婚約破棄
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『ユーリ陛下の成人を、心よりお喜び申し上げる。
そしてまことに勝手ながら、本日をもって、わたくしフォンビーレフェルト・ヴォルフラムはユーリ陛下との婚約を解消し、一家臣としての立場に戻る事をお許し頂きたく、ここに記すものである』
「婚約破棄!?」
翌朝、有利はギュンターからの報告を聞いた。
その内容はヴォルフラムからの手紙であり、婚約破棄の手紙でもあった。
「どういう事だよ!?…ああ、いや、婚約の事はさて置き」
有利は隣にいるグレタを見ると、グレタは哀しそうな目で有利を見上げていた。
「大丈夫、心配する事は何も無いよ。グレタ」
「陛下、この文章は正式な婚約解消の届けです。ヴォルフラムは本気です」
「いつだ?」
コンラートは後ろにいるヨザックに聞く。
「夜のうちに、数名の部下と共に城を出た様です」
「ヴォルフラムは、フォンビーレフェルト卿ヴォルトラーナの処へ向かったんだと思います」
「え~っと、ヴォルフラムの叔父さんだって?」
そのヴァルトラーナの事をグウェンダル達は説明する。
「ヴァルトラーナは最後まで、ヴォルフラムを魔王にすべきだと主張していた」
「それで、ヴォルは彼を説得する役を引き受けていたのよ」
「だけど、交渉は決裂してな」
だから責任を感じて、城から出て行ったのかもしれないと有利は思う。
だがグウェンダルは説明を付け足す。
「それだけではない。国内にはまだ、人間の国との同盟に反対する者達もいる」
「!」
まだ反対している者がいると聞いて、有利は驚く。
「ヴァルトラーナは誇り高い魔族ですから」
「俺達の一族にも文句言ってたらしいしな」
「ディオネの方も特別貴族としているのも不満らしい」
そう2人は苦笑する。
「つまり、渋谷の政策には元から反対だったワケだ。そこへ可愛い甥っ子の王位継承の邪魔になったワケだから、」
「可哀相なヴォルフラム…愛する人と肉親の板挟みなんて、どんなに辛い思いをしているか…」
ツェリは哀しそうな顔になり、目の前にいるグレタを抱きしめる。
「ヴァルトラーナがヴォルフラムを擁立する気なら、準備が調うまで手元の置いておきたいはず」
「彼が自分の意思でこの城を出たとしても、軟禁される可能性はあるって事か…」
「え!?」
驚いた有利は取り乱しそうになる。
「慌てるな。ヴォルフラムに危険な無い」
「ヴァルトラーナはヴォルフラムを非常に可愛がっていますから」
「でも…っ」
「陛下、相手は十貴族の当主。表立って対立すれば、国内に余計な混乱を招きかねません」
有利は居ても立っていられなくなったが、すぐにグウェンダル達は止める。
「ここは、粘り強く交渉するべきですわ」
「たとえ何年かかろうとな」
「そんな…」
何も言えなくなってしまったが、隣に居るグレタはとうとう泣き出してしまった。
それを見た有利は何かを決心した。
「そんな事ない!おれがヴォルフラムを連れ戻す」
「「(やっぱり…)」」
そう確信していた双子は苦笑する。
「おれが、直接ヴァルトラーナと話す!」
そうハッキリと言ったのだ。
有利、双子、コンラート、健、ヨザック、ギュンターはヴァルトナーラがいるフォンビーレフェルトの領地へと赴いている。
馬に1人で乗る事をギーゼラに許しを貰えなかったアリアはコンラートの馬に一緒に乗っていた。
ヨザックは地面にある足跡を見ている。
「どうだ?ヨザック」
「半日ほど前に通ったようです」
「間違いなさそうだね」
「はい」
有利は考えていた事を話しだす。
「十貴族と表立って事を構えたくない。その言い分は分かるよ。でも、これからも何年もヴォルフラムと会えなくなるかもしれないって、そんな…アンタ達は寂しくないのかよ!?」
「俺達魔族は時間に関して疎いところがありますから」
コンラートの言葉で、有利は思い出す。
彼ら魔族は人間よりも寿命が長いという事を。
「そっか、人間よりもずっと長生きなんだよな」
「長い寿命のうちほんの数年会えなくても、無事ならばと。でも、」
「お?」
「笑ったり泣いたり、今しか出来ない事を側で一緒に出来た方が、ずっと楽しい」
そう笑って話すコンラートに双子達も同じ様に笑う。
「ユーリが眞魔国へ来てからの、そう長くない時間がとても大切な様にね」
「…うん、ヴォルフラム、一緒に連れて帰ろうぜ!」
こうして有利達はヴァルトラーナの城へと到着し、さっそく彼に会い話しを始める。
「ヴォルフラムは?来てるんだろ?」
「ええ、甥のヴォルフラムは確かにこの城に来ております」
「会わせて欲しいんだ」
「それは出来ませんな」
会わせて欲しいという有利に頼みを、ヴァルトラーナは即答で断った。
「これから貴方と王位継承を争う事になる、大事な身です。何か遭っては困る」
「無礼でしょう!ヴァルトラーナ!陛下に対して、何という事を!」
「確かに現在の王はユーリ陛下であられる。しかし先日の十貴・特別貴族会議ではヴォルフラムを王とすると、決定していた。
十貴族とは魔王と共にこの国を支える重心、他の2つの一族も特別貴族として十貴族よりも上の位に付いてしまったが、その会議の決定とは云わばこの国の者達の意思!」
確信めいた事を言われ、ギュンターは何も言えなくなる。
「それを軽々しく白紙に戻すなど、納得いきません」
「うん、それは分かるよ」
頷いた有利はヴァルトラーナの方へ少し近づく。
「だから!だからこそ、ちゃんとした話し合いがしたいんだ!」
「失礼ながら、わたしはユーリ陛下の魔王としての資質にも、疑問があるのです」
「え?」
「「?」」
まさかの問いに有利は双子は不思議に思い、ギュンターは無礼だと怒ろうとしたがそれを健が止める。
「待って、フォンクライスト卿。ここは1つ、彼の意見を聞いてみようじゃないか」
「ユーリ陛下は、こちらと異世界を異動するほどの魔力をお持ちだ。だがそれが問題なのです」
「?」
どうしてもヴァルトラーナが言っている事が分からない有利。
「はっきり申し上げましょう。貴方は眞魔国の為に異世界を捨てられますか?」
「それは…」
「魔王とは、眞魔国の為に尽くすべき立場にあるもの。なのに、なぜ異世界などに帰る必要があるのですか?」
「ユーリ陛下は今までも異世界とこちらを行き来しながら、立派に王の務めを果たされてきました!」
ギュンターは今までの事を話したが、ヴァルトラーナは話しを続ける。
「わたしは王としての覚悟を聞いているのです」
「おれの覚悟は当とうに決まっている」
「では、それを証明していただけますか?」
突然、今いる部屋のドアが開く。
「それは僕が証明して見せましょう」
「ヴォルフラム」
部屋に入ってきたのはヴォルフラムは、そのまま有利とヴァルトラーナの間まで来る。
「僕とユーリのどちらが魔王に相応しいかという事」
するとヴォルフラムは、テーブルに乗っていたナイフやフォークを故意に落としたのだ。
「「!」」
この行為に、全員がすぐに理解した。
それは決闘の申し込みという事を。
「拾え」
「え?」
「王位を懸けて、お前に決闘と申し込む」
「…本気なのか?ヴォルフラム」
どうしても信じられない有利だが、彼の顔は本気だった。
「さぁ、早く拾え!ユーリ!」
「フォンビーレフェルト卿は本気の様だね、渋谷」
「…ああ…」
健にそう言われた有利は、足元にあるナイフを拾ったのだ…。
そしてまことに勝手ながら、本日をもって、わたくしフォンビーレフェルト・ヴォルフラムはユーリ陛下との婚約を解消し、一家臣としての立場に戻る事をお許し頂きたく、ここに記すものである』
「婚約破棄!?」
翌朝、有利はギュンターからの報告を聞いた。
その内容はヴォルフラムからの手紙であり、婚約破棄の手紙でもあった。
「どういう事だよ!?…ああ、いや、婚約の事はさて置き」
有利は隣にいるグレタを見ると、グレタは哀しそうな目で有利を見上げていた。
「大丈夫、心配する事は何も無いよ。グレタ」
「陛下、この文章は正式な婚約解消の届けです。ヴォルフラムは本気です」
「いつだ?」
コンラートは後ろにいるヨザックに聞く。
「夜のうちに、数名の部下と共に城を出た様です」
「ヴォルフラムは、フォンビーレフェルト卿ヴォルトラーナの処へ向かったんだと思います」
「え~っと、ヴォルフラムの叔父さんだって?」
そのヴァルトラーナの事をグウェンダル達は説明する。
「ヴァルトラーナは最後まで、ヴォルフラムを魔王にすべきだと主張していた」
「それで、ヴォルは彼を説得する役を引き受けていたのよ」
「だけど、交渉は決裂してな」
だから責任を感じて、城から出て行ったのかもしれないと有利は思う。
だがグウェンダルは説明を付け足す。
「それだけではない。国内にはまだ、人間の国との同盟に反対する者達もいる」
「!」
まだ反対している者がいると聞いて、有利は驚く。
「ヴァルトラーナは誇り高い魔族ですから」
「俺達の一族にも文句言ってたらしいしな」
「ディオネの方も特別貴族としているのも不満らしい」
そう2人は苦笑する。
「つまり、渋谷の政策には元から反対だったワケだ。そこへ可愛い甥っ子の王位継承の邪魔になったワケだから、」
「可哀相なヴォルフラム…愛する人と肉親の板挟みなんて、どんなに辛い思いをしているか…」
ツェリは哀しそうな顔になり、目の前にいるグレタを抱きしめる。
「ヴァルトラーナがヴォルフラムを擁立する気なら、準備が調うまで手元の置いておきたいはず」
「彼が自分の意思でこの城を出たとしても、軟禁される可能性はあるって事か…」
「え!?」
驚いた有利は取り乱しそうになる。
「慌てるな。ヴォルフラムに危険な無い」
「ヴァルトラーナはヴォルフラムを非常に可愛がっていますから」
「でも…っ」
「陛下、相手は十貴族の当主。表立って対立すれば、国内に余計な混乱を招きかねません」
有利は居ても立っていられなくなったが、すぐにグウェンダル達は止める。
「ここは、粘り強く交渉するべきですわ」
「たとえ何年かかろうとな」
「そんな…」
何も言えなくなってしまったが、隣に居るグレタはとうとう泣き出してしまった。
それを見た有利は何かを決心した。
「そんな事ない!おれがヴォルフラムを連れ戻す」
「「(やっぱり…)」」
そう確信していた双子は苦笑する。
「おれが、直接ヴァルトラーナと話す!」
そうハッキリと言ったのだ。
有利、双子、コンラート、健、ヨザック、ギュンターはヴァルトナーラがいるフォンビーレフェルトの領地へと赴いている。
馬に1人で乗る事をギーゼラに許しを貰えなかったアリアはコンラートの馬に一緒に乗っていた。
ヨザックは地面にある足跡を見ている。
「どうだ?ヨザック」
「半日ほど前に通ったようです」
「間違いなさそうだね」
「はい」
有利は考えていた事を話しだす。
「十貴族と表立って事を構えたくない。その言い分は分かるよ。でも、これからも何年もヴォルフラムと会えなくなるかもしれないって、そんな…アンタ達は寂しくないのかよ!?」
「俺達魔族は時間に関して疎いところがありますから」
コンラートの言葉で、有利は思い出す。
彼ら魔族は人間よりも寿命が長いという事を。
「そっか、人間よりもずっと長生きなんだよな」
「長い寿命のうちほんの数年会えなくても、無事ならばと。でも、」
「お?」
「笑ったり泣いたり、今しか出来ない事を側で一緒に出来た方が、ずっと楽しい」
そう笑って話すコンラートに双子達も同じ様に笑う。
「ユーリが眞魔国へ来てからの、そう長くない時間がとても大切な様にね」
「…うん、ヴォルフラム、一緒に連れて帰ろうぜ!」
こうして有利達はヴァルトラーナの城へと到着し、さっそく彼に会い話しを始める。
「ヴォルフラムは?来てるんだろ?」
「ええ、甥のヴォルフラムは確かにこの城に来ております」
「会わせて欲しいんだ」
「それは出来ませんな」
会わせて欲しいという有利に頼みを、ヴァルトラーナは即答で断った。
「これから貴方と王位継承を争う事になる、大事な身です。何か遭っては困る」
「無礼でしょう!ヴァルトラーナ!陛下に対して、何という事を!」
「確かに現在の王はユーリ陛下であられる。しかし先日の十貴・特別貴族会議ではヴォルフラムを王とすると、決定していた。
十貴族とは魔王と共にこの国を支える重心、他の2つの一族も特別貴族として十貴族よりも上の位に付いてしまったが、その会議の決定とは云わばこの国の者達の意思!」
確信めいた事を言われ、ギュンターは何も言えなくなる。
「それを軽々しく白紙に戻すなど、納得いきません」
「うん、それは分かるよ」
頷いた有利はヴァルトラーナの方へ少し近づく。
「だから!だからこそ、ちゃんとした話し合いがしたいんだ!」
「失礼ながら、わたしはユーリ陛下の魔王としての資質にも、疑問があるのです」
「え?」
「「?」」
まさかの問いに有利は双子は不思議に思い、ギュンターは無礼だと怒ろうとしたがそれを健が止める。
「待って、フォンクライスト卿。ここは1つ、彼の意見を聞いてみようじゃないか」
「ユーリ陛下は、こちらと異世界を異動するほどの魔力をお持ちだ。だがそれが問題なのです」
「?」
どうしてもヴァルトラーナが言っている事が分からない有利。
「はっきり申し上げましょう。貴方は眞魔国の為に異世界を捨てられますか?」
「それは…」
「魔王とは、眞魔国の為に尽くすべき立場にあるもの。なのに、なぜ異世界などに帰る必要があるのですか?」
「ユーリ陛下は今までも異世界とこちらを行き来しながら、立派に王の務めを果たされてきました!」
ギュンターは今までの事を話したが、ヴァルトラーナは話しを続ける。
「わたしは王としての覚悟を聞いているのです」
「おれの覚悟は当とうに決まっている」
「では、それを証明していただけますか?」
突然、今いる部屋のドアが開く。
「それは僕が証明して見せましょう」
「ヴォルフラム」
部屋に入ってきたのはヴォルフラムは、そのまま有利とヴァルトラーナの間まで来る。
「僕とユーリのどちらが魔王に相応しいかという事」
するとヴォルフラムは、テーブルに乗っていたナイフやフォークを故意に落としたのだ。
「「!」」
この行為に、全員がすぐに理解した。
それは決闘の申し込みという事を。
「拾え」
「え?」
「王位を懸けて、お前に決闘と申し込む」
「…本気なのか?ヴォルフラム」
どうしても信じられない有利だが、彼の顔は本気だった。
「さぁ、早く拾え!ユーリ!」
「フォンビーレフェルト卿は本気の様だね、渋谷」
「…ああ…」
健にそう言われた有利は、足元にあるナイフを拾ったのだ…。