女王と王

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アラゾンが消え、詳しい事をベリエスから聞くという事となり別の部屋へ移動した。

「だから、白い鴉のリーダーのアラゾンは聖砂国の女王様で、そんでもってベリエスさんのお姉さんで、サラのお母さん…、ていう事はえっと~…」

「ベリエスさんは聖砂国の王族で、サラレギー陛下の実の叔父って事だよね?」

有利が何かを言おうとした事を察知したのか健が分かりやすく説明した。

するとギュンターはサラレギーを見ながら初めて会った時から感じていた事を確信めいた口調で話す。

「やはりサラレギー陛下の容貌が神族に酷似していると感じたのは間違いではなかったのですね」

「では、その髪と瞳の色は…」

先程まで魔族に近い黒い髪と瞳を持っていたベリエスの今の姿は神族と同じでもある。

「法術で変えてたんじゃないかな?神族だと分からなくする為に」

「……わたしを騙していたのか?」

今まで黙っていたサラレギーはベリエスの顔を見ずに話しかける。

「父上の策略か?それとも母上の?いずれにしても、わたしだけが何も知らずに…。お前だけは信じていたのに…」

「サラ、ちょっと落ち着こうよ…」

「彼は…わたしを裏切った…」

そうはっきり言うサラレギーに有利は少し焦った様な、どこか哀しそうな口調でベリエスに話しかける。

「ね、ねえ…ベリエスさん。何か理由があるんだろ?ちゃんと話してよ。でないと、サラが…、このままずっと苦しむ事になるんだよ…」

「貴公が何も知らせない事でサラレギー陛下の心や立場を守ってきたのは分かる。だが、真実を知らせない事が本当に守る事になるのだろうか?」

「……18年ほど前の事です」

有利だけでなくコンラートの説得を聞き入れたのか、ベリエスは事実を話し始めた。

「当時はまだ小シマロンの第一王子であったサラレギー陛下の父上、若きギルバルト殿下は魔族との戦いの為船団を率いて出撃なさいました。
しかし、嵐に遭い船は大破。その身は偶然聖砂国に流れ着いたのです。

聖砂国の女王アラゾンは彼を手厚く保護し、2人は急速に近付いて行きました。
やがて2人は愛し合い、2人の間には男の子が生まれました」

「それが、サラって事?」

「神族と人間の生まれた子どもか…」

「それだけではありません。一国の王と他国の皇位継承者、どちらも立場がある身」

「…それって、何か問題が?」

今一分からない有利はギュンターに尋ねる。

「聖砂国は2000年の永きに渡り国を閉ざしてきました。さらに神剣が失われ、国の守りも無くなり、衰退を始めていたのです」

「ギルバルト殿下の奪還という口実を人間に与えては、聖砂国は侵略される恐れがある」

「そんな…」

「人間の考えそうな事だ。魔族を恐れるように強い法力を持つ神族もある意味では恐ろしい存在だ。神族を支配し、その力を利用する」

「国内にもギルバルト殿下の存在を危険だと考える者が少なからずいました。そして、姉は決断したんです」



『この子には殆ど法力がありません。これでは神族とは言えない』

『姉上っ』

『神族ではない者など、この国には必要ない』


そう言われたギルバルトは幼い赤子でもあったサラレギーを連れて聖砂国から出て行き、自分の母国でもある小シマロンへ帰って行ったのだった。

そして聖砂国はどんどん貧しくなっていき、土地が荒れ果てる状態となってきたのだ。


『やはりこの国を救う為には神剣を取り戻さなければ…。わたし自ら神剣の捜索に出ます』


そう言って神剣を探す旅を女王自らが先頭にたって捜索を始めたのだ。

時には吹雪く山を歩き、また時には他国の者と戦う事もあった。



「神剣捜索の旅は永く、過酷なものとなりました。姉は傷ついた者を見捨て先を急ぎました」



そしてそんなアラゾンを見てきたベリエスはある提案をするのだ。


『姉上、神剣は諦めましょう。手掛かりも無く、我々だけで探すのは不可能だ。手遅れになる前に国を開き、他国の援助を求めるべきです!』

『その様な事は出来ぬ!』

『姉上!』

『聖砂国の王はわたしだ。わたしの命に従えぬと言うなら弟といえど容赦はせぬ!』


そしてベリエスは聖砂国を捨てる事を決意したのだった。



「時には仲間を捨て、他人を利用するやり方にわたしはどうしても納得出来ず、姉の元と離れました。そしてずっと気になっていた場所へ向かったのです」

彼が向かった先は王となり、小シマロンを治めるギルバルトの元だったのだ。

「…ギルバルト陛下はいつも貴方の事を気にかけていました。どう接してよいのか分からず、いつも寂しい思いをさせていると…」

「父上がその様な事を…」

ギルバルトがそんな事を言っていたのを初めて知ったサラレギーだったが、彼は自嘲するような薄笑いを浮かべる。

「…今さらそんな事を言われて何になる。父に抱きしめられた思い出もない。いつも遠い存在だった。
わたしは誓ったのだ。父を超える偉大な王となり、わたしの存在をあらゆる者に認めさせてやると…。
…滑稽だな…。父もまた、自分を捨てた母を憎んでいたのか…」

悲しさを含みながらそう話すサラレギーは椅子から立ち上がる。

「1人にしてくれ」

そう言い残して部屋から出て行ってのだった。
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