引き渡し
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「いやはや、敵さん準備がいいですね~」
「陸路は完全に封鎖されています」
大シマロンの様子などを見てきたヨザックとベリエスが戻って来ると、さっそく地図を広げて報告をしていた。
「それじゃあ、」
「海しかなさそうだね」
「はい。船の用意は?」
頷いたコンラートは反対側に立っているサラレギーとベリエスを見る。
「大丈夫だ。すぐに手配しよう」
すると扉を叩く音が聞こえ、扉が開くと1人の兵が立っていた。
「陛下!」
「どうした?」
入ってきた兵に尋ねると彼は一礼をする。
「大シマロンの使者が到着しました!」
「え?」
「分かった」
サラレギーが頷くと兵は部屋から出て行った後、彼は扉からまた有利の方へ向き直る。
「わたしが1人で話をつけよう」
「そんな、サラ1人任せておけないよ!」
心配している有利だったが、サラレギーは気にせずにベリエスと共に部屋から出ようとする。
「ユーリを連れては行けない」
「渋谷の言う通り」
黙っていた健が突然話し出した事により2人は立ち止まり振り返る。
「ここは、僕達も一緒に行った方がいいと思う。大シマロンがどう出るのか話を聞いておきたいからね。もちろん、こっそりと」
「?」
サラレギーは健がどういう意味で言っているのか分からないのか、彼を見ながら不思議に思っている。
だが健は彼らからベットで休んでいるアリアを見る。
「でも、アリアはこの部屋に残して行った方がいいね。やっぱり」
「…そうですね。これ以上無理はさせられないんで…」
健の意見にセルセは小さく頷きながらアリアを見るが、彼女からは小さな吐息だけが聞こえてくるだけだった。
よほど今までの疲れが溜まっていたらしく、有利達が普通に会話をしていても起きない程に。
サラレギーが大シマロンの使者と対面するという事で有利達はこっそりとある場所から覗いていた。
「サラレギー陛下。我が王、ランジール二世の命令を伝えます。
そちらにおられる魔王をお渡し頂きたい」
「魔王?」
サラレギーはきょとんとしながら大シマロンの使者でもある2人を見下ろしている。
「いったい何の話かな?」
「言い逃れは出来ませんぞ!確かな筋の情報があるのです!」
「誰から何を聞いているかは知らないが、いない者を渡す事は出来ない。お引き取り願おう」
そう言った瞬間、突然扉がバタン!と大きな音で開くと、そこには剣を構えながらゲラルドが入って来たのだ。
「ゲラルド!」
突然入って来た彼にサラレギーは驚く。
「サラレギー!」
彼は息切れをしている状態であっても、今でもすぐにサラレギーを刺そうとしていた。
「サラ!」
部屋の壁の中から見ていた有利はすぐにでも出て行こうとするが、それに気づいたセルセは有利の肩を掴む。
「ユーリ、行くなよ」
「陛下、落ち着いて」
セルセの言葉に同意するようにコンラートも有利を落ち着かせようとする。
だが部屋ではゲラルドがサラレギーに近づき、側近であるベリエスは彼に命令で大シマロンの使者を守っていた。
サラレギーは一瞬の隙をつき、近づいてくる彼から逃れようと有利達がいる壁際まで来る。
そこに来てしまった故に彼には逃げる場所が無くなってしまい、ゲラルドは剣を振りかざしてサラレギーを殺そうとした瞬間。
「サラ!」
有利はセルセ達の止めも聞かずに壁からサラレギーを助けようと出てしまった為、コンラート達も壁から出て2人を守ろうと立ち塞がる。
ゲラルドは一瞬動きを止めると、その隙にベリエスが彼の首を叩き気絶させる。
「ま、魔王っ」
双黒を見てしまった大シマロンの使者は魔王がここにいるという事を知ってしまった。
「やはりいたのか…」
「その黒い髪と瞳、間違いない!」
2人は剣を構えていたが魔王である有利の周りには6人の剣を持つ側近がいる事に気づくと、剣を下してサラレギーに話しかける。
「あ、明日、日が沈むまでに我が陣地に魔王を連れて来て頂こう。サラレギー陛下、貴方ご自身で!」
「来なければ小シマロンがどうなるか!」
そう言い残して彼らはその場から走り去ってしまったのだった。
彼らが去って行った為に少し落ち着いた有利達はこれからの事話そうとしていると、サラレギーはどこか信じられなかったという口調で有利に謝る。
「すまない…。まさかゲラルドがあんな事をするなんて。船は用意してある。予定通り有利達は海から逃げてくれ」
「でも、サラは?おれがいるって知られたんだ、もう誤魔化せないぞ」
「だから落ち着けって言ったのによ~、コンラートが」
溜め息をつきながらボソリと言うセルセに有利は心の中で『うっ』と言葉が詰まった。
「……だろうね」
有利の問いにサラレギーは小さく笑う。
「そしたら、小シマロンは大シマロンと戦争に…。そんな事になったら…」
『戦争』という事を考えたのか有利はすぐ否定する。
「やだっ おれは逃げない!おれお大シマロンに引き渡してくれ!」
「は?」
「陛下、何を…!?」
「そんな事して、自分の身がどうなるか分かっているのか!?」
突然の有利の提案にセルセだけでなくギュンターもヴォルフラムを驚くだけだった。
「そんな事は分かってる。分かってるけど…、」
今まで椅子に座って聞いていたサラレギーはその場に立ち上がる。
「ユーリ、ランジールはユーリの命を狙っている。そんな事、わたしには出来ない」
「でも、行かなきゃサラが…、小シマロンの皆が!」
自分の事だけでなく小シマロンの民の事まで考えている有利にサラレギーは少し目を見開いて驚いてしまった。
「おれ、行くよ」
決心して話す有利にギュンターとヴォルフラムはすぐに否定していたが、コンラートとセルセだけは違った。
「陸路は完全に封鎖されています」
大シマロンの様子などを見てきたヨザックとベリエスが戻って来ると、さっそく地図を広げて報告をしていた。
「それじゃあ、」
「海しかなさそうだね」
「はい。船の用意は?」
頷いたコンラートは反対側に立っているサラレギーとベリエスを見る。
「大丈夫だ。すぐに手配しよう」
すると扉を叩く音が聞こえ、扉が開くと1人の兵が立っていた。
「陛下!」
「どうした?」
入ってきた兵に尋ねると彼は一礼をする。
「大シマロンの使者が到着しました!」
「え?」
「分かった」
サラレギーが頷くと兵は部屋から出て行った後、彼は扉からまた有利の方へ向き直る。
「わたしが1人で話をつけよう」
「そんな、サラ1人任せておけないよ!」
心配している有利だったが、サラレギーは気にせずにベリエスと共に部屋から出ようとする。
「ユーリを連れては行けない」
「渋谷の言う通り」
黙っていた健が突然話し出した事により2人は立ち止まり振り返る。
「ここは、僕達も一緒に行った方がいいと思う。大シマロンがどう出るのか話を聞いておきたいからね。もちろん、こっそりと」
「?」
サラレギーは健がどういう意味で言っているのか分からないのか、彼を見ながら不思議に思っている。
だが健は彼らからベットで休んでいるアリアを見る。
「でも、アリアはこの部屋に残して行った方がいいね。やっぱり」
「…そうですね。これ以上無理はさせられないんで…」
健の意見にセルセは小さく頷きながらアリアを見るが、彼女からは小さな吐息だけが聞こえてくるだけだった。
よほど今までの疲れが溜まっていたらしく、有利達が普通に会話をしていても起きない程に。
サラレギーが大シマロンの使者と対面するという事で有利達はこっそりとある場所から覗いていた。
「サラレギー陛下。我が王、ランジール二世の命令を伝えます。
そちらにおられる魔王をお渡し頂きたい」
「魔王?」
サラレギーはきょとんとしながら大シマロンの使者でもある2人を見下ろしている。
「いったい何の話かな?」
「言い逃れは出来ませんぞ!確かな筋の情報があるのです!」
「誰から何を聞いているかは知らないが、いない者を渡す事は出来ない。お引き取り願おう」
そう言った瞬間、突然扉がバタン!と大きな音で開くと、そこには剣を構えながらゲラルドが入って来たのだ。
「ゲラルド!」
突然入って来た彼にサラレギーは驚く。
「サラレギー!」
彼は息切れをしている状態であっても、今でもすぐにサラレギーを刺そうとしていた。
「サラ!」
部屋の壁の中から見ていた有利はすぐにでも出て行こうとするが、それに気づいたセルセは有利の肩を掴む。
「ユーリ、行くなよ」
「陛下、落ち着いて」
セルセの言葉に同意するようにコンラートも有利を落ち着かせようとする。
だが部屋ではゲラルドがサラレギーに近づき、側近であるベリエスは彼に命令で大シマロンの使者を守っていた。
サラレギーは一瞬の隙をつき、近づいてくる彼から逃れようと有利達がいる壁際まで来る。
そこに来てしまった故に彼には逃げる場所が無くなってしまい、ゲラルドは剣を振りかざしてサラレギーを殺そうとした瞬間。
「サラ!」
有利はセルセ達の止めも聞かずに壁からサラレギーを助けようと出てしまった為、コンラート達も壁から出て2人を守ろうと立ち塞がる。
ゲラルドは一瞬動きを止めると、その隙にベリエスが彼の首を叩き気絶させる。
「ま、魔王っ」
双黒を見てしまった大シマロンの使者は魔王がここにいるという事を知ってしまった。
「やはりいたのか…」
「その黒い髪と瞳、間違いない!」
2人は剣を構えていたが魔王である有利の周りには6人の剣を持つ側近がいる事に気づくと、剣を下してサラレギーに話しかける。
「あ、明日、日が沈むまでに我が陣地に魔王を連れて来て頂こう。サラレギー陛下、貴方ご自身で!」
「来なければ小シマロンがどうなるか!」
そう言い残して彼らはその場から走り去ってしまったのだった。
彼らが去って行った為に少し落ち着いた有利達はこれからの事話そうとしていると、サラレギーはどこか信じられなかったという口調で有利に謝る。
「すまない…。まさかゲラルドがあんな事をするなんて。船は用意してある。予定通り有利達は海から逃げてくれ」
「でも、サラは?おれがいるって知られたんだ、もう誤魔化せないぞ」
「だから落ち着けって言ったのによ~、コンラートが」
溜め息をつきながらボソリと言うセルセに有利は心の中で『うっ』と言葉が詰まった。
「……だろうね」
有利の問いにサラレギーは小さく笑う。
「そしたら、小シマロンは大シマロンと戦争に…。そんな事になったら…」
『戦争』という事を考えたのか有利はすぐ否定する。
「やだっ おれは逃げない!おれお大シマロンに引き渡してくれ!」
「は?」
「陛下、何を…!?」
「そんな事して、自分の身がどうなるか分かっているのか!?」
突然の有利の提案にセルセだけでなくギュンターもヴォルフラムを驚くだけだった。
「そんな事は分かってる。分かってるけど…、」
今まで椅子に座って聞いていたサラレギーはその場に立ち上がる。
「ユーリ、ランジールはユーリの命を狙っている。そんな事、わたしには出来ない」
「でも、行かなきゃサラが…、小シマロンの皆が!」
自分の事だけでなく小シマロンの民の事まで考えている有利にサラレギーは少し目を見開いて驚いてしまった。
「おれ、行くよ」
決心して話す有利にギュンターとヴォルフラムはすぐに否定していたが、コンラートとセルセだけは違った。