捕虜のベリエス
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眞魔国へ帰る事になった彼ら。
「国境を越えましたよ。もうここはフランシアだ」
「はあ、良かった…」
無事に大シマロンから脱出できた事にダカスコスはホッと安心するが、ヴォルフラムは簡単に脱出できた事に少し驚いていた。
「随分警備が手薄だったな」
「それだけ大シマロン軍が疲弊しているって事だろうな」
「ああ。もう俺達を追ってくる者はいないでしょう」
だからこそ安心して出る事が出来たと話していると、先頭を歩いていたコンラートがある人物を見てハッとなったのだ。
「!」
コンラートがハッとなったのに気づいた3人は同じように先にいる人物を見る。
「あれは、小シマロンの」
「ベリエスだな…」
道を立ち塞がっているのは小シマロン王、サラレギーの側近でもあるベリエスだったのだ。
「厄介なのが現れましたね」
「ああ」
敵が現れたのだと気づいたダカスコスは溜め息をつく。
「あー、そう簡単に行かないとは思ってたんだよなー」
「ダカスコスうるさい」
「! すみません!!」
ダカスコスはセルセに冷たく言われた為、すぐに平謝りするだけだった。
「貴様、何の用だ?」
コンラートより先に出たヴォルフラムはベリエスを見下ろしながら尋ねた。
「わたしは小シマロン王の使者としてウェラー卿コンラート閣下をお迎えに参りました」
「っ よくもぬけぬけと…!」
「待て!」
すぐに彼を止めたコンラートはすぐにヴォルフラムよりも前に出てジッとベリエスを見る。
止められたヴォルフラムは何も言わずに少しだけその場から離れる。
誰もが無言のままだったが、コンラートは馬から降りて話し出す。
「挨拶も無く無断で城を抜け出した非礼はお詫びする」
「(こいつ、無断で抜け出して大シマロンへ行ったのかよ…)」
サラレギーとベリエスに対して非礼を詫びているコンラートの話にセルセは馬に首に寄りかかるように見ていた。
「しかし、サラレギー陛下の意にそう事は出来ない」
「説得に応じて頂けないようであれば、力ずくでお連れするようにと。それでも駄目な場合は」
「その場合には?」
カチャリッ
何も言わずにベリエスは持っている剣の柄を掴んだのだ。
「貴様!」
「隊長!」
それに気づいたヴォルフラムとヨザックも同じように柄を掴んだ。
「待て、2人とも。ここは任せてくれ」
コンラートは視線を移さずに2人を制した。
「これで2度目だな。ぜひ貴公とはもう一度手合せ願いたいと思っていた」
こうしてサラレギーの元へ彼を連れて行こうとするベリエスと、何としても眞魔国へ帰ろうとするコンラートの一対一の戦いが始まった。
「あ、」
「動くなよ、ヴォル」
2人の戦いに心配そうにしているヴォルフラムをセルセが止めたが、彼はジッとコンラートとベリエスを見ていた。
「(本当なら俺がやりたいって思うけど、今の俺が戦ったら殺しそうだからやらない方がいいか)」
どうしても有利を利用したサラレギーが許せないからこそ、側近でもあり彼の目的を知っていたベリエスが憎らしかったらしい。
あまり根に持たない彼がここまで根に持ったという事にセルセ自身、呆れながら苦笑するだけだった。
そして2人の戦いはコンラートが攻め入り、一瞬の隙をついて二刀流のベリエスの剣を一本だけ弾き飛ばしたのだ。
「!」
「よしっ」
弾き飛ばした衝撃でベリエスは後ろに倒れ、その隙にコンラートは彼の喉元に剣を当てたのだ。
「……」
弾いた衝撃で左腕を負傷したベリエスは負けた事を認識すると、握っていた剣もそっと地面に置く。
「…出てこい」
「……」
「「「!」」」
コンラートは剣を彼に当てたまま視線だけ別の方向を見る。
ヴォルフラム達は驚いていた中、セルセだけな何となく気づいていたらしく無表情のままある所を見ていた。
「お気づきでしたが」
木の陰から出て来たのはジェネウスだったのだ。
「さすがですね」
自分の存在に気づいていたコンラートだけでなく、気づいていてなお何も言わなかったセルセにジェネウスは色んな意味でさすがと思っていたのだ。
「貴様はジェネウス!」
「閣下!」
ジェネウスが現れた事によりヴォルフラムはすぐに鞘から剣を抜いて構えた。
だが彼は焦る様子もなく彼らを見渡すだけ。
「どうやら魔王とその兄上は、ここにはいらっしゃらない様で」
「まだユーリ達を利用しようというのか!だいたい、あんな得体の知れぬ剣が本当に神剣だと言うのか!?」
「!」
何かに気づいたベリエスは驚きながらジェネウスを見る。
「我々は諦めるわけにはいかないのです。またいずれお会いいたしましょう。…その時は魔王陛下もご一緒に」
するとジェネウスはコンラートからセルセの方を見る。
「……貴方は本当に…」
「?」
何かを言いたそうな彼にセルセは首を傾げる。
「…いえ、今度はテイアと似ている貴方の妹君にもお会いしてみたいですね」
「!」
「アリアに?」
まさか有利だけでなくアリアにも会いたいという彼に驚くだけだったが、ジェネウスはそれ以上何も言わず『それでは』と言い残してその場から去って行った。
「待て!」
ヴォルフラムはすぐに追いかけようとしたが、それよりも先に彼の方が姿を消してしまった所為で追えなかったのだ。
ジェネウスが消えてから、コンラートはベリエスの方へもう一度見る。
「…さっき、なぜ法術を使わなかった?俺を本気で倒す気なら力を使う事も出来たはずだ」
「…貴公には純粋に剣の腕だけで勝ちたいと思った」
すると少し離れた場所から声が聞こえ振り返ると、そこには縄を持って構えているダカスコスの姿があった。
「ヴォルフラム、何を?」
「決まっている。捕虜として連れて行くんだ」
当然の様に言うヴォルフラムだった。
「捕虜?」
「ユーリの為だ。眞魔国に連行し、サラレギーの思惑を話してもらう」
「ま、怪我人を置いて行くのもなんですしね」
どうするか迷っていたコンラートはもう一度ベリエスを見ると、彼自身、自分は負けたからこそコンラート達に従うと言い出した。
こうしてセルセ達はベリエスを連れて眞魔国へ無事に帰国したのだ。
「国境を越えましたよ。もうここはフランシアだ」
「はあ、良かった…」
無事に大シマロンから脱出できた事にダカスコスはホッと安心するが、ヴォルフラムは簡単に脱出できた事に少し驚いていた。
「随分警備が手薄だったな」
「それだけ大シマロン軍が疲弊しているって事だろうな」
「ああ。もう俺達を追ってくる者はいないでしょう」
だからこそ安心して出る事が出来たと話していると、先頭を歩いていたコンラートがある人物を見てハッとなったのだ。
「!」
コンラートがハッとなったのに気づいた3人は同じように先にいる人物を見る。
「あれは、小シマロンの」
「ベリエスだな…」
道を立ち塞がっているのは小シマロン王、サラレギーの側近でもあるベリエスだったのだ。
「厄介なのが現れましたね」
「ああ」
敵が現れたのだと気づいたダカスコスは溜め息をつく。
「あー、そう簡単に行かないとは思ってたんだよなー」
「ダカスコスうるさい」
「! すみません!!」
ダカスコスはセルセに冷たく言われた為、すぐに平謝りするだけだった。
「貴様、何の用だ?」
コンラートより先に出たヴォルフラムはベリエスを見下ろしながら尋ねた。
「わたしは小シマロン王の使者としてウェラー卿コンラート閣下をお迎えに参りました」
「っ よくもぬけぬけと…!」
「待て!」
すぐに彼を止めたコンラートはすぐにヴォルフラムよりも前に出てジッとベリエスを見る。
止められたヴォルフラムは何も言わずに少しだけその場から離れる。
誰もが無言のままだったが、コンラートは馬から降りて話し出す。
「挨拶も無く無断で城を抜け出した非礼はお詫びする」
「(こいつ、無断で抜け出して大シマロンへ行ったのかよ…)」
サラレギーとベリエスに対して非礼を詫びているコンラートの話にセルセは馬に首に寄りかかるように見ていた。
「しかし、サラレギー陛下の意にそう事は出来ない」
「説得に応じて頂けないようであれば、力ずくでお連れするようにと。それでも駄目な場合は」
「その場合には?」
カチャリッ
何も言わずにベリエスは持っている剣の柄を掴んだのだ。
「貴様!」
「隊長!」
それに気づいたヴォルフラムとヨザックも同じように柄を掴んだ。
「待て、2人とも。ここは任せてくれ」
コンラートは視線を移さずに2人を制した。
「これで2度目だな。ぜひ貴公とはもう一度手合せ願いたいと思っていた」
こうしてサラレギーの元へ彼を連れて行こうとするベリエスと、何としても眞魔国へ帰ろうとするコンラートの一対一の戦いが始まった。
「あ、」
「動くなよ、ヴォル」
2人の戦いに心配そうにしているヴォルフラムをセルセが止めたが、彼はジッとコンラートとベリエスを見ていた。
「(本当なら俺がやりたいって思うけど、今の俺が戦ったら殺しそうだからやらない方がいいか)」
どうしても有利を利用したサラレギーが許せないからこそ、側近でもあり彼の目的を知っていたベリエスが憎らしかったらしい。
あまり根に持たない彼がここまで根に持ったという事にセルセ自身、呆れながら苦笑するだけだった。
そして2人の戦いはコンラートが攻め入り、一瞬の隙をついて二刀流のベリエスの剣を一本だけ弾き飛ばしたのだ。
「!」
「よしっ」
弾き飛ばした衝撃でベリエスは後ろに倒れ、その隙にコンラートは彼の喉元に剣を当てたのだ。
「……」
弾いた衝撃で左腕を負傷したベリエスは負けた事を認識すると、握っていた剣もそっと地面に置く。
「…出てこい」
「……」
「「「!」」」
コンラートは剣を彼に当てたまま視線だけ別の方向を見る。
ヴォルフラム達は驚いていた中、セルセだけな何となく気づいていたらしく無表情のままある所を見ていた。
「お気づきでしたが」
木の陰から出て来たのはジェネウスだったのだ。
「さすがですね」
自分の存在に気づいていたコンラートだけでなく、気づいていてなお何も言わなかったセルセにジェネウスは色んな意味でさすがと思っていたのだ。
「貴様はジェネウス!」
「閣下!」
ジェネウスが現れた事によりヴォルフラムはすぐに鞘から剣を抜いて構えた。
だが彼は焦る様子もなく彼らを見渡すだけ。
「どうやら魔王とその兄上は、ここにはいらっしゃらない様で」
「まだユーリ達を利用しようというのか!だいたい、あんな得体の知れぬ剣が本当に神剣だと言うのか!?」
「!」
何かに気づいたベリエスは驚きながらジェネウスを見る。
「我々は諦めるわけにはいかないのです。またいずれお会いいたしましょう。…その時は魔王陛下もご一緒に」
するとジェネウスはコンラートからセルセの方を見る。
「……貴方は本当に…」
「?」
何かを言いたそうな彼にセルセは首を傾げる。
「…いえ、今度はテイアと似ている貴方の妹君にもお会いしてみたいですね」
「!」
「アリアに?」
まさか有利だけでなくアリアにも会いたいという彼に驚くだけだったが、ジェネウスはそれ以上何も言わず『それでは』と言い残してその場から去って行った。
「待て!」
ヴォルフラムはすぐに追いかけようとしたが、それよりも先に彼の方が姿を消してしまった所為で追えなかったのだ。
ジェネウスが消えてから、コンラートはベリエスの方へもう一度見る。
「…さっき、なぜ法術を使わなかった?俺を本気で倒す気なら力を使う事も出来たはずだ」
「…貴公には純粋に剣の腕だけで勝ちたいと思った」
すると少し離れた場所から声が聞こえ振り返ると、そこには縄を持って構えているダカスコスの姿があった。
「ヴォルフラム、何を?」
「決まっている。捕虜として連れて行くんだ」
当然の様に言うヴォルフラムだった。
「捕虜?」
「ユーリの為だ。眞魔国に連行し、サラレギーの思惑を話してもらう」
「ま、怪我人を置いて行くのもなんですしね」
どうするか迷っていたコンラートはもう一度ベリエスを見ると、彼自身、自分は負けたからこそコンラート達に従うと言い出した。
こうしてセルセ達はベリエスを連れて眞魔国へ無事に帰国したのだ。