悲しき咆哮

夢小説設定

この小説の夢小説設定
双子妹
双子兄
義弟
姓(元)
双子父
双子母
祖先(父方)
祖先(母方)
部下

サラレギー達が消えてしまい謁見の間では戸惑いの雰囲気が流れていた。

何を思ったのかアラゾンもその場から消えてしまい、それを見ていた有利も部屋から出て行こうと走り出す。

「あ!」

「! 陛下!」

「おい!」

コンラートとセルセ、そしてヴォルフラムもすぐに彼の後を追いかける。

「よせ!有利!」

だが有利は部屋から出て行く前に勝利が彼を止める。

「なんでだよ!サラを捜しに行かなくちゃ!」

「いつまた襲撃を受けるか分からん。表を動き回るのは危険だ」

グウェンダルの説明に有利は『あ』と、何も言えなくなる。

「今は城の守りを立て直すのが先決でしょう」

「捜索は兵達任せましょう」

「そうだ。そうしろ、ユーリ」

ギュンター、コンラート、ヴォルフラムにも言われたうえ。

「ウ――、ウ――」

モルギフにまで言われたのだ。

「モルギフ…。お前もそう思うのかよ…」

あのモルギフにまで言われてしまい、有利は大人しく城で待つ事となった。

「……サラ…」

サラレギーを心配しながら。

「にしても、これは…」

「ああ。幻影じゃないぶん面倒だな…」

彼らは城からいなくなってしまったが、城の中には神剣の力で作用した植物が城の中も外も覆っていたのだった。



「兵の配置、完了しました」

「親衛軍も城の中での配置終わりました」

執務室へ入ってきたヨザックとリュイはグウェンダルとギュンター、そしてピリアーチェに報告したのだ。。

「ご苦労だった」

「捜索隊からは」

「まだ何もありません。ジェネウスもサラレギー陛下達も見つかっておりません」

リュイの報告にギュンターは『そうですか…』と言う事しか出来なかった。

「アラゾンはどこに行っちゃったんでしょうか…」

「…あのまま諦めるとも思えませんわ」

すると突然ノックも無しに扉が開く。

「ここにいましたか、ギュンター」

部屋に入ってきたアニシナはそのまま一直線にギュンターの元へ寄る。

「「!」」

「え?ギュンターですの?」

いつもならグウェンダルなのに、とピリアーチェとリュイは驚きながら彼女を見る。

「一緒に来るのです」

「え?あ、し、しかし…」

「さあ!」

「あぁ~っ」

ギュンターに近づいたアニシナは彼の腕を掴んですぐにその場から去って行こうとしたが、グウェンダルは少し焦りながらも尋ねる。

「ア、アニシナ。いったい何をするつもりだ」

「新兵器の準備です」

即答で答えたアニシナ。

「新兵器?」

「というと…?」

「…魔動装置、ですわね…」

ヨザックとリュイ、ピリアーチェは彼女が言う『新兵器』という言葉に思う浮かべたのは1つの物だった。

「グウェンダル」

「何だ」

突然名前を呼ばれグウェンダルは驚く。

「貴方には兵達の指揮に専念していただかねばなりません。今回は見逃してさしあげます」

そう言ってさっさと部屋からギュンターを連れて出て行ったアニシナでした。

「え、あ、ああ~!なぜわたくしが~!」

「(ご愁傷様です、ギュンター閣下…)」

叫びながらも連れて行かれるギュンターにリュイは心の中で祈った。

「いったい何が出来るんでしょうねぇ?」

「…ハア」

「考えたくもありませんわ」

被害がないヨザックは笑っていたが、いつも被害者となっているグウェンダルは溜め息をつき、その兄をいつも見てきたピリアーチェも呆れるだけだった。


その頃、有利の寝室で待っていた有利達。

有利は何かを考えながらもぐるぐると部屋の中を歩き回っていた。

「落ち着いて下さい、陛下」

「やっぱりジッとなんかしてられないよ!今のサラを1人にしておくなんて!」

「外に出るのは危険なんだからさ」

有利を落ち着かせようとコンラートもセルセも彼を宥める。

「兄上も言っていたではないか!いつまた敵の襲撃があるか分からないんだぞ。王であるお前が城を離れてどうする」

「そうだけど…」

ヴォルフラムの話に納得はしているらしいが、有利の感情がついていかないのか、ジェネウスの事を思い表情が暗くなる。

「ジェネウス、本当にまた来るのかな?それってやっぱりアラゾンさんがやらせてるって事?」

「ったく、どいつもこいつも…」

するとずっと窓から外を眺めていた勝利は言葉に怒りが含まれていた。

「どうしたんだ、勝利」

「ジェネウスは…ジェネウスはただの人形なんかじゃない」

「ショーリ、様…?」

まさか勝利がそんな事言うとは思っていなかったのか、エイルは不思議そうに彼を見上げる。

「確かにアイツは造られた命かもしれない。でも、アイツには心があった」

「勝利…」

「それを…アラゾンも眞王も…」

アラゾンは道具として彼を使い、眞王が勝利に言った事などが勝利にとっては許せない事だったのだ。

「有利、お前のお友達も」

「村田がどうかしたの?」

健が出て来た事に有利は驚く。

「アイツを…、ジェネウスを消そうとした。他に助ける術が無いと言って、簡単に、まるで使い捨てするように…。そんな事が許されるのか?」

「村田が…、村田がそんな事するなんて思えないけどな。…村田がやるかな?」

そう思えない有利は不思議そうにしていた。

「…セルセアリアだって眞王達がしようとしていた事に何も言わなかった。
お前達は大賢者やウルリーケとは別に眞王に色々と言える立場だって聞いた。なら…」

「…言える立場だから何も言わないんだよ」

「何?」

セルセは苦笑しながら話を続けていく。

「俺達は眞王陛下の子孫でもあると同時にヘリオスアスタルテテイアディオネの子孫でもある。
俺達は俺達の役割があって、その役割があるから陛下達が何をしようとするのかを確かめたかったんだ。

だからアリアが眞王廟に残って眞王陛下の側にいるんだよ」

彼らの子孫だからこそ、どう思っているのか、これから何をしようとしているのかを知らなければいけないと思った為に眞王廟へ行った。

「それに、俺達は眞王陛下がいなかったら生まれてなかったかもしれないしさ」

そう笑いながら話すセルセだった。
1/2ページ