狙撃手泣かせのサイドエフェクト
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『トリガー認識
本部への直通通路を開きます』
「ふむ、トリガーが基地の入り口の鍵になってるわけか」
「そうよ。ここから先はボーダー隊員しか入れないわ」
「じゃあおれはここまでだな
なにかあったら連絡くれ」
「…わかった」
修のポケットの中にはレプリカの分身が入っていた
会議室に通された私達は椅子に座って待たされていた
目の前にはボーダーの上層部の人が並んで座っていて、一番偉い人が座る席の横には一人のボーダー隊員が佇んでいた
少し待ってると部屋の扉が開き、ボーダー隊員と女性が顔を出した
「迅悠一、お召しにより参上しました」
「ご苦労」
修を見ると驚いた表情をしていた
知り合いかな…
向こうは初対面っぽいけど
「キミ達は?」
「あ…三雲です」
「柴田です」
「ミクモくんにシバタちゃんね
おれ迅よろしく」
なんかチャラそうな人だなぁ
苦手なタイプだ
「揃ったな
本題に入ろう
昨日から市内に開いているイレギュラー門の対応策についてだ」
「待ってください
まだ三雲くんと柴田さんの処分に結論が出ていない」
「結論?
そんなもの決まっとるだろう
クビだよクビ
重大な隊務規定違反
それを一日に二度だぞ?」
「他のC級隊員にマネされても問題ですし
市民にボーダーは緩いと思われたら困りますしねぇ」
「そもそもコイツらのようなルールを守れんやつを炙り出すためC級にもトリガーを持たせとるんだ
バカが見つかった、処分する
それだけの話だ」
上層部のあまりにも酷いものいいに堪忍袋の緒が切れそうだ
「おお、すごい言われようだな」
迅さんは他人事みたいに楽観的に述べた
実際他人事なのだろうけど、もう少し空気呼んで欲しい
「私は処分には反対だ
三雲くんは市民の命を救っている
柴田さんも迅速な救助活動をしている」
「近界民を倒したのは木虎くんでしょう?」
「その木虎が三雲くんと柴田さんの救助活動の功績が大きいと報告している」
あの修を目の敵にしていた木虎がそんなふうに報告していたなんて意外だ
「さらに嵐山隊の報告によれば、三門第三中学校を襲った近界民は三雲くんが単独で撃退している
隊務規定違反とはいえ、緊急時にこれだけの働きができる人間は貴重だ
彼らを処分するより、B級に昇格させてその能力を発揮してもらう方が有意義だと思うが?」
「本部長の言うことにも一理ある
…がボーダーのルールを守れない人間は私の組織には必要ない」
きっぱりと言い放つ城戸指令に冷や汗がでる
「三雲くん、もし今日と同じようなことがまた起きたらきみはどうするね?」
「…!
それは…目の前で人が襲われてたら、やっぱり助けに行くと思います」
「柴田くんは?」
「私も三雲隊員と同じく助けに行きますね
目の前の命を見捨てることは人の道に外れていると私は考えます」
そう、私達は守るためにボーダーに入ったんだ
「ほれ見ろ、まるで反省しとらん
クビで決まりだ」
「二人の話はもういいでしょう
今はとにかくイレギュラー門をどうするかです!
先ほどの爆撃でわかっているだけでも18名が死亡
重軽傷者は100名以上
建物への被害は数知れず
第一次近界民侵攻以来の大惨事ですよ!
このままでは三門市を去る人間も増えるでしょう
被害者への補償も大変な額になりますよ
ねぇ唐沢さん」
「いや金集めは私の仕事ですから
言ってもらえれば必要なだけ引っ張ってきますよ」
こういう人は弁がたつ
敵に回したくないタイプの人間だ
「しかし今日みたいな被害が続くとさすがにスポンサーも手を引くかもしれませんね開発室長」
「…それは言われんでもわかっとる!
しかし開発部総出でもイレギュラー門の原因がつかめんのだ
今はトリオン障壁で門を強制封鎖しとるが…
それもあと46時間しかもたん
それまでにどうかせんと…」
「ふむふむ」
「…でおまえが呼ばれたわけだ。やれるか迅?」
「もちろんです、実力派エリートですから」
胡散臭い笑顔にドン引きだ
しかも自分で実力派エリートとか普通言うか?
「どうにかなるのかね!?」
「まかせてください
イレギュラー門の原因を見つければいいんでしょ?
そのかわりと言っちゃなんですけど」
迅さんが私達の肩に手を置いて言った
「彼らの処分はおれに任せてもらえませんか?」
「どういうことだ…!?」
「…彼らが関わっているのか?」
「はい、おれのサイドエフェクトがそう言ってます」
サイドエフェクト?
なんだろう?
「いいだろう、好きにやれ」
「城戸指令…!?」
「解散だ。次回の会議は明日21時とする」
城戸指令の声を聞き散り散りになった上層部
「さてよろしく頼むぞメガネくんたち」
「は、はい!」
修が嬉しそうだ
やっぱり知り合いなのか?
「おれが原因見つけて来るからそのあとはよろしくね鬼怒田さん」
「わかっとるわい!」
「根付さん根付さんこれ見て」
そう言って迅が見せたのは何かの映像だった
『ガレキに埋まってでられなくなったんだ
それをボーダーが助けてくれて…
そうそうあのメガネの子』
『メガネをかけた男の子が助けてくれたんです、ボーダーの』
『かっこよかった』
『おれ、意識がうっすらとしていて声も出せなかったんだけど、ショートヘアの女の子が助けに来てくれたんだ、もうダメかと思ったけど助かったよ!』
『避難所ではメガネとショートヘアのボーダー隊員に助けられたという人が多く…』
「これ三雲くんと柴田ちゃんのことでしょ
根付さんの味付けでうまいことすれば…」
「ふーむ…!ボーダーの株を回復させられるかもしれないねぇ」
「唐沢さんは…なにも言わなくても大丈夫か」
「ははっ」
「おいコラそりゃそういう意味だ迅!」
今までの雰囲気が嘘かのように空気を変えた男、迅悠一
それほど信頼されているということか
「三雲くん、柴田さん
ひとつ聞いていいか」
私達に質問したのは偉い人、城戸指令の隣に佇んでいたボーダー隊員だ
「昨日警戒区域でバラバラになってた大型近界民
あれもきみがやったのか?」
「え…」
「現場付近で保護した中学生はきみたちの同級生だった
そして昨日あの場所に正隊員はいなかった
きみがやったと言うなら腑に落ちる」
「…はい、ぼくがやりました」
「私もその場を見ていました、三雲が撃退していました」
「そうか、疑問が解けた
ありがとう」
私達は一礼をしてその場を去った
あの隊員、私達を疑ってたな
疑問が解けたって言ってたけど、頭良さそうだしもしかしたら修ではないことに気づいているかもしれない
そしたらきっと遊真が危なくなる
遊真は近界民だから下手したら処分になるかもしれない
友達が処分になるのはいやだ
もしそうなったら私は…