ジェネウスを救った後、有利は気を失った様に眠り続けて３日が経った。

「どうなのです？ギーゼラ…」

検診として術を使って治しているギーゼラに尋ねる。

「それが、体に異常は見られません」

だが彼女は戸惑いながらそう答えると、なぜこんなに眠っている有利の事を勝利は健に聞く。

「本当に魔力の消耗だけが原因なのか？」

「あのジェネウスの力は創主に匹敵する程強大だった。
それを魔剣の力も無く抑え込んだんだ、渋谷の消耗はかなり激しいと思う」

４０００年前も彼らが創主を倒す事は一苦労以上だった。

それを有利１人、魔剣も使わずに抑え込んだ事による反動で眠り続けていると健はそう説明した。

「…このまま、目を覚まさないなどという事は…」

「っ ユーリ…っ」

ヴォルフラムの言葉にグレタは目いっぱいに涙を溜める。

「どうにか出来ないのか！？弟のお友達！」

勝利もどうにかしたかったが、健には方法が無かった。

すると突然扉が開き声が聞こえる。

「わたしにも手伝わせてもらえないだろうか」

「！」

「サラレギー陛下、」

部屋に入って来たのはサラレギーとベリエス、そしてグウェンダル、ピリアーチェ、ヨザックだった。

「いったい何をしに来た？」

サラレギーがした事を思い出したのか勝利の言葉は疑いが含まれていた。

「兄上、姉上、これは…」

「わたしが許可した。小シマロン王から興味深い提案があったのでな」

だからこそこの部屋に案内したらしいが、ヨザックは笑いながら彼が持っているある物を見せる。

「これを、ユーリ陛下の為に使えないかって仰るんです」

「その剣は！」

「神剣…」

ヨザックが持っていたのは聖砂国にとってともて大切な神剣だった。

「ユーリに貰った力だ。ユーリに返すべきだろう。
それに、彼には感謝している。ユーリのおかげで母を助けられた…」

アラゾンの事を『母』と呼んだサラレギーにベリエスは少し驚く。

「今さら何を！」

言うのかと勝利は文句を言おうとしたが、それでもサラレギーの考えは変わらず真剣な表情で答える。

「…自分がした事の重大さは分かっている。だけど、今だけはわたしを信じてもらえないだろうか」

部屋中、一瞬静かになった。

「ま、いいんじゃないか？」

「セルセ？」

静かな空気に先に話し出したのはセルセだった。

「ユーリは陛下の事を友達として信じてるんだろ？だったら俺達も信じるしかないんじゃないか？」

「…同感ね。元々私達は有利の事は信じてるんだし」

セルセの考えにアリアも賛成だった。

「今はどんな手でも試してみる価値はある」

「だが！」

「ショーリ、信じて任せよう」

コンラートにも言われた勝利は大人しく彼を信じる事にした。

そしてサラレギーはヨザックが持っている神剣を受け取り、そのまま有利に元へと近づく。

剣を鞘から抜くと同時に光だし、そのまま有利の体へち近づける。

「ユーリ…！」

「娘にこんな心配をかけて、父親失格だっ 早く目を覚ませ！」

「お前は早寝早起きが自慢だろう！有利！」

「起きて下さいよ！坊ちゃん！」

「ユーリ…」

全員が心配しながら見守っていると、神剣の光はどんどん大きくなっていった。

そして城中にまた木や花などが生え、それは血盟城だけでなく眞魔国全体へ増幅させていったのだ。

「…っ」

「陛下！」

神剣の光が消えると力を使い疲れてしまったのか、サラレギーは倒れてしまった。

有利が目を覚ますか不安に思っていた。

だが彼は無事に目を覚ましたのだ。

「「ユーリ！」」

それに気づいたグレタとヴォルフラムは有利に抱きついた。

「え？どうしたんだ？」

今目を覚ました有利には状況が掴めずに不思議に思う。

「心配かけやがって…」

「仕方ないって、相手はユーリなんだからさ」

「そうね。もう慣れたわよ…」

皆に心配かけている有利に勝利だけでなく双子も苦笑する。

「ああ、陛下…っ 一時はどうなるのかと…！」

「本当ですよ、坊ちゃん」

「えっと～？」

部屋にいる殆どが嬉しそうに微笑んでいる事に有利は今だ首を傾げる。