怒りの突撃
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「ぷはっ」
「くっ」
セルセと健が出て来たのは有利に家ではなく眞王廟の中庭にある噴水だった。
「ここ、眞王廟…?」
2人は周りを見渡していると健はハッとなり隣を見る。
つられたセルセも健が見た方を見て驚く。
「陛下?」
目の前にいたのは眞王とウルリーケの2人が立っていた。
「どういうつもり?セルセならともかく、僕も眞魔国に連れ戻すなんて」
「‘その理由はお前が一番よく分かっているはずだ…’」
「あ…」
眞王の言葉に健は何も言えなくなってしまった。
有利が起こした事はさっそく眞魔国で十貴特別貴族会議の議題となり血盟城で話し合っていた。
「さすがはユーリ陛下!大シマロンの軍艦をたった1人で5隻も沈めるとは、素晴らしい戦果です」
知らせを聞いたシュトッフェルは有利の戦果を大笑いで褒めていた。
「ランジールを失った大シマロン艦隊は本国に撤退したようです。おそらく、今の大シマロンには眞魔国に攻め入るだけの力は残っていないでしょう」
「…冗談ではない!」
今まで黙っていたヴァルトラーナはテーブルを思いっきり叩いたうえ立ち上がる。
「ヴァルトラーナ?」
突然立ち上がった彼にエインは目を見開いて彼を見上げる。
「あの海域に展開していた我々の艦隊も下手をすれば巻き添いになるところだったのだ!魔王の力を解放するのなら、なぜ事前に知らせて下さらなかったのか!」
「それは陛下に対して、」
「命が惜しくて言っているのではない!陛下が我々の存在を軽んじているから申し上げているのだ!」
グウェンダルの言葉を遮ったまま、彼は自分の気持ちを話していきながら手をギュッと握る。
「たとえ矢が尽き、剣が折れようとも陛下のご命令とあれば我々は敵陣に突撃してみせる!」
「それを恐れたからこそ、陛下は単身敵陣に乗り込んだのだ」
「ならばなぜ陛下は眞魔国に戻られていない?」
ヴァルトラーナはグウェンダルを睨みながらもう一度テーブルを叩く。
「この機に乗じて大シマロンに攻め込む事も出来るというのに!」
「陛下は」
「ん!?」
今度はギュンターが話し出した為、彼はグウェンダルからギュンターの方を睨む。
「今動くのは得策では無いとお考えなのです」
「今動かずにしていつ動くと言うのだ!?」
彼の言葉に他の十貴族達も確かに、と納得したり、有利がいったい何を考えているのかが分からない状況でもあったのだ。
「わたしもユーリ陛下はどことなく頼り無いと前から思ってい、」
「フォンシュピッツヴェーグ卿!貴方まで何をおっしゃるのですか!!」
いきなり手の平を返すシュトッフェルにギュンターが抗議した。
彼らが話し合っていると、部屋の外から誰かを止めようする声が聞こえてくる。
「?」
「この声…」
聞き覚えがある声にエインだけでなくグウェンダルとギュンターも不思議そうにドアの方を見る。
バタン!!
すると突然扉が思いっきり開くと、そこには怒りオーラを出しているセルセと、苦笑しながら後を追いかけるアリアの姿が見えたのだ。
十貴特別貴族達は驚きながら双子を見ていたが、セルセはそんな事も気にせずに中へ入って行く。
「セルセ、ちょっと待ってよ!」
「アリア、いったいどうしたの?」
まさか双子は来るとは思っていなかったエインは驚いた表情のままアリアに尋ねる。
「ごめんなさい、叔父様。その…、セルセ、眞王廟から戻ってきてからずっとこの調子で…」
バンッ
「いいから聞け!」
怒っている彼はおもいっきりテーブルを叩く。
「セルセ?」
「どうしたのです?貴方がそんなに怒るなんて珍しい…」
いつもなら怒っていてもこれほど感情を表に出す事が無かったセルセにグウェンダルとギュンターも戸惑いを隠せないでいたのだ。
「黙ってろ。俺は今、虫の居所が悪いんだよ」
「「……」」
「セルセ…」
睨みつける彼に2人は何も言えなくなり、アリアも顔が引きつる。
「今回ユーリが力を解放したのはユーリの意思じゃない」
「どういう事だ?」
「アイツ…、小シマロン王のサラレギーの策略だったんだよ!」
その言葉に全員はハッとなって彼を見る。
「サラレギーにとって一番邪魔な存在は大シマロンだ!だが小シマロンだけでは排除する事が出来ないからユーリの力を利用して大シマロンを滅ぼそうとしたんだよ!」
「じゃあ、初めから有利は、…道具にすぎなかったって事?」
セルセの説明で誰もが分かった事。
サラレギーにとっての有利は単なる道具であるという事なのだ。
「お前らが会議をして決めるのは勝手だが、これだけは覚えておけよ!ユーリはただ利用されただけであって、アイツの意思じゃないって事を、そして誰よりも俺らや眞魔国の事を思ってるって事をな!」
言いたい事だけ言ったセルセは彼らの話も聞かずに、部屋から出て行ってしまった。
「セルセ!」
そんな彼にグウェンダル達は何も言えなくなり、アリアも苦笑するだけだった。
「…アリア、セルセを頼む」
珍しく頼み事をするグウェンダルにアリアは驚きはしたが、すぐに微笑んで頷く。
「もちろん」
言われなくても、と言い残して彼女もセルセの後を追いかけて行く。
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(2011/03/18)
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「くっ」
セルセと健が出て来たのは有利に家ではなく眞王廟の中庭にある噴水だった。
「ここ、眞王廟…?」
2人は周りを見渡していると健はハッとなり隣を見る。
つられたセルセも健が見た方を見て驚く。
「陛下?」
目の前にいたのは眞王とウルリーケの2人が立っていた。
「どういうつもり?セルセならともかく、僕も眞魔国に連れ戻すなんて」
「‘その理由はお前が一番よく分かっているはずだ…’」
「あ…」
眞王の言葉に健は何も言えなくなってしまった。
有利が起こした事はさっそく眞魔国で十貴特別貴族会議の議題となり血盟城で話し合っていた。
「さすがはユーリ陛下!大シマロンの軍艦をたった1人で5隻も沈めるとは、素晴らしい戦果です」
知らせを聞いたシュトッフェルは有利の戦果を大笑いで褒めていた。
「ランジールを失った大シマロン艦隊は本国に撤退したようです。おそらく、今の大シマロンには眞魔国に攻め入るだけの力は残っていないでしょう」
「…冗談ではない!」
今まで黙っていたヴァルトラーナはテーブルを思いっきり叩いたうえ立ち上がる。
「ヴァルトラーナ?」
突然立ち上がった彼にエインは目を見開いて彼を見上げる。
「あの海域に展開していた我々の艦隊も下手をすれば巻き添いになるところだったのだ!魔王の力を解放するのなら、なぜ事前に知らせて下さらなかったのか!」
「それは陛下に対して、」
「命が惜しくて言っているのではない!陛下が我々の存在を軽んじているから申し上げているのだ!」
グウェンダルの言葉を遮ったまま、彼は自分の気持ちを話していきながら手をギュッと握る。
「たとえ矢が尽き、剣が折れようとも陛下のご命令とあれば我々は敵陣に突撃してみせる!」
「それを恐れたからこそ、陛下は単身敵陣に乗り込んだのだ」
「ならばなぜ陛下は眞魔国に戻られていない?」
ヴァルトラーナはグウェンダルを睨みながらもう一度テーブルを叩く。
「この機に乗じて大シマロンに攻め込む事も出来るというのに!」
「陛下は」
「ん!?」
今度はギュンターが話し出した為、彼はグウェンダルからギュンターの方を睨む。
「今動くのは得策では無いとお考えなのです」
「今動かずにしていつ動くと言うのだ!?」
彼の言葉に他の十貴族達も確かに、と納得したり、有利がいったい何を考えているのかが分からない状況でもあったのだ。
「わたしもユーリ陛下はどことなく頼り無いと前から思ってい、」
「フォンシュピッツヴェーグ卿!貴方まで何をおっしゃるのですか!!」
いきなり手の平を返すシュトッフェルにギュンターが抗議した。
彼らが話し合っていると、部屋の外から誰かを止めようする声が聞こえてくる。
「?」
「この声…」
聞き覚えがある声にエインだけでなくグウェンダルとギュンターも不思議そうにドアの方を見る。
バタン!!
すると突然扉が思いっきり開くと、そこには怒りオーラを出しているセルセと、苦笑しながら後を追いかけるアリアの姿が見えたのだ。
十貴特別貴族達は驚きながら双子を見ていたが、セルセはそんな事も気にせずに中へ入って行く。
「セルセ、ちょっと待ってよ!」
「アリア、いったいどうしたの?」
まさか双子は来るとは思っていなかったエインは驚いた表情のままアリアに尋ねる。
「ごめんなさい、叔父様。その…、セルセ、眞王廟から戻ってきてからずっとこの調子で…」
バンッ
「いいから聞け!」
怒っている彼はおもいっきりテーブルを叩く。
「セルセ?」
「どうしたのです?貴方がそんなに怒るなんて珍しい…」
いつもなら怒っていてもこれほど感情を表に出す事が無かったセルセにグウェンダルとギュンターも戸惑いを隠せないでいたのだ。
「黙ってろ。俺は今、虫の居所が悪いんだよ」
「「……」」
「セルセ…」
睨みつける彼に2人は何も言えなくなり、アリアも顔が引きつる。
「今回ユーリが力を解放したのはユーリの意思じゃない」
「どういう事だ?」
「アイツ…、小シマロン王のサラレギーの策略だったんだよ!」
その言葉に全員はハッとなって彼を見る。
「サラレギーにとって一番邪魔な存在は大シマロンだ!だが小シマロンだけでは排除する事が出来ないからユーリの力を利用して大シマロンを滅ぼそうとしたんだよ!」
「じゃあ、初めから有利は、…道具にすぎなかったって事?」
セルセの説明で誰もが分かった事。
サラレギーにとっての有利は単なる道具であるという事なのだ。
「お前らが会議をして決めるのは勝手だが、これだけは覚えておけよ!ユーリはただ利用されただけであって、アイツの意思じゃないって事を、そして誰よりも俺らや眞魔国の事を思ってるって事をな!」
言いたい事だけ言ったセルセは彼らの話も聞かずに、部屋から出て行ってしまった。
「セルセ!」
そんな彼にグウェンダル達は何も言えなくなり、アリアも苦笑するだけだった。
「…アリア、セルセを頼む」
珍しく頼み事をするグウェンダルにアリアは驚きはしたが、すぐに微笑んで頷く。
「もちろん」
言われなくても、と言い残して彼女もセルセの後を追いかけて行く。
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