白い鴉
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
血盟城へ戻ってきた有利達はグウェンダルの執務室へ赴く、怪我を負ったヴォルフラムの手当をギーゼラがしていた。
「もう大丈夫のようですね」
「だからそう言っているだろう。…国内で法術に押されるとは、不覚だった」
どうしても先ほど、法術で押された事が悔しいのだ。
「彼らは自分の命もいとわず法術を使っていました。あのような暴挙を止める事は難しい…」
ギーゼラは今度はグウェンダルを手当しようとしたが、軽く軍服を羽織っている彼は片手で彼女を止めてからもう一度ギュンター達に視線を移す。
「それで、捕まえた白い鴉の者達は?」
手当を受けなかった彼にギーゼラは何も言わず、一礼をしてから彼から離れる姿を見てから『白い鴉』の者達についてピリアーチェが説明する。
「尋問は致しましたが何も話そうとはしませんわ。彼らの目的が何か、ショーリ様を何処へ連れて行ったのかも、何も言いませんでしたの…」
「何故だ!?もっと厳しく取り調べを、」
「無駄でしょうね」
しようと言おうとしたヴォルフラムの言葉を遮ったのはアリアだった。
「あの人達は命を懸けてでも仲間を逃がしたんでしょ?」
「ああ。だったら言うはずはない、な…」
双子に言われたヴォルフラムはもう一度椅子に座る。
「……おれの所為だ。おれが…」
今まで黙ったまま窓の外を見ていた有利は小さく呟き、テーブルの上に置いてある手をぎゅっと握る。
それに気づいたギーゼラはそっと有利の手に触れる。
「あ、いいよ、ギーゼラ。おれは怪我してないし」
手当をしてくれると思った有利は笑いながら大丈夫だと話すが、ギーゼラはいつもと変わらない笑顔と口調で話し出す。
「体に傷が無くても、陛下は傷ついているように見えます」
「え?」
「少しでもお元気になればと」
そう言われた有利は周りにいる彼らを見渡す。
「申し訳ありません、ショーリ様をお救いする事が出来ず…」
「ああ、だからそれはヒューブの所為じゃないって!」
彼を励まそうとしていたが、窓の外から何かが飛ぶ音が聞こえ窓の外を見てみると大量の骨飛族が飛んでいたうえ、窓にへばり付いていたのだ。
「うわっ 何だ!?」
「…気持ち悪ぃな」
「まさにホラーって感じ?夜じゃなくて良かったわ…」
まさか窓の骨飛族がへばり付いているとは思っていなった有利は驚き、双子もただ眺めながら苦笑するだけだった。
「コッヒー?何してんの?」
なぜ骨飛族がそんな事をしているのか不思議に思っていると、扉からノックする音が聞こえ中にエルを抱えたニコラが入ってくる。
「すみません、陛下!」
「どうしたの?ニコラ」
「あの骨飛族はエルが呼んでいるみたいで…」
「え?エルが?」
有利が驚いていると、その事を納得している健も中に入ってくる。
「この子は勘の鋭い子だって言っただろ?」
「村田?」
「この子にも今何が起こっているのか分かっているんだよ」
言葉を喋れず、まだ『あー』などしか言えなくても何となく感じ取っているらしいのだ。
「そっか。一緒に勝利を探そうとしてくれてるのか」
「お兄さんにすごく懐いてたもんね」
「ありがとな、エル」
感謝しながらエルに触れると、彼はぎゅっと有利の指を掴む。
「そうだよな。勝利は絶対に取り戻す。そのためには落ちこんでいる場合じゃない」
そう改めて決心した有利は優しくエルの手を外してから振り返る。
「皆、手伝ってくれるか?」
尋ねられたアリア達は頷く。
「陛下」
「もちろんですわ」
「当たり前だろう」
「もちろん全力を尽くします」
「言われなくても協力するって」
「当たり前の事聞かなくてもね」
そう笑いながら当たり前の様に言う彼らに有利は嬉しく思う。
「それじゃあ、気合が入ったところで作戦会議といこう」
「うん。で、それから…とりあえず今はいいから…」
苦笑しながら有利は窓を見上げる。
「解散してくれる?……怖いよ」
先ほどよりも増えている骨飛族に恐ろしく感じた有利だった。
そして骨飛族も解散し、ニコラも部屋から出て行った後にさっそく作戦を考えようとテーブルに1枚の地図を広げる。
「彼らの行先は大シマロンだと思う」
「白い鴉の本拠地ですか…」
以前も宝剣を盗んでいた時も大シマロンを中心に行っていたからだ。
「そこを探し出して直接乗り込むしか無いという訳か。しかし…」
「以前からヨザックが調査をしているが、まだ見つけられないようだ」
「わたしの方でもまだ手掛かりはなく、」
「そっか…」
あのヨザックですらまだ見つけられていないという事に有利はガックリと肩を落とす。
「1つ、気になっている事がある」
「気になってる事…?」
同じ様に地図を見ていたグウェンダルは気になっていた事を話し出す。
「白い鴉は大シマロン王、ランジールの為に働いているはずだが、今回の行動もそうなのだろうか?」
「え?どういう事?」
今一意味が分かっていない有利は首を傾げるだけだった。
「…どうもランジールの思惑としては妙だ」
するとグウェンダルの疑問に健が答え始める。
「…あのさ、今まで確信は無かったんだけど…白い鴉と大シマロン王は完全に別の思惑で動いている。
いや、大シマロン王は利用されているだけかも」
「というと?」
健の話を聞いていてコンラートはハッとなり思い出す。
「猊下、白い鴉は2千年前、猊下が造られた組織だと」
「ああ、そしてその時の名がジェネウスって。まさか彼、」
コンラートと同じ様に思い出したセルセの言葉に健は笑いながら頷く。
「彼は僕と同じ様に大賢者の記憶を持っている」
「えぇ~!?」
ジェネウスも大賢者の記憶を持っていると知った有利は驚く。
「何言ってるんだよ村田。だって、大賢者の魂はお前の中に、」
「僕、というか大賢者の魂が4千年前もの間、記憶を保ち転生を繰り返してきたのはたった1つの使命の為だ」
1つの使命と聞いた有利はハッとなる。
「それって…」
「眞王との約束、禁忌の箱に封じた創主を完全に消し去る事。
前にも言ったと思うけど転生した人物の記憶は感情移入して見た映画を覚えているって感じなんだ。
その時に見たり感じたりした事は覚えているけど、やっぱりそれはその時代を生きた人物だけの人生なんだよ」
「…え~っと…、それって…?」
理解が出来ないのか有利は微妙な顔で健を見ると、苦笑しながらアリアが説明をする。
「つまり魂は同じで記憶はあるけど、性格や考え方は転生した人によって違うって事でしょう?」
「そう。今まで転生した中には十貴族の1人だったり、下町の食堂のおかみさんだったり、荒くれ者の船乗りだったり、眞王廟の巫女だったりした事もあるよ」
「ええ!?巫女さん…?想像できない…」
健の巫女であった人物を想像しようとしたが、鋭い視線でヴォルフラムが自分を見ている事に気づく。
「何を想像しようとしている」
「い!?」
地雷を踏んだ!?と思った有利だが、健は気にせずに話を進めていく。
「だからね、中には大賢者として使命なんか知った事じゃないって一生遊び暮らしたり、逆に真面目に使命を果たそうとしたり、色々な人がいたんだ」
「じゃあ、そのジェネウスって人は…」
有利の問いに健はその時の事を思い出していく。
「もう大丈夫のようですね」
「だからそう言っているだろう。…国内で法術に押されるとは、不覚だった」
どうしても先ほど、法術で押された事が悔しいのだ。
「彼らは自分の命もいとわず法術を使っていました。あのような暴挙を止める事は難しい…」
ギーゼラは今度はグウェンダルを手当しようとしたが、軽く軍服を羽織っている彼は片手で彼女を止めてからもう一度ギュンター達に視線を移す。
「それで、捕まえた白い鴉の者達は?」
手当を受けなかった彼にギーゼラは何も言わず、一礼をしてから彼から離れる姿を見てから『白い鴉』の者達についてピリアーチェが説明する。
「尋問は致しましたが何も話そうとはしませんわ。彼らの目的が何か、ショーリ様を何処へ連れて行ったのかも、何も言いませんでしたの…」
「何故だ!?もっと厳しく取り調べを、」
「無駄でしょうね」
しようと言おうとしたヴォルフラムの言葉を遮ったのはアリアだった。
「あの人達は命を懸けてでも仲間を逃がしたんでしょ?」
「ああ。だったら言うはずはない、な…」
双子に言われたヴォルフラムはもう一度椅子に座る。
「……おれの所為だ。おれが…」
今まで黙ったまま窓の外を見ていた有利は小さく呟き、テーブルの上に置いてある手をぎゅっと握る。
それに気づいたギーゼラはそっと有利の手に触れる。
「あ、いいよ、ギーゼラ。おれは怪我してないし」
手当をしてくれると思った有利は笑いながら大丈夫だと話すが、ギーゼラはいつもと変わらない笑顔と口調で話し出す。
「体に傷が無くても、陛下は傷ついているように見えます」
「え?」
「少しでもお元気になればと」
そう言われた有利は周りにいる彼らを見渡す。
「申し訳ありません、ショーリ様をお救いする事が出来ず…」
「ああ、だからそれはヒューブの所為じゃないって!」
彼を励まそうとしていたが、窓の外から何かが飛ぶ音が聞こえ窓の外を見てみると大量の骨飛族が飛んでいたうえ、窓にへばり付いていたのだ。
「うわっ 何だ!?」
「…気持ち悪ぃな」
「まさにホラーって感じ?夜じゃなくて良かったわ…」
まさか窓の骨飛族がへばり付いているとは思っていなった有利は驚き、双子もただ眺めながら苦笑するだけだった。
「コッヒー?何してんの?」
なぜ骨飛族がそんな事をしているのか不思議に思っていると、扉からノックする音が聞こえ中にエルを抱えたニコラが入ってくる。
「すみません、陛下!」
「どうしたの?ニコラ」
「あの骨飛族はエルが呼んでいるみたいで…」
「え?エルが?」
有利が驚いていると、その事を納得している健も中に入ってくる。
「この子は勘の鋭い子だって言っただろ?」
「村田?」
「この子にも今何が起こっているのか分かっているんだよ」
言葉を喋れず、まだ『あー』などしか言えなくても何となく感じ取っているらしいのだ。
「そっか。一緒に勝利を探そうとしてくれてるのか」
「お兄さんにすごく懐いてたもんね」
「ありがとな、エル」
感謝しながらエルに触れると、彼はぎゅっと有利の指を掴む。
「そうだよな。勝利は絶対に取り戻す。そのためには落ちこんでいる場合じゃない」
そう改めて決心した有利は優しくエルの手を外してから振り返る。
「皆、手伝ってくれるか?」
尋ねられたアリア達は頷く。
「陛下」
「もちろんですわ」
「当たり前だろう」
「もちろん全力を尽くします」
「言われなくても協力するって」
「当たり前の事聞かなくてもね」
そう笑いながら当たり前の様に言う彼らに有利は嬉しく思う。
「それじゃあ、気合が入ったところで作戦会議といこう」
「うん。で、それから…とりあえず今はいいから…」
苦笑しながら有利は窓を見上げる。
「解散してくれる?……怖いよ」
先ほどよりも増えている骨飛族に恐ろしく感じた有利だった。
そして骨飛族も解散し、ニコラも部屋から出て行った後にさっそく作戦を考えようとテーブルに1枚の地図を広げる。
「彼らの行先は大シマロンだと思う」
「白い鴉の本拠地ですか…」
以前も宝剣を盗んでいた時も大シマロンを中心に行っていたからだ。
「そこを探し出して直接乗り込むしか無いという訳か。しかし…」
「以前からヨザックが調査をしているが、まだ見つけられないようだ」
「わたしの方でもまだ手掛かりはなく、」
「そっか…」
あのヨザックですらまだ見つけられていないという事に有利はガックリと肩を落とす。
「1つ、気になっている事がある」
「気になってる事…?」
同じ様に地図を見ていたグウェンダルは気になっていた事を話し出す。
「白い鴉は大シマロン王、ランジールの為に働いているはずだが、今回の行動もそうなのだろうか?」
「え?どういう事?」
今一意味が分かっていない有利は首を傾げるだけだった。
「…どうもランジールの思惑としては妙だ」
するとグウェンダルの疑問に健が答え始める。
「…あのさ、今まで確信は無かったんだけど…白い鴉と大シマロン王は完全に別の思惑で動いている。
いや、大シマロン王は利用されているだけかも」
「というと?」
健の話を聞いていてコンラートはハッとなり思い出す。
「猊下、白い鴉は2千年前、猊下が造られた組織だと」
「ああ、そしてその時の名がジェネウスって。まさか彼、」
コンラートと同じ様に思い出したセルセの言葉に健は笑いながら頷く。
「彼は僕と同じ様に大賢者の記憶を持っている」
「えぇ~!?」
ジェネウスも大賢者の記憶を持っていると知った有利は驚く。
「何言ってるんだよ村田。だって、大賢者の魂はお前の中に、」
「僕、というか大賢者の魂が4千年前もの間、記憶を保ち転生を繰り返してきたのはたった1つの使命の為だ」
1つの使命と聞いた有利はハッとなる。
「それって…」
「眞王との約束、禁忌の箱に封じた創主を完全に消し去る事。
前にも言ったと思うけど転生した人物の記憶は感情移入して見た映画を覚えているって感じなんだ。
その時に見たり感じたりした事は覚えているけど、やっぱりそれはその時代を生きた人物だけの人生なんだよ」
「…え~っと…、それって…?」
理解が出来ないのか有利は微妙な顔で健を見ると、苦笑しながらアリアが説明をする。
「つまり魂は同じで記憶はあるけど、性格や考え方は転生した人によって違うって事でしょう?」
「そう。今まで転生した中には十貴族の1人だったり、下町の食堂のおかみさんだったり、荒くれ者の船乗りだったり、眞王廟の巫女だったりした事もあるよ」
「ええ!?巫女さん…?想像できない…」
健の巫女であった人物を想像しようとしたが、鋭い視線でヴォルフラムが自分を見ている事に気づく。
「何を想像しようとしている」
「い!?」
地雷を踏んだ!?と思った有利だが、健は気にせずに話を進めていく。
「だからね、中には大賢者として使命なんか知った事じゃないって一生遊び暮らしたり、逆に真面目に使命を果たそうとしたり、色々な人がいたんだ」
「じゃあ、そのジェネウスって人は…」
有利の問いに健はその時の事を思い出していく。