天然記念物
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「さて、本日は地理のお勉強をしましょう。まずはグウェンダルが治めるヴォルテール地方の特産物について、」
「ねぇ、ユーリー!」
ある日、有利はギュンターと眞魔国についての勉強をしている最中だった。
これからギュンターが何かを話そうとすると、それと遮るようにグレタが話しかけた。
「これなに?」
「これこれ、グレタ」
「ん?なんだ、クマハチじゃないか」
「クマハチ?」
グレタが有利に見せたのはクマハチの絵が載っていた本だったのだ。
初めて聞いたグレタは首を傾げ、少し離れた場所で本を読んでいたエイルは双子を見る。
「クマハチって何ですか?」
「この眞魔国の天然記念物の事だな」
「それと、絶滅の恐れがある幻の生き物という事よ」
エイルの問いに答えた双子に、ヴォルフラムも付け足す。
「この城の迎賓館で繭から羽化した事があるんだぞ。残念ながら全て巣立ってしまったがな」
「ホント!?もう帰ってこないの?」
「クマハチは自分が生まれた場所で卵を産むから、いずれ帰ってくるさ」
「でもそれはまだ当分先の話しかな」
コンラートとセルセの説明にそっかぁ、と残念そうな声を出す。
有利はふと以前に生まれたクマハチの事を思い出す。
「懐かしいな~、アイツどうしてるかな?」
「元気にやってるさ。そのうち、あの空の向こうからひょっこりと…」
すると窓の外から捕まえてくれと言うメイドの声が聞こえる。
それを聞いた双子達は首を傾げる。
「なんだ?」
「さぁ?」
全員が窓の外を見ると、黄色いクマハチが飛んでいるのだ。
「クマハチ?」
『のぎす~』
まさかクマハチが現れるとは思っていなかったからか、全員は驚くしかなかったのだ。
すぐに全員は中庭の方へ行くと、そこにはいつものメイド3人と小さなクマハチが1匹飛んでいるのだ。
「愛玩動物屋?」
「はい、そこで買ったんです。城下でも大人気なんですよ、手乗りクマハチ」
ダガスコスまでも買っていたらしいのだ。
「なぜ絶滅危惧種のクマハチが?」
「大きさも、僕らが見たモノよりも小さいような…」
「旅の愛玩動物屋が繁殖に成功させた新種だって話です」
「クマハチの繁殖。信じられません…」
今だ信じられないギュンターにセルセも頷く。
「確かに信じられないな。本当に成功させたのか?」
「さぁ?でも生きてるように見えるし、どうなんだろ?」
「でも可愛いですね」
「「………」」
頬を少し紅らめたエイルに双子はジッと見る。
「あ、いや、ほ、欲しいとかそういう訳じゃないですからっ」
「本当にか?」
「はい!」
双子の視線に気づいたエイルはちょっと焦っていた。
手乗りクマハチが気になった有利達は、城下町にいる愛玩動物屋の下へと向かった。
「確か、あの広場のはずですが」
「なにも変装などしなくても、堂々と話しを聞きに行けばいいじゃないか!」
「まずは様子見って事で」
広場には多くのお店が並んでおり、とても賑やかなのだ。
そしてその中心部なのか、他のお店よりも人が集まっているのに気づく。
「もしかして、あのお店じゃないの?」
「人も多いしな」
グレタは嬉しそうに人ごみの中へと入って行く。
双子とコンラート、エイルは裏にいる店員の1人に話しかける。
「大盛況だね」
「? へぇ、おかげ様で」
突然話しかけたれた店員は一瞬驚くが、すぐに笑顔になる。
4人は隣に置いてある籠の中に入っているクマハチを見ながら話しだす。
「クマハチの繁殖は難しいと聞いていたが、よく成功したな」
「ホント、まさかこんなに繁殖させるなんて」
「ま、形は少し小さいけどな」
「研究に研究を重ねてってやつでさぁ」
そう自慢げに話す店員に3人は笑う。
「なるほどね」
「へぇ~」
「研究、か」
「可愛いですね」
「「………」」
血盟城の中庭での様にエイルはケースに指を入れてクマハチに触っていた。
それをジッと見ている双子。
「あ、だからっ 欲しいってわけじゃなくて…っ」
双子の視線に気づいたエイルは顔を横に振る。
しばらくして4人は店の前にある噴水に座っている有利、ヴォルフラム、グレタの下へ戻ると。
「やれやれ」
「あ~あ」
「やっぱりね」
「あ、」
なんとグレタの手には、あの手乗りクマハチが1匹持っていたのだった。
「ご、ごめん。つい…」
「動物を飼う事は子どもの情操教育にいいんだ」
4人の苦笑した顔を見た有利とヴォルフラムもまた苦笑いをする。
「お客さ――ん!」
すると店の方から店員の声が聞こえると、不思議に思った全員はその店員の方を見る。
「さっきも言った通り、くれぐれも水に近づけさせちゃ、いけませんぜぇ!」
「「「わぁっ!」」」
それを聞いた3人はすぐに噴水の側から離れる。
「でも、クマハチが水に弱いなんて聞いた事ないけど…」
「俺も聞いた事ねぇーぞ」
「新種なんだってさ」
「新種ね、…ん?」
「………」
エイルは無言でグレタが持っているクマハチを見ている。
それに気づいたアリアは彼に視線を合わせ話しかける。
「エイル、本当に欲しくないの?」
「ぼ、僕は別に…っ」
「本当に欲しくないのか?」
「………僕はいいです。触りたかったらグレタのクマハチを見せてもらいます」
暫く考えてからそうキッパリと話したエイルにアリアは彼の頭に手を乗せ撫でたのだ。
「ねぇ、ユーリー!」
ある日、有利はギュンターと眞魔国についての勉強をしている最中だった。
これからギュンターが何かを話そうとすると、それと遮るようにグレタが話しかけた。
「これなに?」
「これこれ、グレタ」
「ん?なんだ、クマハチじゃないか」
「クマハチ?」
グレタが有利に見せたのはクマハチの絵が載っていた本だったのだ。
初めて聞いたグレタは首を傾げ、少し離れた場所で本を読んでいたエイルは双子を見る。
「クマハチって何ですか?」
「この眞魔国の天然記念物の事だな」
「それと、絶滅の恐れがある幻の生き物という事よ」
エイルの問いに答えた双子に、ヴォルフラムも付け足す。
「この城の迎賓館で繭から羽化した事があるんだぞ。残念ながら全て巣立ってしまったがな」
「ホント!?もう帰ってこないの?」
「クマハチは自分が生まれた場所で卵を産むから、いずれ帰ってくるさ」
「でもそれはまだ当分先の話しかな」
コンラートとセルセの説明にそっかぁ、と残念そうな声を出す。
有利はふと以前に生まれたクマハチの事を思い出す。
「懐かしいな~、アイツどうしてるかな?」
「元気にやってるさ。そのうち、あの空の向こうからひょっこりと…」
すると窓の外から捕まえてくれと言うメイドの声が聞こえる。
それを聞いた双子達は首を傾げる。
「なんだ?」
「さぁ?」
全員が窓の外を見ると、黄色いクマハチが飛んでいるのだ。
「クマハチ?」
『のぎす~』
まさかクマハチが現れるとは思っていなかったからか、全員は驚くしかなかったのだ。
すぐに全員は中庭の方へ行くと、そこにはいつものメイド3人と小さなクマハチが1匹飛んでいるのだ。
「愛玩動物屋?」
「はい、そこで買ったんです。城下でも大人気なんですよ、手乗りクマハチ」
ダガスコスまでも買っていたらしいのだ。
「なぜ絶滅危惧種のクマハチが?」
「大きさも、僕らが見たモノよりも小さいような…」
「旅の愛玩動物屋が繁殖に成功させた新種だって話です」
「クマハチの繁殖。信じられません…」
今だ信じられないギュンターにセルセも頷く。
「確かに信じられないな。本当に成功させたのか?」
「さぁ?でも生きてるように見えるし、どうなんだろ?」
「でも可愛いですね」
「「………」」
頬を少し紅らめたエイルに双子はジッと見る。
「あ、いや、ほ、欲しいとかそういう訳じゃないですからっ」
「本当にか?」
「はい!」
双子の視線に気づいたエイルはちょっと焦っていた。
手乗りクマハチが気になった有利達は、城下町にいる愛玩動物屋の下へと向かった。
「確か、あの広場のはずですが」
「なにも変装などしなくても、堂々と話しを聞きに行けばいいじゃないか!」
「まずは様子見って事で」
広場には多くのお店が並んでおり、とても賑やかなのだ。
そしてその中心部なのか、他のお店よりも人が集まっているのに気づく。
「もしかして、あのお店じゃないの?」
「人も多いしな」
グレタは嬉しそうに人ごみの中へと入って行く。
双子とコンラート、エイルは裏にいる店員の1人に話しかける。
「大盛況だね」
「? へぇ、おかげ様で」
突然話しかけたれた店員は一瞬驚くが、すぐに笑顔になる。
4人は隣に置いてある籠の中に入っているクマハチを見ながら話しだす。
「クマハチの繁殖は難しいと聞いていたが、よく成功したな」
「ホント、まさかこんなに繁殖させるなんて」
「ま、形は少し小さいけどな」
「研究に研究を重ねてってやつでさぁ」
そう自慢げに話す店員に3人は笑う。
「なるほどね」
「へぇ~」
「研究、か」
「可愛いですね」
「「………」」
血盟城の中庭での様にエイルはケースに指を入れてクマハチに触っていた。
それをジッと見ている双子。
「あ、だからっ 欲しいってわけじゃなくて…っ」
双子の視線に気づいたエイルは顔を横に振る。
しばらくして4人は店の前にある噴水に座っている有利、ヴォルフラム、グレタの下へ戻ると。
「やれやれ」
「あ~あ」
「やっぱりね」
「あ、」
なんとグレタの手には、あの手乗りクマハチが1匹持っていたのだった。
「ご、ごめん。つい…」
「動物を飼う事は子どもの情操教育にいいんだ」
4人の苦笑した顔を見た有利とヴォルフラムもまた苦笑いをする。
「お客さ――ん!」
すると店の方から店員の声が聞こえると、不思議に思った全員はその店員の方を見る。
「さっきも言った通り、くれぐれも水に近づけさせちゃ、いけませんぜぇ!」
「「「わぁっ!」」」
それを聞いた3人はすぐに噴水の側から離れる。
「でも、クマハチが水に弱いなんて聞いた事ないけど…」
「俺も聞いた事ねぇーぞ」
「新種なんだってさ」
「新種ね、…ん?」
「………」
エイルは無言でグレタが持っているクマハチを見ている。
それに気づいたアリアは彼に視線を合わせ話しかける。
「エイル、本当に欲しくないの?」
「ぼ、僕は別に…っ」
「本当に欲しくないのか?」
「………僕はいいです。触りたかったらグレタのクマハチを見せてもらいます」
暫く考えてからそうキッパリと話したエイルにアリアは彼の頭に手を乗せ撫でたのだ。