還ってきた者
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有利達は、あの後眞王廟へと赴いた。
別の部屋で有利、双子、コンラート、健が待っていた。
「グウェンダルとヴォルフラムは、式の打ち合わせで、」
「悪い」
コンラートの言葉を有利は遮り、どこか迷いのある顔で話しだす。
「時間まで、1人にしてくれないかな?」
「…分かったよ。行こう、双子、ウェラー卿」
「外の女兵士さんも」
そう言われ、4人は部屋から出て行く。
「有利」
「ん?」
部屋から出る時、アリアは有利の方を向く。
「沢山、悩みなさい。後悔しないようにね」
「……うん…」
そう言ってアリアは部屋から出る。
健は有利に言われた通り、外で待機していた女兵士達を遠ざけた後、違う方向を見る。
「ヨザック、君も」
「「「!」」」
3人は咄嗟に健が向いた方向を見ると、柱の影からヨザックが現れた。
「しかし、猊下。護衛が陛下のお側を離れちゃ不味いんじゃ?」
「ここは眞王廟だよ。危険があるわけじゃない」
「はいはい…」
そう言ってヨザックも、有利がいる部屋から遠ざかる。
「…やっぱり迷いがあるか、ユーリは」
先ほどの事を思い出し、セルセは小さな声でアリアに話しかける。
「…有利はまだ16歳だし、仕方ないのかもしれないね…」
あちらの世界ではまだ高校生で保護者に守られる庇護者なのだ。
そんな彼が王として立つ事に迷いがあっても仕方がないと、そう苦笑するしかなかった。
「双子、ちょっといいかな?」
「「?」」
2人で話していると、健が途中で話しかけてきた。
双子は一体なんだろうと不思議に思う。
「実は…」
そして、健からある事を聞く。
「「え?」」
まさかの事実に双子は驚くしかなかった。
そして託宣の間で有利は、十貴族と特別貴族の前に立つ。
「第27代魔王として、眞魔国の為、皆の為に、おれに出来る限りの事を全身全霊をかけて、なす事を誓う!」
そして有利はそうハッキリと彼らの前で宣言したのだった。
その夜、血盟城で宴があるが双子と健はまだ行かず眞王廟である人と会った。
「‘お前達はユーリの祝いに行かなくていいのか?’」
「君に、一言言ってからね」
「(ホントに居たわ…)」
「(まさか本当に戻ってきていたとは…)」
今3人の目の前にいるのは、先日消えたはずの眞王だったのだ。
「‘お前の説教なら聞き飽きた。それに、これからは双子からも説教を受けそうだな’」
笑いながら健から双子を見るが、双子は苦笑する。
「そんな事は…」
「無いと思いますけど…」
あの眞王に説教をできる人なんて、大賢者の生まれ変わりである健だけしかいないだろう。
「まったく、君が変わらないんだから」
「‘この難しい状況で、ユーリは自らの意思で自分の道を選び取った。さすが、俺の選んだ魔王だ’」
「あの、眞王陛下…」
「それって…」
「それ、自画自賛って言うんだよ」
双子が言おうとした事を、健が呆れながら先に話した。
すると、健は『あ、』と何かを思い出した。
「‘ん?’」
「お帰り」
「お帰りなさい、陛下」
「お帰りなさい」
3人にそう言われた眞王は、小さく笑い返事をした。
「‘…ああ’」
「それじゃ、陛下、猊下。俺達は宴の方へ戻るんで」
「分かったよ」
双子は血盟城で行われている宴へと戻ろうと、その場から去ろうとした。
「‘双子’」
「「はい?」」
眞王に声をかけられ、振り向く。
「‘いや、何でもない…’」
「?」
「そうですか?」
不思議に思った双子だが、そのまま去っていく。
そんな2人の後姿を見た健は苦笑する。
「ヘリオスとテイアに似てるって言いたかった?」
「‘ああ。他の十貴族や特別貴族達よりも、誰よりもあの2人が瓜二つと言っていいほどに似ている…’」
「…そうだね、」
健もヘリオスとテイアの事を思い出し、ふと懐かしい顔で笑った。
血盟城へ戻ると、そこは宴で賑やかだった。
だが双子は有利の元へ行かず、グウェンダルとギュンターがいる部屋へと赴く。
「遅かったですね」
「ちょっと猊下に呼ばれてな」
「猊下は何と?」
眞王の事を言おうとしたが、セルセは苦笑する。
「…いや、どうでもいい事だよ」
4人はそのまま窓の外を眺める。
「これでユーリ陛下の地位は不動のものとなりました。他の十貴族と特別貴族も立会人となった事で、もう異と唱える者はないでしょう」
「それならば良いのだが」
「「「!」」」
グウェンダルの言葉に3人はハッとなる。
「…ヴァルトラーナの事ですか?」
「このまま、大人しく引き下がるとは思えん」
それほど、彼はヴォルフラムを魔王にさせたかったのだ…。
セルセは苦笑しながら思いだす。
「叔父様なんて、会議の後珍しく文句言ってたよ」
「エイン様が?」
「なんていうかさ、
『僕だって好きであの会議に出たわけじゃないのにさ、あの純粋な魔族贔屓が嫌な顔するし!しょうがないじゃんか。眞王陛下の血縁関係という事は国中が分かってしまった事なんだし、文句を言われる筋合いは無いよ!』
…って」
「「………」」
エインの文句を聞いたグウェンダルとギュンターは苦笑するしかない。
「ま、仕方ない事なんだけどね…」
「ディオネの方もやり難いって言ってたしな」
「眞王陛下の血縁関係、そして子孫という事が分かってしまったのです。それなりの事をしなければいけませんからね」
ギュンターは苦笑しながら話す。
「そうなんだけどな~」
「私もやり難い…」
「軍に行くと、周りの兵士達が興味深い目で見て来るんだよ」
双子とエイルが眞王陛下の子孫という事が発覚してから、周りの者達の見る目も変わってきたらしい。
結構それだけでも困っている双子だったのだ…。
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(2008/12/27)
(re:2017/05/21,2024/07/11)
別の部屋で有利、双子、コンラート、健が待っていた。
「グウェンダルとヴォルフラムは、式の打ち合わせで、」
「悪い」
コンラートの言葉を有利は遮り、どこか迷いのある顔で話しだす。
「時間まで、1人にしてくれないかな?」
「…分かったよ。行こう、双子、ウェラー卿」
「外の女兵士さんも」
そう言われ、4人は部屋から出て行く。
「有利」
「ん?」
部屋から出る時、アリアは有利の方を向く。
「沢山、悩みなさい。後悔しないようにね」
「……うん…」
そう言ってアリアは部屋から出る。
健は有利に言われた通り、外で待機していた女兵士達を遠ざけた後、違う方向を見る。
「ヨザック、君も」
「「「!」」」
3人は咄嗟に健が向いた方向を見ると、柱の影からヨザックが現れた。
「しかし、猊下。護衛が陛下のお側を離れちゃ不味いんじゃ?」
「ここは眞王廟だよ。危険があるわけじゃない」
「はいはい…」
そう言ってヨザックも、有利がいる部屋から遠ざかる。
「…やっぱり迷いがあるか、ユーリは」
先ほどの事を思い出し、セルセは小さな声でアリアに話しかける。
「…有利はまだ16歳だし、仕方ないのかもしれないね…」
あちらの世界ではまだ高校生で保護者に守られる庇護者なのだ。
そんな彼が王として立つ事に迷いがあっても仕方がないと、そう苦笑するしかなかった。
「双子、ちょっといいかな?」
「「?」」
2人で話していると、健が途中で話しかけてきた。
双子は一体なんだろうと不思議に思う。
「実は…」
そして、健からある事を聞く。
「「え?」」
まさかの事実に双子は驚くしかなかった。
そして託宣の間で有利は、十貴族と特別貴族の前に立つ。
「第27代魔王として、眞魔国の為、皆の為に、おれに出来る限りの事を全身全霊をかけて、なす事を誓う!」
そして有利はそうハッキリと彼らの前で宣言したのだった。
その夜、血盟城で宴があるが双子と健はまだ行かず眞王廟である人と会った。
「‘お前達はユーリの祝いに行かなくていいのか?’」
「君に、一言言ってからね」
「(ホントに居たわ…)」
「(まさか本当に戻ってきていたとは…)」
今3人の目の前にいるのは、先日消えたはずの眞王だったのだ。
「‘お前の説教なら聞き飽きた。それに、これからは双子からも説教を受けそうだな’」
笑いながら健から双子を見るが、双子は苦笑する。
「そんな事は…」
「無いと思いますけど…」
あの眞王に説教をできる人なんて、大賢者の生まれ変わりである健だけしかいないだろう。
「まったく、君が変わらないんだから」
「‘この難しい状況で、ユーリは自らの意思で自分の道を選び取った。さすが、俺の選んだ魔王だ’」
「あの、眞王陛下…」
「それって…」
「それ、自画自賛って言うんだよ」
双子が言おうとした事を、健が呆れながら先に話した。
すると、健は『あ、』と何かを思い出した。
「‘ん?’」
「お帰り」
「お帰りなさい、陛下」
「お帰りなさい」
3人にそう言われた眞王は、小さく笑い返事をした。
「‘…ああ’」
「それじゃ、陛下、猊下。俺達は宴の方へ戻るんで」
「分かったよ」
双子は血盟城で行われている宴へと戻ろうと、その場から去ろうとした。
「‘双子’」
「「はい?」」
眞王に声をかけられ、振り向く。
「‘いや、何でもない…’」
「?」
「そうですか?」
不思議に思った双子だが、そのまま去っていく。
そんな2人の後姿を見た健は苦笑する。
「ヘリオスとテイアに似てるって言いたかった?」
「‘ああ。他の十貴族や特別貴族達よりも、誰よりもあの2人が瓜二つと言っていいほどに似ている…’」
「…そうだね、」
健もヘリオスとテイアの事を思い出し、ふと懐かしい顔で笑った。
血盟城へ戻ると、そこは宴で賑やかだった。
だが双子は有利の元へ行かず、グウェンダルとギュンターがいる部屋へと赴く。
「遅かったですね」
「ちょっと猊下に呼ばれてな」
「猊下は何と?」
眞王の事を言おうとしたが、セルセは苦笑する。
「…いや、どうでもいい事だよ」
4人はそのまま窓の外を眺める。
「これでユーリ陛下の地位は不動のものとなりました。他の十貴族と特別貴族も立会人となった事で、もう異と唱える者はないでしょう」
「それならば良いのだが」
「「「!」」」
グウェンダルの言葉に3人はハッとなる。
「…ヴァルトラーナの事ですか?」
「このまま、大人しく引き下がるとは思えん」
それほど、彼はヴォルフラムを魔王にさせたかったのだ…。
セルセは苦笑しながら思いだす。
「叔父様なんて、会議の後珍しく文句言ってたよ」
「エイン様が?」
「なんていうかさ、
『僕だって好きであの会議に出たわけじゃないのにさ、あの純粋な魔族贔屓が嫌な顔するし!しょうがないじゃんか。眞王陛下の血縁関係という事は国中が分かってしまった事なんだし、文句を言われる筋合いは無いよ!』
…って」
「「………」」
エインの文句を聞いたグウェンダルとギュンターは苦笑するしかない。
「ま、仕方ない事なんだけどね…」
「ディオネの方もやり難いって言ってたしな」
「眞王陛下の血縁関係、そして子孫という事が分かってしまったのです。それなりの事をしなければいけませんからね」
ギュンターは苦笑しながら話す。
「そうなんだけどな~」
「私もやり難い…」
「軍に行くと、周りの兵士達が興味深い目で見て来るんだよ」
双子とエイルが眞王陛下の子孫という事が発覚してから、周りの者達の見る目も変わってきたらしい。
結構それだけでも困っている双子だったのだ…。
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(2008/12/27)
(re:2017/05/21,2024/07/11)