教授いただいた
なるほど、だから遊真は他の人と匂いが違うのか
そういえば迅さんからも…
そう思って迅さんの腰のあたり
トリガーの匂いを嗅いだ
「おっ柴田ちゃん積極的だね」
「うるさい、やっぱりあんたもか」
確信した。迅さんのトリガーも黒トリガーだ
迅さんは正解とは言わずこちらをニマニマ見つめるだけだった
「このところ普通の近界民相手でもごたごたしてるのに
黒トリガーまで敵に回したらやばいことになるぞ
"こいつを追い回しても何の得もない"
おまえらは帰って城戸さんにそう伝えろ」
「……
その黒トリガーが街を襲う近界民の仲間じゃないっていう保証は?」
「おれが保証するよ
クビでも全財産でも賭けてやる」
迅さんが保証してくれるなら安心だ
なにせ迅さんのクビはボーダーにとって痛手になることは間違いないだろう
「"何の得もない"…?
損か得かなど関係ない!
近界民は全て敵だ…!
緊急脱出して本部に戻った三輪を見て思う
偏った報告してそうだなぁ
「あー負けた負けたー!
しかも手加減されてたとかもー
さぁ好きにしろ!殺そうとしたんだ。殺されても文句は言えねー」
「べつにいいよ
あんたじゃたぶんおれは殺せないし」
「マジか!それはそれでショック!
じゃあ今度は仕事カンケーなしで勝負しようぜ!一対一で!」
「戦闘狂か米屋は」
「あんたは近界民嫌いじゃないの?」
「おれは近界民の被害受けてねーもん
正直別に恨みとかはないね
けどあっちの二人は近界民に家壊されてるからそこそこ恨みはあるだろうし、今飛んでいった秀次なんかは姉さんを近界民に殺されてるから一生近界民をゆるさねーだろーな」
その話を聞いて四年前を思い出す
私にも兄がいた。その兄も四年前の大侵攻のとき両親の代わりに亡くなってしまった
近界民を恨んでないわけじゃない。ただ、近界民を恨む以上に両親が憎いだけだ
「陽介!ひきあげるぞ!」
「おーう、じゃあな!
次は手加減なしでよろしく!」
「明日忘れないでよー!」
「わかってるって!
柴犬もまたな!」
「だから犬じゃないから!」
「さてと、三輪隊だけじゃ報告が偏るだろうからおれも基地に行かなきゃな
メガネくんと柴犬ちゃんはどうする?
どっちにしろ呼び出しはかかると思うけど」
「迅さんまで犬扱いっ!?」
「…じゃあぼくたちも行きます
空閑と千佳はどこかで待っててくれ」
私が迅さんの脛を蹴ってる間に三人で基地に行くことになってしまった
「…なるほど、報告ご苦労」
「まったく…前回に続いてまたおまえ達か
いちいち面倒を持ってくるヤツらだ」
その言葉に牙をむき出しにする私を迅さんが後ろから口を掴んで制した
「しかし黒トリガーとは…
そんな重要なことをなぜ今まで隠してたのかね
ボーダーの信用に関わることだよ」
「それは二人なりの考えがあってのことだろう
迅の話によれば結果的に二人は現在まで黒トリガーを抑えている」
「そうだとしても我々に報告する義務がある!
一隊員の手に負えることじゃなかろう!」
「そのとおり。なにせ相手は黒トリガーですからねぇ」
上層部のヒートアップするやりとりを止めたのは迅さんだった
「まぁまぁ考え方を変えましょうよ
その黒トリガーが味方になるとしたらどうです?
二人はその近界民の信頼を得てます
彼らを通じてその近界民を味方にうければ争わずして大きな戦力を手に入れられますよ」
迅さんは遊真をボーダーに入れようとしてるのか?
それか遊真が入隊している未来をみたのか…
そのどちらもか…
「確かに黒トリガーは戦力になる
…よしわかった」
城戸指令の言葉に安堵した私達
その期待は次の言葉によって裏切られることになった
「その近界民を始末して黒トリガーを回収しろ」
「なっ…!」
「ふむ…それなら何も問題はありませんねぇ
貴重な黒トリガーだ。逃す手はない」
「間の悪いことにA級1位から3位までの隊は遠征中だが、残った正隊員をすべて使えばやれんことはなかろう」
「馬鹿な…!それでは強盗と同じだ!
それにその間の防衛任務はどうする気だ!?」
「部隊を動かす必要はない
黒トリガーには黒トリガーをぶつければいいだろう」
私は迅さんを振り向く
彼は何を考えているかわからない目をしていた
「迅。おまえに黒トリガーの捕獲を命じる」