「‘たとえ誰であろうと、俺の創ったこの国を踏み荒らす事は許さん！’」

ジェネウスは自分と対峙していた眞王に向けて攻撃をしてきた。

爆風で覆われている中、健は力を使い始めた為に彼の体は水色のオーラが現れる。

「‘哀れ…な。もう俺の事も分からないのか…’」

いくら眞王が彼に何かを言っても彼自身殆ど聞こえず、ただ眞王を睨みつけているだけだった。

「いくよ、眞王」

すると健は掌を眞王に向けると同時に彼の手から巨大な光が現れ、そのまま眞王に目がけて放たれた。

眞王は健から受け取った力をそのまま吸収した。

「‘すまん…’」

そう呟くと、彼から金色の球体が現れジェネウスの元へ放たれると、ジェネウスは何とかしてその攻撃を防ごうとした。

だがその間に眞王自ら彼の元へ寄り、そっと彼の肩に触れる。

「‘お前はここに居てはならない者だ…。だから、ここで無に還す。
だがお前１人では行かせない。俺も一緒に消えてやる’」

「まさか陛下は最初からこうすると決めていたのか…」

眞王の言葉を聞いたセルセは驚きながら健を見るが、彼は真剣な表情で２人を見守っていた。

「これは、僕達が決めた事だ」

「「！」」

「‘永い間ご苦労だった。お前の役目は終わったのだ’」

すると眞王を中心に巨大な金色の光が放出され始め、彼自身だけなくジェネウスも光で包みだしたのだ。

「‘今、俺と一緒に…’」

消えようとしていた時、今まで黙っていた彼が話し出す。

「…先ほどから黙って聞いていれば何とゆう…」

怒りを含んだ彼、有利はそう話し出した。

「勝手な事ばかり並べ立てる愚か者共！頭を冷やして世の話を聞け！」

「‘ユーリ？’」

眞王もまさかここで有利が話し出すとは思っていなかったのか、少し驚きながら顔だけ振り返る。

「過去にどんな功績を立てようとも、現在の眞魔国の王は世である！よって、この国を守るのは世の務め！余計な事をするでない！」

その言葉に眞王は彼を睨み、他の者達は呆れて何も言えなくなる。

「ユ、ユーリ…？」

「何を言ってるんだ有ちゃん…、アイツは…」

「眞王陛下に対して…」

「あの魔王になるとおもいっきり強気になるよね、有利って」

確かに今の眞魔国の魔王は有利だが、この眞魔国を造ったのは紛れもない眞王なのだ。

その眞王に強気、かつハッキリと言う有利に呆れながらも驚くだけだった。

「いや、もしかしたら…」

コンラートは有利の考えが分かったのかもしかしたらと呟いたが、有利はジェネウスに向けて指をさす。

「ジェネウスとやら、そなたに己の真の心を思い出せ！そなたの望みは何であったのかを」

有利の話を聞き、ジェネウスは少しずつ思い出していく。

ジェネウスとして生き、ジェネウスとして思ってきた事を…。



「眞王陛下…。

わたしは、貴方の元へ帰りたかった。

ヘリオスとテイアの子孫がいる国へ…。


貴方だけに辛い思いをさせている事。

いつか創主の戒めから解き放ったさしあげたかった…」



「‘…ジェネウス、俺はもう辛くは無い。ユーリによって創主は消滅し、俺達の望みは適ったのだ…’」

「素直に心根を分かち合えば分かり合える。これでこそ良き主従の姿！これで思い残す事はあるまい！」

勝手に言い切り、勝手に終わらせる有利に誰もが呆れる。

「…強引すぎじゃね？」

「…もう慣れたわよ」

有利らしくて何も言えない眞魔国の方々でした。

「ハア…」

すると力を使い切ったのか、健は溜め息をつきながらその場に座り込んだ。

「まったく、渋谷には本当に適わないな～」

「そういう陛下だから、皆がついて行くんです」

微笑みながらコンラートは座っている健の腕を掴み立ち上がらせ、これからどうするべきなのかヴォルフラムは不思議そうに尋ねた。