眞王隠し
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「はーい!はい!はいはいはーい!」
会議室に入って来た有利が突然手を振り出した事に11人は何も言わずに驚いた表情で有利を見る。
「陛下、いったい…」
「眞王隠しを行いたいと思いまーす!」
有利の提案に殆どの者は驚きを隠せないでいた。
「皆、おれやウィリアムの事よく知らないだろ?」
「!」
まさか自分の名が出てくるとは思っていなかったウィリアムは驚きながらも有利を見るだけだった。
「知らない奴の事を支えるとかさ、嫌だろ?」
「とんでもない!わたしは陛下の為ならばどんな観覧辛苦も、」
「いや。おれが嫌なんだ」
今まで笑いながら話していた有利は真剣な表情となって、なぜ眞王隠しをしたいのか、自分の気持ちを話していく。
「だから、眞王隠し、やってみたいんだ。皆と一緒に楽しめたら少しだけでも時間を飛び越せそうな気がするんだ」
「へ、陛下、さすがにそれは…」
「僕は賛成だよ」
「わたしも陛下の意見に賛成だ」
『!』
誰もが反対な気持ちを持っている中、エインは椅子に座ったまま呟くと、同じ様に賛成したヴァルトラーナに全員は驚いて彼を見る。
だが1人だけ、シュトッフェルだけは2人を指さす。
「ついに馬脚を現したなエイン、ヴァルトラーナ!十貴特別貴族会議などただの建前!陛下にへつらい取り入ろうなどと、それこそがこの会議に目的だったのだな!」
「それは貴殿ではないですか?」
彼の目的に気づいていたフォンギレンフォール卿の言葉にシュトッフェルは何も言えなくなってしまう。
「眞王隠しか。懐かしいですね」
懐かしそうにしているデル・キアスンは笑う。
「久しぶりにやってみましょう」
「賛成。楽しくいこうよ」
デル・キアスンの意見と同じだったのか、デンシャムを笑いながら賛成する。
「皆…」
「~っ」
(1人を除く)全員が賛成した事に有利は嬉しくなる。
「では、始めよう。眞王隠しを」
眞王隠しをする為に部屋から出て行こうとする時、まだグウェンダルやギュンターが残っている中、ヴァルトラーナはエインに話しかける。
「貴方が真っ先に賛成するとは思っていなかった」
「?」
「少し、驚いた…」
エイン自身もヴァルトラーナにそんな事を言われるとは思っていなかったが、彼は歩きながら質問に答えていく。
「…そうだね。もし陛下が前の陛下と変わらなかったら、僕は絶対に会議には参加しなかったと思う」
「「「……」」」
どこか哀しそうに呟くエインにヴァルトラーナだけでなく、グウェンダルもギュンターもただ見る事しか出来なかった。
彼が言った『前の魔王』、それはエインの兄でもあるセオランの幼馴染、ツェリの事でもある。
彼らは中庭へ向かって歩きながら話を続けていく。
「陛下がもしツェリ様やシュトッフェルみたいな人だったら、僕は本当に恨んでいたと思うし双子を血盟城に居させなかった。けど…」
「けど?」
「陛下の考え方、兄様と似てたから」
「! セオラン様に、か?」
セオランの存在が大きいのはグウェンダルやギュンターだけではなく、ヴァルトラーナ自身にとっても大きな存在であり越える事が出来なかった存在でもあった。
「そう。兄様に似ていて、どこか懐かし感じがしたんだ…。
『色んな考え方があるから面白い』って言ってた兄様は、人間の国へ留学しに行った時に双子の母親に出会って恋に落ちて双子、アリアとセルセが生まれた。
今でも後悔が残ってるんだよ、これでも。あの時どんな事をしてでも兄様が残した双子を戦争になんか行かせずに、守るべきだったんだって。
だからあんな事をしたシュトッフェルが許せなかったし、あんな奴に任せたツェリ様も恨んだ。いくら兄様にとっての幼馴染でも…」
「…今でも許せていないのですか?エイン様…」
ギュンターは哀しそうな表情で尋ねる。
「…ん~、今は、……よく分からないなぁ」
「分からない、とは?」
分からないと言ったエインにグウェンダル達は不思議に思う。
「恨んでいるけど…、今、双子は生きてるから許してるのかもしれない。もしあの時に双子が死んでたら絶対に許せなかったと思う…」
恨んでいるのは2人だけでなく、きっと自分自身も恨んだと思う。
それは自分達が兄の子どもである双子を守る事が出来ずに、戦争へ行かせてしまった事はエインとエレナにとって死ぬまで胸に痛み残る出来事となっている程に。
「あんな風に国に裏切られたのに、双子は今も陛下の元で生きてる。なら認めよう、って思ってても難しかったんだ。
でも今日の陛下の言葉を聞いて兄様を思い出した。
もしかしたら双子も陛下の言葉で兄様を思い出したかもしれないから、双子は苦しい事があった親衛軍の隊長と副隊長をやり続けてる」
あ、アリアは妊娠中だから違う仕事をしてるんだよね?と笑いながらグウェンダルに尋ねると彼は頷く。
妊娠したアリアは今、グウェンダルの事務的補佐をしているが、セルセは魔王直属親衛軍の隊長を今でもやり続けている。
「だから今日陛下が言ったみたいに、僕も少しでも陛下と楽しめたらいいなって思ったんだよ、純粋にね」
だから賛成したんだ、とにっこり笑うエインの笑顔はセオランを思わせる笑顔に、ギュンター、グウェンダル、そしてヴァルトラーナはどこか懐かしい思いが駆られていた。
会議室に入って来た有利が突然手を振り出した事に11人は何も言わずに驚いた表情で有利を見る。
「陛下、いったい…」
「眞王隠しを行いたいと思いまーす!」
有利の提案に殆どの者は驚きを隠せないでいた。
「皆、おれやウィリアムの事よく知らないだろ?」
「!」
まさか自分の名が出てくるとは思っていなかったウィリアムは驚きながらも有利を見るだけだった。
「知らない奴の事を支えるとかさ、嫌だろ?」
「とんでもない!わたしは陛下の為ならばどんな観覧辛苦も、」
「いや。おれが嫌なんだ」
今まで笑いながら話していた有利は真剣な表情となって、なぜ眞王隠しをしたいのか、自分の気持ちを話していく。
「だから、眞王隠し、やってみたいんだ。皆と一緒に楽しめたら少しだけでも時間を飛び越せそうな気がするんだ」
「へ、陛下、さすがにそれは…」
「僕は賛成だよ」
「わたしも陛下の意見に賛成だ」
『!』
誰もが反対な気持ちを持っている中、エインは椅子に座ったまま呟くと、同じ様に賛成したヴァルトラーナに全員は驚いて彼を見る。
だが1人だけ、シュトッフェルだけは2人を指さす。
「ついに馬脚を現したなエイン、ヴァルトラーナ!十貴特別貴族会議などただの建前!陛下にへつらい取り入ろうなどと、それこそがこの会議に目的だったのだな!」
「それは貴殿ではないですか?」
彼の目的に気づいていたフォンギレンフォール卿の言葉にシュトッフェルは何も言えなくなってしまう。
「眞王隠しか。懐かしいですね」
懐かしそうにしているデル・キアスンは笑う。
「久しぶりにやってみましょう」
「賛成。楽しくいこうよ」
デル・キアスンの意見と同じだったのか、デンシャムを笑いながら賛成する。
「皆…」
「~っ」
(1人を除く)全員が賛成した事に有利は嬉しくなる。
「では、始めよう。眞王隠しを」
眞王隠しをする為に部屋から出て行こうとする時、まだグウェンダルやギュンターが残っている中、ヴァルトラーナはエインに話しかける。
「貴方が真っ先に賛成するとは思っていなかった」
「?」
「少し、驚いた…」
エイン自身もヴァルトラーナにそんな事を言われるとは思っていなかったが、彼は歩きながら質問に答えていく。
「…そうだね。もし陛下が前の陛下と変わらなかったら、僕は絶対に会議には参加しなかったと思う」
「「「……」」」
どこか哀しそうに呟くエインにヴァルトラーナだけでなく、グウェンダルもギュンターもただ見る事しか出来なかった。
彼が言った『前の魔王』、それはエインの兄でもあるセオランの幼馴染、ツェリの事でもある。
彼らは中庭へ向かって歩きながら話を続けていく。
「陛下がもしツェリ様やシュトッフェルみたいな人だったら、僕は本当に恨んでいたと思うし双子を血盟城に居させなかった。けど…」
「けど?」
「陛下の考え方、兄様と似てたから」
「! セオラン様に、か?」
セオランの存在が大きいのはグウェンダルやギュンターだけではなく、ヴァルトラーナ自身にとっても大きな存在であり越える事が出来なかった存在でもあった。
「そう。兄様に似ていて、どこか懐かし感じがしたんだ…。
『色んな考え方があるから面白い』って言ってた兄様は、人間の国へ留学しに行った時に双子の母親に出会って恋に落ちて双子、アリアとセルセが生まれた。
今でも後悔が残ってるんだよ、これでも。あの時どんな事をしてでも兄様が残した双子を戦争になんか行かせずに、守るべきだったんだって。
だからあんな事をしたシュトッフェルが許せなかったし、あんな奴に任せたツェリ様も恨んだ。いくら兄様にとっての幼馴染でも…」
「…今でも許せていないのですか?エイン様…」
ギュンターは哀しそうな表情で尋ねる。
「…ん~、今は、……よく分からないなぁ」
「分からない、とは?」
分からないと言ったエインにグウェンダル達は不思議に思う。
「恨んでいるけど…、今、双子は生きてるから許してるのかもしれない。もしあの時に双子が死んでたら絶対に許せなかったと思う…」
恨んでいるのは2人だけでなく、きっと自分自身も恨んだと思う。
それは自分達が兄の子どもである双子を守る事が出来ずに、戦争へ行かせてしまった事はエインとエレナにとって死ぬまで胸に痛み残る出来事となっている程に。
「あんな風に国に裏切られたのに、双子は今も陛下の元で生きてる。なら認めよう、って思ってても難しかったんだ。
でも今日の陛下の言葉を聞いて兄様を思い出した。
もしかしたら双子も陛下の言葉で兄様を思い出したかもしれないから、双子は苦しい事があった親衛軍の隊長と副隊長をやり続けてる」
あ、アリアは妊娠中だから違う仕事をしてるんだよね?と笑いながらグウェンダルに尋ねると彼は頷く。
妊娠したアリアは今、グウェンダルの事務的補佐をしているが、セルセは魔王直属親衛軍の隊長を今でもやり続けている。
「だから今日陛下が言ったみたいに、僕も少しでも陛下と楽しめたらいいなって思ったんだよ、純粋にね」
だから賛成したんだ、とにっこり笑うエインの笑顔はセオランを思わせる笑顔に、ギュンター、グウェンダル、そしてヴァルトラーナはどこか懐かしい思いが駆られていた。