尊敬
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「ねぇねぇ、皆にとってセオランさんってどんな人だったの?」
『………』
ある日の執務室、有利の一言に全員が止まった。
執務室にはいつものメンバー、双子にエイル、コンラート、ギュンター、グウェンダル、ヴォルフラムが書類整理としたり、各自の仕事をしていた。
「なんなんだ?いったい…」
不思議そうな顔でセルセは尋ねる。
「いや、前にさ魔球で双子の過去に行った事あるじゃん?」
「覚えてるけど、どうして父様の事を?」
以前アリアが魔球に触れた時に双子の過去でもあり、まだ双子が幼くレイアとセオランと4人で暮らしていた時へ行ってしまった事がある。
その時に有利やコンラートは初めて双子の両親に会ったのだ。
「それでさ、グウェンダルがツェリ様以外で敬語を話すのって珍しいじゃん。だからどんな風に思っているのか不思議に思ったんだよ」
過去へ行った時に少しは話したが、それはほんの一部に過ぎない。
有利は興味津々の目で見ている。
そんな彼を見たギュンターは笑いながら、セオランの事を話し出す。
「セオラン様がアスタルテ家前当主だったという事は、陛下も知っていますよね?」
「うん。確かエインさんとエレナさんのお兄さんなんだよね?」
「はい。アスタルテは昔から魔族と人間が共に暮らしている唯一の領地でもありますし、何と言いましょうか…型にはまっていないお方というべきですかね?」
セオランの事を思い出しながら苦笑いをするギュンターは、机で仕事をしているグウェンダルに問いかける。
「…セオラン様は昔から他人に命令されるのが好きではなく、好き勝手にしてきたのも確かだ」
「「(好き勝手?)」」
グウェンダルの簡単な説明に双子は頭に?を浮かべる。
「それに武人としても素晴らしい方ですし、もし今生きていたらコンラートよりも強いでしょうね」
「え!?コンラッドよりも強いの!?」
コンラートとセルセは眞魔国1、2を争うほどの剣の持ち主でもある。
その2人よりも強いと聞き、有利は驚くしかない。
「それに、彼はわたしの師でもありますからね」
「え!!??」
「ああ、それなら僕も知っている。確か兄上と姉上も世話になった事があると…」
「母上の幼馴染でもあるが、シュトッフェルよりも年上でもあったからな。
あの時も、もしセオラン様が生きていれば、戦争も色々と変わっていたかもしれないな…」
「あ…」
『あの時』つまり20年前の戦争の事だ。
それが分かった有利は双子やコンラートを見るが、3人は全く気にしていない様子だった。
「十貴族ではなかったが、今の十貴族当主のほとんどがセオラン様に恩があり、世話になった者が多い」
「へぇ~、やっぱりセオランさんって凄い人だったんだね」
「もちろんわたしもそうですが、グウェンダルも尊敬しているのには変わりませんね。ねぇ、グウェンダル」
「……まあな…」
「意外とセオランは頑固な部分もあるのよ?」
『!?』
突然ドアの方から声が聞こえ、全員が驚いて振り向くと、ドアの方にツェリがニコニコと笑いながら立っていた。
「ツェリ様!?」
「偶然通りかかったらセオランの事を話してるんだもの。わたくしも話に入りたくなっちゃったわ」
そう言いながらツェリは有利達に近づく。
「頑固っていうのは…?」
「セオランが人間の国から帰ってきた後、やっぱり話しが出てきたのは縁談。しかも昔からの婚約者とのね」
「え!?セオランさんって婚約者がいたの!?」
初めて知った有利はは驚く。
彼自身が別の人と結婚していたのは知っていたが、昔からの婚約者がいたとは思っておらず、双子も少し驚く。
「まぁ、セオランは全然真に受けていなかったけどねぇ。
その相手は幼馴染のウィールナ・ラネンて言って、子どもの頃からセオランが好きだったのよ」
「…その人と?」
「そうなの。だけど、お互いの親族会議でセオランははっきりと言ったのよ。
『自分にはすでに結婚した女性がいるし、彼女との間には双子も生まれた。訳あって別れたが、死ぬまで3人を愛し続ける。
それでもいいのなら、自分は結婚するのは構わない』って。
それを聞いた家族は驚いたけど、ラネンはそれを承知で結婚したのよ。
…それほどセオランが好きだったのよね。
だから2人には子どもは出来なかった、いえ、作らなかったと言うべきかしら。
ラネンには可哀相だったけど、彼はレイアさんと双子を心から愛していたからこそ、そうしたって言ってたわ。
自分はラネンの事を幼馴染として好きだけど、異性としては愛せないって、セオランなりのケジメだったのよ」
ツェリは懐かしそうに昔の事を話した。
双子自信、詳しくはセオランの事を知らない。
だからこそ、1番側で父を見てきたツェリから彼の話しを聞けて嬉しがる。
「やっぱりすごいんだね、セオランさんって。ギュンター達が尊敬するのも分かった気がするよ」
「はい、あの方は本当に素晴らしい方でした。わたしは一生忘れる事はないでしょうね」
「もしセオランが生きていたら、アリアに子どもができた事を本当に喜んでいたはずよ。わたくしがとても嬉しかったようにね」
アリアの頭を撫でながらツェリは笑顔で話す。
それを聞いたアリアはどこか恥ずかしそうな、でもどこか嬉しそう顔で笑った。
そして双子は思ったのだ。
そんな素晴らしい彼が自分達の父親で、とても良かったと…。
fin
(2010/09/04)
(re:2017/07/02,2024/07/12)
『………』
ある日の執務室、有利の一言に全員が止まった。
執務室にはいつものメンバー、双子にエイル、コンラート、ギュンター、グウェンダル、ヴォルフラムが書類整理としたり、各自の仕事をしていた。
「なんなんだ?いったい…」
不思議そうな顔でセルセは尋ねる。
「いや、前にさ魔球で双子の過去に行った事あるじゃん?」
「覚えてるけど、どうして父様の事を?」
以前アリアが魔球に触れた時に双子の過去でもあり、まだ双子が幼くレイアとセオランと4人で暮らしていた時へ行ってしまった事がある。
その時に有利やコンラートは初めて双子の両親に会ったのだ。
「それでさ、グウェンダルがツェリ様以外で敬語を話すのって珍しいじゃん。だからどんな風に思っているのか不思議に思ったんだよ」
過去へ行った時に少しは話したが、それはほんの一部に過ぎない。
有利は興味津々の目で見ている。
そんな彼を見たギュンターは笑いながら、セオランの事を話し出す。
「セオラン様がアスタルテ家前当主だったという事は、陛下も知っていますよね?」
「うん。確かエインさんとエレナさんのお兄さんなんだよね?」
「はい。アスタルテは昔から魔族と人間が共に暮らしている唯一の領地でもありますし、何と言いましょうか…型にはまっていないお方というべきですかね?」
セオランの事を思い出しながら苦笑いをするギュンターは、机で仕事をしているグウェンダルに問いかける。
「…セオラン様は昔から他人に命令されるのが好きではなく、好き勝手にしてきたのも確かだ」
「「(好き勝手?)」」
グウェンダルの簡単な説明に双子は頭に?を浮かべる。
「それに武人としても素晴らしい方ですし、もし今生きていたらコンラートよりも強いでしょうね」
「え!?コンラッドよりも強いの!?」
コンラートとセルセは眞魔国1、2を争うほどの剣の持ち主でもある。
その2人よりも強いと聞き、有利は驚くしかない。
「それに、彼はわたしの師でもありますからね」
「え!!??」
「ああ、それなら僕も知っている。確か兄上と姉上も世話になった事があると…」
「母上の幼馴染でもあるが、シュトッフェルよりも年上でもあったからな。
あの時も、もしセオラン様が生きていれば、戦争も色々と変わっていたかもしれないな…」
「あ…」
『あの時』つまり20年前の戦争の事だ。
それが分かった有利は双子やコンラートを見るが、3人は全く気にしていない様子だった。
「十貴族ではなかったが、今の十貴族当主のほとんどがセオラン様に恩があり、世話になった者が多い」
「へぇ~、やっぱりセオランさんって凄い人だったんだね」
「もちろんわたしもそうですが、グウェンダルも尊敬しているのには変わりませんね。ねぇ、グウェンダル」
「……まあな…」
「意外とセオランは頑固な部分もあるのよ?」
『!?』
突然ドアの方から声が聞こえ、全員が驚いて振り向くと、ドアの方にツェリがニコニコと笑いながら立っていた。
「ツェリ様!?」
「偶然通りかかったらセオランの事を話してるんだもの。わたくしも話に入りたくなっちゃったわ」
そう言いながらツェリは有利達に近づく。
「頑固っていうのは…?」
「セオランが人間の国から帰ってきた後、やっぱり話しが出てきたのは縁談。しかも昔からの婚約者とのね」
「え!?セオランさんって婚約者がいたの!?」
初めて知った有利はは驚く。
彼自身が別の人と結婚していたのは知っていたが、昔からの婚約者がいたとは思っておらず、双子も少し驚く。
「まぁ、セオランは全然真に受けていなかったけどねぇ。
その相手は幼馴染のウィールナ・ラネンて言って、子どもの頃からセオランが好きだったのよ」
「…その人と?」
「そうなの。だけど、お互いの親族会議でセオランははっきりと言ったのよ。
『自分にはすでに結婚した女性がいるし、彼女との間には双子も生まれた。訳あって別れたが、死ぬまで3人を愛し続ける。
それでもいいのなら、自分は結婚するのは構わない』って。
それを聞いた家族は驚いたけど、ラネンはそれを承知で結婚したのよ。
…それほどセオランが好きだったのよね。
だから2人には子どもは出来なかった、いえ、作らなかったと言うべきかしら。
ラネンには可哀相だったけど、彼はレイアさんと双子を心から愛していたからこそ、そうしたって言ってたわ。
自分はラネンの事を幼馴染として好きだけど、異性としては愛せないって、セオランなりのケジメだったのよ」
ツェリは懐かしそうに昔の事を話した。
双子自信、詳しくはセオランの事を知らない。
だからこそ、1番側で父を見てきたツェリから彼の話しを聞けて嬉しがる。
「やっぱりすごいんだね、セオランさんって。ギュンター達が尊敬するのも分かった気がするよ」
「はい、あの方は本当に素晴らしい方でした。わたしは一生忘れる事はないでしょうね」
「もしセオランが生きていたら、アリアに子どもができた事を本当に喜んでいたはずよ。わたくしがとても嬉しかったようにね」
アリアの頭を撫でながらツェリは笑顔で話す。
それを聞いたアリアはどこか恥ずかしそうな、でもどこか嬉しそう顔で笑った。
そして双子は思ったのだ。
そんな素晴らしい彼が自分達の父親で、とても良かったと…。
fin
(2010/09/04)
(re:2017/07/02,2024/07/12)